AMDやNvidiaのような他のメーカーに門戸を開く
クアルコムがマイクロソフトと締結しているArm PC向けWindows用CPUの独占供給契約は、2024年に切れると噂されてきた。
しかし、Armのレネ・ハース最高経営責任者(CEO)がStratecheryとのインタビューで初めて公式に認めた。
独占契約の終了は、Windows on Arm PCが今後数年のうちにクアルコム製以外のArmチップを使用できるようになることを意味する。
マイクロソフトは2016年にWindows on Arm PCのパートナーとしてクアルコムを選び、それ以来クアルコムはWindowsデバイス向けにArmチップを製造する唯一の企業となってきた。
これは決して独占契約という枠組みではなかったが、数年後、これが事実であることがかなり明らかになった。
提携が発表されてから8年間、Windows on Arm向けにArm CPUを製造した企業はクアルコムだけだ。
この独占契約の終了時期については、さまざまな憶測が飛び交っている。
ロイターは、AMDとNvidiaがWindows向けにArm CPUを製造するという爆弾報道で、この契約が今年中に終了すると主張した。
ハース氏はStratecheryとのインタビューで、「クアルコムがWindowsと結んでいる独占契約が今年で終了することは、よく知られていることだと思う」と述べ、この日付を確認した。
ハースは、独占権が今年で終わるとは明言しなかった。とはいえ、ハースはこの噂を信じているのでなければ、この噂を「十分に立証された」と表現することはないだろう–そして彼はアームのCEOであり、この考えに信憑性を与えている。独占契約が終了する正確な日付は正確ではないが、2025年の初めまでには無くなるようだ。
クアルコムの独占が終了すれば、他の企業もラップトップ用のArm CPUを製造できることになり、ロイターの言う通りであれば、それらのCPUはAMDとNvidiaから発売されることになる。
両社ともノートPCやデスクトップPC向けのArmM CPUを特別に製造したことはないが、AMDとNvidiaはその態勢を整えているようだ。
AMDは必要に応じてARM CPUを製造する用意があると述べており、NvidiaはGraceサーバーCPUでArmの経験がある。
インテル側としては、新世代のPC向けArmチップの登場に脅威を感じていないが、同社の自信は必ずしも根拠のあるものではない。
解説:
ARM版WindowsのQualcomm独占が終了へ
2025年以降、AMDやnVIDIAがARM版Windowsに対応したSoCを出すのではないかと言われています。
Intelは特に影響はないとみなしているようですが、AMDはRyzenがありますので現状とあまり変わらないというのはそうかもしれませんが、AI/MLで大きな存在感を放つnVIDIAに関してはそうではないと思います。
ARMですから、最初はノートPCが中心になると思いますが、シェアが取れればそのうち自作PCにも降りてくるかもしれません。
最初はベアボーンという形で降りてきて、シェアが一定数取れた時点で爆発的に広まるというのが大体の普及の形式だと思います。
ARMでSoCを製造しているのはQualcommのほか、Google、Samsung、Mediatek、nVIDIA(中国除)などがありますが、解放されたARM版Windowsが成功すれば、PCメーカーの中からも自社製CPUを外注したり内製したりして参入してくるところも出てくるかもしれません。
数年前の半導体不足の経験から、半導体は自社で作るという風潮がかなり進みました。
よって、潜在的にARM SoCを設計できるメーカーはまだあると思います。
この流れが成功すればまた大昔の群雄割拠の戦国時代が戻ってくるかもしれません。
Intel一強の時代が長く続き、どこが覇権をとるのかわからないという時代の雰囲気を知らない人が多いと思いますので、あの時代の熱気が戻ってくるのは面白いかなと思います。
これからその熱気を少しでも感じられるのは面白いですし、恵まれていると思います。