AMDのRyzen Threadripper 5975WX HEDT CPUは、Chagallラインアップの一つで、32のZen 3コアを搭載していますが、Geekbench 5でベンチマークが実行されています。
パフォーマンスの数値から、このチップは64コアのZen 2ベースのThreadripper CPUを余裕で上回っています。
32個のZen 3コアを搭載したAMD Ryzen Threadripper 5975WXは、64個のZen 2コアを搭載したThreadripper 3990Xよりも10%速い
AMD Ryzen Threadripper PRO 5975WXチップは、Zen 3ベースのChagallチップのAMD内部テストプラットフォームとして使用されているCloudripper-CGLマザーボードを搭載したCloudripperプラットフォームでテストされました。
AMD Ryzen Threadripper 5000およびPro 5000ファミリーは、既存のZen 2ベースのThreadripper 3000およびPro 3000ファミリーに代わる次世代HEDTラインアップの一部となります。
HEDT CPU自体は32コア、64スレッドで、大きな変更点はアーキテクチャ自体がZen 3にアップデートされたことです。
AMD Zen 3コアは、HEDTラインアップを除くほぼすべてのAMD CPUセグメントに搭載されており、「今さらZen 3を出すのは遅い」という声もあるかもしれませんが、HEDTセグメントとしては十分すぎるほどのパンチ力があります。
クロックはベースで3.60GHz、ブースト周波数は全コアで4.5GHzとなっています。L3キャッシュは128MBを搭載していますが、これはフラッグシップモデルの8CCDではなく、4CCDを採用していることを意味しています。
テストプラットフォームには128GBのDDR4メモリーを搭載しました。
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性能面では、AMD Ryzen Threadripper PRO 5975WXは、シングルコアベンチマークで1686ポイント、マルチコアベンチマークで27603ポイントを記録しました。
これを64コアのThreadripper 3990Xと比較すると、32コアのZen 3チップは10%高速化しており、3990Xが2倍のコア数とスレッド数を持っていることを考えると非常に印象的です。
先代の3970Xが32コア64スレッドだったのに対し、5975WXはクロックの向上と新しいZen 3コアアーキテクチャーの採用により、最大で24%高速化しています。
AMD Ryzen Threadripper 5000とIntel Sapphire Rapids-X HEDTのCPUの比較:
CPUファミリ | Intel Sapphire Rapids-X |
AMD Ryzen Threadripper 5000 |
製造プロセス | 10nm ESF | 7nm |
コア アーキテクチャー |
Golden Cove | Zen 3 |
チップセット | W790 | TRX40/TRX80 |
ソケット | LGA 4677? | LGA 4096 |
最大コア数/ スレッド数 |
56/112? | 64/128 |
最大 キャッシュ(L3) |
168 MB? | 224 MB + V-Cache? |
サポート メモリ |
DDR5-4800 | DDR4-3200 |
最大PCIe レーン数 |
64 PCIe Gen 5.0 | 128 PCIe Gen 4.0 |
TDP | 最大225W | 最大280W |
性能は素晴らしいようですが、最近の噂では、Threadripper 5000のラインナップは2022年になると言われています。
2022年に発売されるということは、AMDのRyzen Threadripper 5000 HEDT CPUは、Intel自身のW790プラットフォーム向けHEDTファミリ「Sapphire Rapids」と近い位置で対決することになる。
IntelとAMDの両方がHEDT CPUを最後に発売したのは2019年11月で、AMDはワークステーション/プロシューマー向けのThreadripperチップも発売したが、Intelはそれ以降、HEDT市場を獲得することができなかった。2022年には新しいHEDT CPUファミリーが登場するため、特に両CPUメーカーがこのプラットフォーム向けに真新しいコアアーキテクチャを提供することから、このセグメントでは再び激しい競争が繰り広げられることになるでしょう」と述べています。
解説:
Threadripper 5975WX のベンチマークがリーク
それによると64コアの3990Xよりもスコアが高かったようで、Zen3コアの性能の高さが伺えます。
Threadripper 5975WXは遅きに失したのか?
記事中にはそのような表現がありますが、決してそんなことはないと思います。
Intelの虎の子であるSapphireRapidsはHEDT向けとしてはあまり出したくない製品であり、EPYCに近接する性能があるThreadripperに対抗するために出すとすれば、ほぼXeonと同じ製品をかなり安価に出さざるを得ません。
本当にIntelがGoldenCove搭載のマルチコア製品をHEDTとはいえ一般向けに出すのかどうかに関しては私は懐疑的です。
もし仮にIntelがXeonとほぼ同じ仕様のHEDT製品を出すとすればそれはかなりのビッグニュースだと思います。
100万なり200万を超えるような製品を50万円やそこらで手に入れられるとすればそれは天と地がひっくり返るくらいの騒ぎです。
Zen3/+コアの64コア128スレッド製品に対抗するためには如何にGoldenCoveと言えどもMAXの56コア112スレッドが必要だと思われますので、それをHEDTにおろしてくるのかどうかはかなり注目しています。
プライドを取るのか?デスクトップ市場全体のたったの5%と言われるHEDT市場を放棄して実利を取るのか?興味深いところです。