中国は工場の外国製ツールの一部を置き換えることはできるが、すべてではない。
Bloombergがまとめたデータを引用したDigiTimesのレポートによると、中国は半導体セクターの発展において大きな進歩を遂げ、現在では製造装置の40%以上が国産化されている。
大規模な研究開発投資と政府支援に後押しされたこの成長は、わずか2年で倍増した。
しかし、中国企業は競争力のあるスキャナーをほとんど製造できないため、海外のリソグラフィツールに依存しているのが現状だ。
韓国メディア『Ddaily』が最近報じたところによると、中国が半導体装置分野で自立を推進しているため、国産化率が40%以上に急上昇している。この割合は、物理蒸着(PVD)や酸化などの特定分野では50%を超えている。
中国の半導体産業の成長は、数字だけの問題ではない。
それを達成するために、巨額の投資が行われてきた。中国の半導体製造チェーンのさまざまなセグメントの中で、研究開発への投資が最も多いのは装置メーカーである。
過去2年半の間、これらのメーカーは常に売上高の10%以上を研究開発に投資してきた。
特に、Advanced Micro-Fabrication Equipment Inc China(AMEC)とNaura Technologyの2社は、この研究開発推進の最前線にいる。
AMECは過去2年半で平均13%以上の研究開発比率を維持しており、ナウラ・テクノロジーは売上高の11%を研究開発活動に充てている。
AMECもナウラもエッチングと蒸着用のツールを専門としている。
これとは対照的に、受託チップメーカーのSMICと半導体組立・テストアウトソーシング(OSAT)は、研究開発費を売上高の10%に抑える傾向にある。
中国の半導体セクターは目覚ましい成長を遂げているが、オランダや日本企業のリソグラフィ・スキャナーを置き換えるという重要な課題は解決されていない。
国営企業である上海微電子設備集団(SMEE)は今年初め、2023年末までに28nmプロセス技術でチップを生産できる初のスキャナーを導入すると約束したが、同社がこれらのスキャナーをいつ大量生産できるのか、ASML、キヤノン、ニコン製のスキャナーをいつ置き換えるのかは未知数だ。
今のところ、中国におけるリソグラフィ装置の現地化率は1桁台であると、ソース・レポートは主張している。
中国の半導体進歩にはいくつかの要因がある。広大な国内市場と政府の強力なバックアップが、必要な原動力となっている。
加えて、中国の強力な研究開発能力と資本市場からの資金援助が、半導体自立への道をさらに推し進めた。
ソース:Tom’s Hardware – China Increases Localization of Chipmaking Tools, But Still Lags Behind
解説:
急速にに半導体製造装置の内製化を進める中国
中国がチップ製造装置の内製化を急速に進めているそうです。
先日もKirin9000sの話題が出ていましたが、あれはASMLの製造装置を使って製造したものであることが判明しています。
半導体製造装置メーカーは売り上げの10%以上を研究開発費に充てているそうです。
粗利ではなく売り上げの10%は凄いなあと思います。
政府補助金のなせる業なのでしょうが、こういうところでは一党独裁の政治体制の強さを感じます。
一方でこれらの補助金がとんでもないゆがみを生み出すこともあります。
EVを例に挙げます。
Bloomberg – まるでEVの墓場、中国都市部に大量の廃棄車両-急成長の負の遺産
補助金行政と言うものは上のような歪みを生み出してしまうこともしばしばです。
また、中国の補助金は不正利用されるものが後を絶たず、地方の共産党員に賄賂を贈って発覚を免れていることもしばしばあり、政府の急な方向転換で上のような惨状を引き起こすこともあります。
上の記事にはこうあります。
半導体製造のニーズはあり、政府からの補助金と数億元の保証金をゼネコンからくすねるための“ハコ企業”が誕生した。
中国の補助金ビジネスと言うものは大部分が無駄になるということです。
成果は現れていますが、何事にも光と影があるということです。
総合的に考えると欧米に追いつく前に経済がダウンするのではないかとと言う印象を受けます。
間に合うにしろ間に合わないにしろギリギリのラインでしょう。
あまりに国土が大きく、地方の役人の権限が強く、管理するのは容易ではありません。
半導体系の中国にユースはなぜか中国の光の部分にしかスポットを当てていませんので、私の解説も頭に入れておいてください。
補助金詐欺はする必要はありませんが、日本も中国くらい戦略的に補助金を出せばと思わないではありません。