インテルのArrow Lake Sは新しいAVX、SHA512、SM命令をサポートする。
サーバー用プロセッサーが、クライアント用CPUでサポートされていない命令をサポートすることは珍しいことではない。
しかし、@InstLatX64が気づいたように、デスクトップ用のArrow Lake Sプロセッサは、ラップトップ用のArrow Lake CPUではサポートされない命令をサポートするようだ。
結局のところ、LGA1851パッケージのArrow Lakeプロセッサは、AVX-VNNI-INT16、SHA512、SM3、SM4といった命令をサポートする。
さらに、このCPUはLBRイベントロギング機能をサポートする。
インテルがこれらの機能をモバイル製品に実装しないことを決定した正確な理由は不明だが、SoCダイの超低消費電力x86コアがこれらの命令をサポートしておらず、コンピュート・ダイでも有効にならないため、サポートを追加できなかった可能性がある。
一方、この新命令は実際にはモバイル製品では見過ごされるかもしれない。
インテルのAVX-VNNI-INT16は、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)とディープラーニングのワークロードを高速化するために特別に設計された、16ビットの整数データ型を持つベクター・ニューラル・ネットワーク命令である。
その他の命令としては、SHA512、SM3、SM4は適切なアルゴリズムを高速化する暗号技術であり、常にセキュリティ上の懸念があることを考えれば、これらの追加も歓迎されるだろう。
ただし、SM3とSM4は主に中国で使用されていることに注意する必要がある。
インテルのLast Branch Record(LBR)機能に関しては、これは一部のプロセッサーでサポートされているデバッグおよびパフォーマンス・チューニング機能である。
LBRは、プロセッサが最近実行した分岐の記録を保持し、分岐命令とターゲット命令のアドレスを含む。
この情報は、開発者がプログラムの実行フローを理解し、パフォーマンスのボトルネックを特定し、SpectreやMeltdownのような投機的実行サイドチャネル攻撃を分析するのに役立ちます。
モバイルのArrow Lake CPUは、デスクトップ版プロセッサーでサポートされているこれらの命令をサポートしないかもしれないが、より多くのソフトウェアメーカーがこれらを使い始めた後、最終的にはインテルのモバイルプロセッサーがAVX-VNNI-INT16、SHA512、SM3、SM4などをサポートするようになる可能性が高い。
ソース:Tom’s Hardware – Intel’s Arrow Lake for Desktops and Laptops Will Have Different Instruction Sets
解説:
ArrowLake-SとArrowLake-P/Uとは対応する命令セットが異なる可能性があるようです。
IntelのCPUは複数の種類のCoreを搭載していますが、省電力Coreがサポートしていない命令セットがあるようですね。
この問題はAlderlakeでも起きていて、PコアとEコアでサポートされている命令セットが違っていました。
AVX-512がそれですが、最終的にはどちらでも使えないように変更になりました。
恐らく、省電力のために内蔵されているCoreが命令をサポートしていないのでしょうし、元の記事にもその旨の記述があります。
デスクトップでは有効にされているのがその証拠でしょう。
他社はどうなっているか?
AMDはこのような複雑な仕組みは取っておらず、同じ種類のCPUをキャッシュの量だけ変更し、後は低いクロックに最適化しているだけです。
この辺にも開発にどのくらいの人材を割けるかの差が出てしまっています。
近年ではARMでもWindowsが実行できるようになりましたので、ARM CPUとの競争上、省電力化、バッテリー持続時間の向上は避けては通れない課題なのでしょう。
x86の弱点の一つと言っても差し支えないと思います。
AMDとnVIDIAもQualcommが独占しているWindowsサポートのARMプロセッサが解禁される2025年に向けてARM CPUを準備していると言われています。
Intelも2025年以降、大挙して押し寄せてくるARMの波に対抗するために必死なのでしょう。
2025年以降、往年のnForceの復活やGrace+Geforce一体型のSoCなどが登場するかもしれません。
いずれにしてもこれからCPUはまた複数の企業の製品が入り乱れる乱戦になると思います。
nVIDIAの信者の方はオールnVIDIAメイドのPCなどが発売される可能性もあるので、楽しみなのではないでしょうか。