AMDは本日、AIトレーニングやHPC(High-Performance Computing)プログラムを加速された計算ノードで処理するために、同社のEPYC CPUとInstinctアクセラレータに30倍のエネルギー効率をもたらすという設定目標を明らかにしました。
想定される開始時期は、2025年よりも早くはないでしょう。これには、AMDの高処理CPU、AIトレーニングに利用する効率的で強力なGPUアクセラレータ、HPCアクセラレータのCPU構成が含まれます。
「プロセッサーのエネルギー効率向上を達成することは、AMDの長期的な設計上の優先事項であり、今回、AIトレーニングやハイパフォーマンス・コンピューティングの導入に適用される当社の高性能CPUとアクセラレーターを使用した最新のコンピュート・ノードに新たな目標を設定します。これらの非常に重要なセグメントと、大手企業が環境スチュワードシップを強化するための価値提案に焦点を当て、AMDの30倍の目標は、これらの分野における業界のエネルギー効率パフォーマンスを、以前の5年間の期間と比較して150%上回っています。」
– AMD エグゼクティブ・バイス・プレジデント兼CTO マーク・ペーパーマスター氏
この目標を達成するためには、AMDは自社の計算ノードの電力効率を、過去5年間に業界が設定した基準の2.5倍以上の速度で向上させる必要があります。
「コンピューティングがエッジからコア、クラウドに至るまでユビキタス化する中、AMDは今回、AIやハイパフォーマンス・コンピューティング・アプリケーションの加速計算に向けて、プロセッサーのエネルギー効率を高めるという大胆な姿勢を打ち出しました。ムーアの法則に伴う歴史的な優位性が大きく損なわれた今、将来の利益はより困難になっています。5年後にエネルギー効率を30倍に向上させることは、AMDのテクノロジーの強さと、環境維持を重視する姿勢を示す、素晴らしい技術的成果となるでしょう。」
– インターセクト360リサーチ社CEO、アディソン・スネル氏
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アクセラレート・コンピュート・ノードは、非常に強力であり、また、非常に高度なシステムです。
実際、世界で最も先進的なシステムと言えます。加速器型計算ノードは、標準的なシステムでは処理できないような研究やスーパーコンピュータのテストに使用されます。
科学者たちは、気候変動の予測や代替エネルギーの解決策など、さまざまな分野で発見やブレイクスルーを生み出すために加速型計算ノードを利用しています。
AIについて言えば、加速型計算ノードは、”音声認識、言語翻訳、専門家による推薦システム “を研究するニューラルネットワークの研究を可能にし、今後10年間で同様の有望な用途があります。
AMDの計画では、2025年までに数十億キロワット時の電力を節約することができます。実際、使用電力の削減により、”1つの計算を完了するために必要な電力を5年間で97%削減できる “という。
「AIトレーニングやハイパフォーマンス・コンピューティングに使用されるアクセラレーション・コンピュート・ノードに対してAMDが設定したエネルギー効率目標は、最新のワークロード、代表的な操作行動、正確なベンチマーク手法を完全に反映したものです。」
– クーマイアナリティクス代表取締役社長 ジョナサン・クーマイ博士
AMDは常にエネルギー出力を簡素化する方法を研究してきました。
フォーチュン誌は先日、2020年に向けた「Change the World」リストにAMDを加えました。
同誌のリストでは、社会のニーズを満たし、それを超えようと努力している企業の取り組みが紹介されています。
AMDは、環境面での成果についての透明性を25年以上にわたって実践してきました。AMDが自らに課しているこの新しい目標は、会社のあらゆる側面で活用されている環境・社会・ガバナンス計画の一部です。
また、AMDは、「機器の利用率を考慮したセグメント別のデータセンターの電力利用効率(PUE)」を使用することを計画しています。CPUとGPUの両方の消費電力は、特定のセグメントの稼働率(アクティブおよびアイドル)に基づいて設定され、「その後、PUEを乗じて実際のエネルギー使用量を決定し、1ワット当たりのパフォーマンスを算出する」としています。
AMDのベースラインである消費電力は、2015年から2020年の間に算出された業界のエネルギーレートを使用しており、これを2025年まで外挿しています。
そして、今後5年間のオペレーションごとのエネルギー改善の指標として、全世界の推定数量を測定し、各セグメントのTEC(Typical Energy Consumption)を乗じて、全世界の実際のエネルギー使用量を求めています。
ソース:wccftech – AMD Plans To Boost AI & HPC Energy Efficiency Up To 30 Times By 2025
解説:
最近AMDのデスクトップ向け新製品のリークが全くなくなったので、一見関係なさそうなサーバー向けの情報から、何が起きているのかうがった見方をしていきます。
勝っている側のAMDが突然、「これからはエネルギー効率だよね」と言い出す。
EPYCで大勝利しているAMDの側から、「これからはエネルギー効率だよ。」と物差しを変えてくる・・・と言うのは私はIntelに対して性能でアドバンテージが持てなくなったからなのではないかと穿った見方をしています。
なぜなら、性能で勝っていれば特に物差しを変える必要がないからです。
効率で勝っていれば、性能でも勝てると思いますが、そこで和えでエネルギー効率を出してくるのは何か都合が悪いことが起きているのではないかとと言う意地悪な見方を私はしてしまいます。
これは一つのものの見方であり、絶対にあっているというわけではありませんのでお断りしておきます。
これに対する私の答えは、「AMDはここまで性能競争を引っ張ってきたのだから、もっと自信を持った方が良い」と思います。
確かに、Zen3はAlder Lakeに負けるかもしれません。
しかし、負けたからと言って全く無意味になるわけではないと私は思います。
After Zen2とBefore Zen2では全く性能が違います。
それはこれから数年間有効であると私は考えています。
Ryzenはここまで性能競争を引っ張ってきたのですし、世代間のマザーボード互換性やお買い得感があれば、ユーザーは付いてくると私は思います。
Zen4、Zen5と言った新製品も準備されていますし、Intrelがハイブリッドに進んだとしてもAMDの既存の製品がまるっきり無価値になるわけではありません。
Intelが出したハイブリッドに対する答えはいずれ出さなければもちろんダメだと思いますが、ここで妙に自信を失ったりねここまで育ててきた市場を放棄するのはあまり良いことだとは思いません。
まあ、利益率の高いサーバーや、市場がデカいノートPCに力を入れると言われればそれまでなのですが、アーリーアダプターが多くいて、その価値を宣伝してくれるゲーミング市場にももう少し力を入れてほしい・・・と言うのが私の本音です。
というわけで、Zen3+は出ないんでしょうか?AMDさん・・・。