Gigabyteは、AMDの次期CPU Ryzen 7 5800X3DをサポートするAM4マザーボード500シリーズと400シリーズ用の新しいBIOSをリリースしました。
AMD Ryzen 7 5800X3D CPUがGigabyteの500 & 400シリーズAM4マザーボードでBIOSサポートされました。
ギガバイトの最新BIOSは、AGESA ComboV2 PI 1.2.0.6B BIOSをベースにしており、fTPMモードを有効にして実行するといくつかのバグが発生するBIOS Firmware 1.2.0.5 を改善したものです。
この新しいBIOSは、マザーボードを新しいBIOSファームウェアに更新するだけでなく、AMD Ryzen 7 5800X3Dの「次期新CPU」のサポートも追加しています。
また、新BIOSでは、AMDのVermeer(Ryzen 5000)CPUの「Max CPU Boost Clock Override」オプションが再有効化されているのも興味深い点である。以下は、Gigabyteからの主な注意事項(小町経由)です。
[GIGABYTE] X570/B550/A520/X470/B450 ベータ版BIOSアップデート (2022/2/27)のお知らせ
- AMD AGESA ComboV2 PI 1.2.0.6B をUpcoming New CPU サポートのためにアップデートしました。
- VermeerのMax CPU Boost Clock Overrideのオプションを復活させました。
Gigabyteのサポートページに移動して、マザーボードに適したBIOSを見つけることができます。
AMD Ryzen 7 5800X3D CPUのスペック
スペック的には、AMD Ryzen 7 5800X3Dは、1つのCCD内に8コア16スレッドを提供します。
ベースクロックは3.4GHz、ブーストクロックは4.5GHzで、非3D Ryzen 7 5800Xの4.7GHzより若干遅めの設定となっている。
TDPは105Wで、Ryzen 7 5800Xと同じです。
※ 画像をクリックすると、別Window・タブで開きます。
2つのチップの主な違いは、キャッシュの量です。
AMD Ryzen 7 5800X3Dは、32MBのL3キャッシュをオンダイに、64MBのキャッシュをオフダイに、垂直スタック内に搭載する。
このCPUは、64MBのL3キャッシュを内蔵した3D V-Cacheスタックを1つ搭載し、既存のZen 3 CCDですでに採用されているTSVの上に配置される。これにより、合計96MBのL3キャッシュがZen 3コアに直接搭載されることになる。
AMDは、Zen 3 CCDとV-Cacheを薄型化し、コアとIODの高さが異なるのではなく、現在のZen 3プロセッサと同じZ-heightになるようにした。
V-CachはCCDのL3キャッシュの上に乗っているため、コアの発熱に影響を与えず、電力上昇も最小限に抑えられるという。
また、AMDの説明では、周波数も重要だが、ほとんどのゲームはレイテンシに非常に敏感なので、キャッシュを増やすことが最も現実的な選択だったという。また、キャッシュを増やすことで得られるメリットは周波数の劣化を上回るため、そのトレードオフを余儀なくされたものの、標準的なRyzen 7 5800X CPUよりも優れたパフォーマンスを提供するチップである。
※ 画像をクリックすると、別Window・タブで開きます。
さらに、AMD Ryzen 7 5800X3D CPUは、AMD 400シリーズおよび500シリーズのマザーボードにフルラインナップで対応する予定です。
各マザーボードメーカーは、発売前に自社製品にサポートを追加するためのBIOSを出荷しますので、2022年春の新CPU発売に向けて、今後、多くのマザーボードメーカーがそれぞれのラインナップにこのCPUへのサポートを追加することが予想されます。
AMD Ryzen 5000シリーズ「Vermeer」&Ryzen 4000「Renoir-X」CPUラインアップ
CPU名 | アーキテクチャー | コア数/ スレッド数 |
ベースクロック | ブーストクロック | キャッシュ容量 (L2+L3) |
PCIeレーン数 (Gen 4 CPU +PCH) |
TDP | 価格 |
AMD Ryzen 9 5950X |
7nm Zen 3 | 16/32 | 3.4 GHz | 4.9 GHz | 72 MB | 24 + 16 | 105W | $799 US |
AMD Ryzen 9 5900X |
