半導体5社がRISC-Vの新会社を設立。
クアルコムをはじめとする主要半導体企業4社が正式に提携し、RISC-Vオープン・スタンダード・アーキテクチャに基づく「次世代ハードウェア」の開発に注力する企業、クインタウリス(Quintauris)を設立した(via Business Wire)。
クインタウリスの使命は、RISC-Vデバイスを実現するための単一のソースを提供し、断片化しやすいと批判されてきたRISC-V業界の標準化を推進することである。
RISC-Vは、2014年に初めて策定されたCPU用のオープンスタンダード(人によってはオープンソース)の命令セットアーキテクチャ(ISA)で、RISC-V Internationalによって維持管理されている。
RISC-Vの大前提は、Arm、AMD、Intelのクローズドなエコシステムをバイパスして、どの企業でもISAを採用して独自のCPUを作ることができるということだ。
デビュー以来、RISC-Vは非常に急速に成長しており、2030年までに160億コアが販売されると予測されている。
クアルコムはArmアーキテクチャ・ベースのチップ製造に投資しているため、同社がRISC-Vにも参入するのは直感的でないように思えるかもしれない。
しかし、クアルコムは他の多くの企業と同様、5年前からマイクロコントローラーにRISC-Vを採用している。
クアルコムはまた、グーグルと並んでSnapdragon WearプラットフォームにもRISC-Vを使用している。
縮小命令セット・コンピューター・アーキテクチャ(これがRISCの意味だ)であるRISC-Vは、本質的にミニマルであり、小型チップにニッチを見出した。
RISC-Vのオープンスタンダードあるいはオープンソースの性質は、業界関係者間のコラボレーションを容易にしており、Quintaurisはその顕著な例である。
クアルコムはQuintaurisに参加している5社のパートナーの1社に過ぎず、他の4社はボッシュ、インフィニオン、ノルディック・セミコンダクター、NXPセミコンダクターズである。
ボッシュ、インフィニオン、NXPの3社は、8月にTSMCと共同で欧州半導体製造会社を設立したため、意外にも同盟関係にある。
クアルコムは2016年にNXPの買収を試みたが、取引は完了する前に頓挫した。
ノルディック・セミコンダクターは変わり者で、クインタウリス・ベンチャーの中では圧倒的に小さなメンバーだが、ブルートゥースとWi-Fi機能を備えた重要なワイヤレス・チップを製造している。
クインタウリスの公式ウェブサイトによると、同社の製品は当初は自動車産業に焦点を当て、その後モバイルやモノのインターネット(IoT)アプリケーションに対応するという。同社はまた、RISC-Vハードウェア・ソフトウェア・エコシステムの標準化を推進することにも注力しており、複数の大手企業が開発した製品が成功を収めることで、標準化が実現するという意味合いもあるようだ。
しかし、RISC-Vの世界に標準規格を導入しようとしているのはQuintaurisだけでなく、RISC-V Software Ecosystem(RISE)も存在する。
RISEは、RISC-V InternationalやGoogle、Intel、Nvidia、さらにはQualcommといった主要な業界プレイヤーの公式サポートを受けている。RISEがソフトウェアに集中しているのに対し、Quintaurisは次世代ハードウェア開発を支持する。
解説:
RISC-Vが半導体業界から強力なバックアップを受けているというニュース
ARMのCPUを販売しているクアルコムも参加しており、組み込みのコントローラーとして利用していくようですね。
alibabaなどの中国企業はRISC-Vを規制のないARMとして考えており、クアルコムのような既存のARM企業は組み込み向けのコントローラーとして考えているというのは面白いです。
RISC-Vはわたくしも期待していますが、中国がどのようにかかわってくるかによってまた貿易戦争の火種になりそうな雰囲気です。
RISC-Vの進歩のためには中国からの莫大な投資は明らかにプラスだと思います。
アメリカはRISC-Vから中国を排除すべきと言っていますが、このRISEのような組織はその姿勢に反発しているようです。
単なる組み込み向けのコントローラーになるのか、ARMを置き換えるものになるのかはまだわかりませんが、イギリス企業のARMが買収されてもEU圏内にプロセッサの設計を行う企業がなくなるとRISC-Vに力を入れるとというのは抜け目ないなと感じます。