インテルの最大ターボ周波数は、Cinebenchでi9-12900Kのパフォーマンスを最大36%向上させる
インテルは、第12世代Core、Alder Lake CPUの発表に伴い、プロセッサーのパワーを表す従来の呼称であるTDP(Thermal Design Power)に別れを告げました。
PL1(Power Limit 1)と呼ばれていたこの値は、現在ではPBP(Processor Base Power)と改称されています。
これは、マザーボードベンダーがPL2(Power Limit 2)の継続時間(Tau)を延長したことが原因であり、オーバークロックやマーケティング上の特徴となっていました。
インテルは現在、TDPの命名法からPBPとMTP(Maximum Turbo Power)に移行しており、以前はPL2と呼ばれていた。
これは現在、インテルが公式のパフォーマンス指標を含むマーケティングスライドで使用しているものです。
そのため、レビュアーは、競合他社の製品と比較する際には、正しいモードを使用して、異なる電源モードのCPUを比較しないようにしなければなりません。
これは、より多くの電力を必要とするCPUに有利な結果をもたらす可能性があります。
Intel Alder Lakeのパワーネーミングの不備、ソース:インテル
そのため、MicrosoftとAMDがWindows 11 OS上のRyzen CPUのL3レイテンシー修正プログラムをリリースする前に作成された、あまり正確ではない公式パフォーマンスチャートしか見つかりません。
幸運なことに、Lenovo China Gaming Desktop Product Planning ManagerであるWofstame氏が、Alder Lake CPUのPL1モードとPL2モードをCinebench R20マルチスレッドベンチマークで比較したチャートを誤って掲載していました。
これは、3つの新しい第12世代Core KシリーズCPUのそれぞれについて、最大ターボパワーモードでどれだけ性能が向上するかを示しています。
- Intel Core i9-12900K: PL2 – 10180, PL1 – 7492, PL2/PL1 – 136%.
- Intel Core i7-12700K: PL2 – 8677, PL1 – 6689, PL2/PL1 – 130%.
- Intel Core i5-12600K: PL2 – 6551 , PL1 – 5953 , PL2/PL1 – 110%.
この結果によると、16コアのフラッグシップモデルであるCore i9-12900Kの場合、PL1=PL2モードでは純正設定に比べて36%の性能向上が見られ、Core i7-12700Kでは30%の性能向上が見られました。
興味深いことに、10コアのi5-12600Kでは、MTPモードを強制すると10%の効果しか得られませんでした。
Intel 第12世代Core「Alder Lake」Cinebench R20、ソース:Wolfstame/Lenovo
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Intel Alder Lake-S CPUは、11月4日に発売されることになりました。
小売店ではすでに予約受付を開始しており、レビュー担当者はテストを終えて、販売と同時に発表される予定です。
しかし、米国の大手小売業者でさえ、CPUを早期に出荷することはできず、Z690マザーボードの到着を待つことになっています。
Intel第12世代Coreシリーズ(Alder Lake-S)
コア数/ スレッド数 |
E-コア (ベース/ブースト) |
P-コア (ベース/ブースト) |
Turbo Boost Max 3.0 |
PL1/PL2 PBP/MTP |
MSRP | |
i9-12900K | 8C+8c/24T | 2.4/3.9 GHz | 3.2/5.1 GHz | 5.2 GHz | 125/241W | 589 USD |
i9-12900KF | 8C+8c/24T | 2.4/3.9 GHz | 3.2/5.1 GHz | 5.2 GHz | 125/241W | 564 USD |
i7-12700K | 8C+4c/20T | 2.7/3.8 GHz | 3.6/4.9 GHz | 5.0 GHz | 125/190W | 409 USD |
i7-12700KF | 8C+4c/20T | 2.7/3.8 GHz | 3.6/4.9 GHz | 5.0 GHz | 125/190W | 384 USD |
i5-12600K | 6C+4c/16T | 2.8/3.6 GHz | 3.7/4.9 GHz | n/a | 125/150W | 289 USD |
i5-12600KF | 6C+4c/16T | 2.8/3.6 GHz | 3.7/4.9 GHz | n/a | 125/150W | 264 USD |
解説:
TDP PL1,PL2からPBP,MTPへ
Intelはソケットの更新が速く、次々に互換性のない新しいプラットフォームに移行します。
これにはメリットとデメリットがありますが、そのメリットの一つは電気的な特性を考えずにギリギリまでCPUをチューンできることです。
今のようにライバルとの差が開いてきたら製品をギリギリまでチューンして発売することができます。
AMDはRyzenが発売された2017年当時の仕様に未だに引きずられています。
これでは競争上、不利になっていくに決まっています。
来年AM5が出たら5年ぶりに発熱や消費電力と言った特性を最新の環境にアップデートできるということになります。
次は再びAMDが優位に立つと私は思っていますが、それはTSMC5nmと言う製造技術の恩恵の他に、この消費電力に関する仕様がアップデートできるからという理由があります。
今回、Alderlakeが発売されるにあたり、PL1、PL2と言った表現はもう使うのを辞め、PBP、MTPと言う名称に変更になるようです。
その理由はAIBがもはやPL2の継続時間を守らなくなったという実情があるようです。
AIBとしては、仕様に書いてある性能が出ないのはやはり顧客との関係上厳しいわけで、ではどうなるのかと言うと、Intelの仕様通りにデフォルト設定しなくなるわけです。
何せ、Intelの仕様を守っていたら、状況によっては書いてある性能が出せずに、仕様を守らなかった他社に負けるということになります。
これはAIBメーカーとしては許すことのできない事態でしょう。
IntelとAMDは同じ消費電力の範囲内で比較できるのかと言う疑問。
2017年当時の仕様に一部引きずられているAMDとほとんど毎年プラットフォームを更新し続けるIntel、これらのフェアな比較と言うのは出来るのでしょうか?
消費電力の問題と言うのは目に見えないだけにフェアに比較していくのはかなり厳しいでしょう。
Intelのために一言、言っておくと、アイドル状態における消費電力はIntel製品が圧倒的に優れています。
なぜならば、アイドル状態の消費電力は周辺技術の集合体で、この点において、他社(AS Media)に製品設計を一部アウトソースしていたAMDが敵うものではないからです。
ただし、ゲーマーにとって、アイドル状態の消費電力を云々するのはナンセンスだと思います。
しかし、特に「消費電力の問題を強調しない商業メディアのレビュー」と言うのはあまり信用しないことをお勧めします。
TSMC7nmとIntel10nm(Intel7)と言うのはほぼ同等と言われています。
同等と言われる中で性能を追及すれば、それは消費電力に跳ね返ってくるのは当然です。
なぜならば、総合的な性能と効率を決めるのは製造プロセスだからです。
効率が同一である以上、仕事量が増えれば、それはイコール消費電力が増える・・・・と言うことになります。
Intelが14nmを引っ張ってきて、最後はRocket Lakeまで行ったわけですが、どんなに優れた設計を引っ張ってきても、製造プロセスが進化しなければ製品として破綻するというのはCore i9-11900Kを見れば理解できたのではないかと思います。
同じ効率と言う箱の中でいくら優れた設計を詰め込んでも、優れた製品にはならないということです。
Alderlakeはいささかバランスを欠いた製品であるということは覚えておいてください。
誤解しないでもらいたいのは私はAlderlakeは素晴らしい製品であると思います。
しかし、同程度の効率と言う箱の中で作っている以上圧倒的な差は生み出しにくいということです。
私はこれらの状態を「限界までプッシュする」と言う表現を用いて表してきました。