7nm Zen 3 | 12/24 | 3.7 GHz | 4.8 GHz | 70 MB | 24 + 16 | 105W | $549 US |
AMD Ryzen 9 5900 |
7nm Zen 3 | 12/24 | 3.0 GHz | 4.7 GHz | 64 MB | 24 + 16 | 65W | $499 US? |
AMD Ryzen 7 5800X3D |
7nm Zen 3 | 8/16 | 3.4 GHz | 4.5 GHz | 64 MB + 32 MB |
24 + 16 | 105W | 不明 |
AMD Ryzen 7 5800X |
7nm Zen 3 | 8/16 | 3.8 GHz | 4.7 GHz | 36 MB | 24 + 16 | 105W | $449 US |
AMD Ryzen 7 5800 |
7nm Zen 3 | 8/16 | 3.4 GHz | 4.6 GHz | 32 MB | 24 + 16 | 65W | $399 US? |
AMD Ryzen 5 5600X |
7nm Zen 3 | 6/12 | 3.7 GHz | 4.6 GHz | 35 MB | 24 + 16 | 65W | $299 US |
AMD Ryzen 7 4700 |
7nm Zen 2 | 8/16 | 3.6 GHz | 4.4 GHz | 12 MB | 未確認 (Gen 3) |
65W | 不明 |
AMD Ryzen 5 4600 |
7nm Zen 2 | 6/12 | 3.6 GHz | 4.1 GHz | 11 MB | 未確認 (Gen 3) |
65W | 不明 |
AMD Ryzen 3 4300 |
7nm Zen 2 | 4/8 | 3.8 GHz | 4.0 GHz | 6 MB | 未確認 (Gen 3) |
65W | 不明 |
解説:
ついにRyzen 7 5800X3DがBIOSサポートされる
GigabyteのX570/B550/A520/X470/B450 ベータ版BIOSアップデート (2022/2/27)でサポートされたようですね。
あくまでもベータ版ですが、メーカー公式でサポートされるという初の記述のようですので、予定通り発売される可能性が高いと言えると思います。
元記事の中にも書いてありますが、Ryzen 7 5800X3Dはゲーム性能は高いですが、その他の、特にマルチスレッド処理が重要な用途においては5900Xや5950Xのほうが優れていると思われます。
また、Core i9-12900KはRyzen 7 5800X3Dと違ってシングルもマルチも優れていますので、ゲーム性能も高く、コア数・スレッド数も違いますので、競合製品かと言われると微妙なところでしょう。
それでも、3D V-Cacheを搭載した初のデスクトップ製品であり、発売された意義は大きいです。
恐らく、12900KのEコアをオフにして、どっちが優れているかという比較がなされると思います。
価格的にもグレードとしても同じではありませんので、あまり実態に合った比較とは言えませんが、結果についてはかなり興味深く思います。
GodencoveとZen3+3D V-Cacheはどちらが優れているかと言われれば、残念ながら、Godencoveのほうが優れていると言わざるを得ません。
なぜなら、Godencoveのほうがより少ないキャッシュ容量でZen3+3D V-Cacheよりも高いシングルスレッド性能を実現しており、大容量キャッシュを搭載するというパワーアップ方法をまだ残しているからです。
実際、RaptorCoveではキャッシュの量がAlderLakeの1.5倍になると言われています。
AMDはZen4を7月か8月に投入すると言われており、AMDの中ではRyzen 7 5800X3Dはあくまでも中継ぎと言う役割なのかもしれません。
Alderlakeとぶつける本命はZen4と言うことなのかもしれませんね。
Alderlakeはモデル後期になり、すぐにRaptorlakeが控えているのは厳しいところです。
次のZen5はTSMC3nmを前提にしていると言われていますので、2023年中に出せるのかどうかも微妙なところなのかなと思います。
それに対して、Intelは既にMeteorLakeのかなり具体的なリーク情報が出います。
モデルチェンジの間隔が1年未満と言うのは本当に凄いことですし、強いなと思います。
Intelの予定は1年弱の間隔で5世代先まで出ており、スケジュール通りに更新できるとすればとんでもない物量作戦となります。
実質的にMCMのサーバー・デスクトップ・HEDTとモノリシックのAPUしかコアを作れない(作るリソースがない)AMDにとってはかなり苦しい戦いになりそうだなと思います。