IntelのフラッグシップCPUであるCore i9-12900K Alder Lakeのベンチマークが公開され、AMDのRyzen 5000チップが大打撃を受けていることがわかりました。
OneRaichuが公開したベンチマークによると、Cinebench R20テストでのこのCPUのパフォーマンスは、既存のIntelとAMDのCPUの比較を簡単に行うことができます。
Intel Core i9-12900K 16コア Alder Lake CPU ベンチマークがリーク、AMDの最速Ryzen 5000「Vermeer」を超えるとの情報も
今回テストされたIntel Core i9-12900Kは、QS「Qualifaction Sample」チップとされており、Alder Lakeのハイブリッドアーキテクチャの能力を最大限に引き出すためには、特定のファームウェアアップデートやOSごとの最適化が必要となるため、ここに記載されている性能は最終的なものではない可能性があります。
メモリやマザーボードなどの他の仕様については言及されていませんが、このパフォーマンスは、液体クーラーを搭載した非常に初期のテストセットアップで測定されたもののようです。
このチップは、こちらの記事でお伝えしたように、バックチャネル市場で販売された最近の在庫の一部だと思われます。
Core i9-12900K 16コア/24スレッド デスクトップCPUの仕様
Intel Core i9-12900K」は、第12世代Alder LakeデスクトップCPUラインナップのフラッグシップチップとなります。
8個のGolden Coveコアと8個のGracemontコアを搭載し、合計16コア(8+8)、24スレッド(16+8)の性能を発揮します。Pコア(Golden Cove)は、1~2個のアクティブコアで最大5.3GHz、全コアアクティブで5.0GHzの最大ブースト周波数で動作し、Eコア(Gracemont)は、1~4個のコアで3.90GHz、全コア搭載時には最大3.7GHzで動作します。
このCPUは30MBのL3キャッシュを搭載し、TDP値は125W(PL1)および228W(PL2)を維持します。
Intel 第12世代Alder LakeデスクトップCPUのスペック「噂」
CPU名 | Pコア数 | Eコア数 | 合計コア数/ スレッド数 |
Pコア ベース / ブースト (最大) |
Pコア ブースト (全コア) |
Eコア ベース / ブースト (最大) |
Eコア ブースト (全コア) |
キャッシュ | TDP | 価格 |
Intel Core i9- 12900K |
8 | 8 | 16 / 24 | 未確認 / 5.3 GHz | 5.0 GHz (全コア) |
未確認 / 3.9 GHz | 3.7 GHz (All Core) | 30 MB | 125W (PL1) 228W (PL2) |
未確認 |
Intel Core i7- 12700K |
8 | 4 | 16 / 20 | 未確認 / 5.0 GHz | 4.7 GHz (全コア) |
未確認 / 3.8 GHz | 3.6 GHz (All Core) | 25 MB | 125W (PL1) 228W (PL2) |
未確認 |
Intel Core i5- 12600K |
6 | 4 | 12 / 16 | 未確認 / 4.9 GHz | 4.5 GHz (全コア) |
未確認 / 3.6 GHz | 3.4 GHz (All Core) | 20 MB | 125W (PL1) 228W (PL2) |
未確認 |
Core i9-12900K 16 Core / 24 Thread Desktop CPU ベンチマーク
Intel Core i9-12900K 16 Core CPUは、Cinebench R20のシングルコアテストで810ポイント以上、マルチコアテストで11,600ポイント以上のスコアを記録しています。
これは、AMD Ryzen 9 5950Xと比較して、シングルコアで25%、マルチコアで11%の差をつけており、メインストリームのデスクトップCPUとしては最速と言えます。
繰り返しになりますが、これは初期の性能であり、最終的な数値はさらに向上する可能性があることに留意してください。
https://twitter.com/OneRaichu/status/1417527787695448069?ref_src=twsrc%5Etfw
以下はその比較表です:
※ 画像をクリックすると別Window・タブで拡大します。
Intel Alder LakeデスクトップCPUは、しばらくの間、AMDのRyzen 5000 CPUと競合することになりますが、来年初めに登場する新しいZen 3 RyzenデスクトップCPUには、ゲームのパフォーマンスを平均15%向上させる3D Vキャッシュが採用されます。
しかし、ゲームとCinebenchのような合成ベンチマークでは動作が大きく異なるため、2022年末にRaphaelという形でZen 4が登場するまで、しばらくの間はIntelがCPUパフォーマンスの王座を守ることになりそうです。
Intel Alder Lake Desktop CPUは、2021年第4四半期の発売が予定されており、PCIe5.0とDDR5テクノロジーを利用した初のメインストリームコンシューマープラットフォームとなり、マイクロソフトはWindows 11オペレーティングシステムに最適化した新しいハイブリッドアーキテクチャアプローチを採用します。
解説:
Alder Lake-S 12900Kのベンチマークがリーク
まだQS(認定サンプル)の段階ですが、その状態で既に5950Xと比較してシングルスレッド性能で124.6%、マルチスレッド性能で113.3%上回っている結果がリークしました。
しかもベンチマークはCinebench R20ですので今まではRyzen有利と言われてきたベンチマークテストです。
Alder Lake-S 12900KはIntelの反撃の狼煙になることはほぼ確実でしょう。
今まで散々ハイブリッドをけなしてきたが・・・
私は今までIntelのハイブリッドをボロクソにけなしてきました。
しかし、それに反してなぜこのような結果になったかですが、AtomコアであるGracemontが今までのイメージをひっくり返すほど高性能だったからでしょう。
Gracemontが想定よりもかなり高性能だったのはマルチコアのベンチマークでRyzen 9 5950X以上の結果を出していることからもうかがえます。
また、シングルスレッド性能もRyzen 9 5950X比で124.6%は圧巻の一言です。
しかもこれはまだ最終製品ですらなく、単なる認定サンプルの状態です。
Ryzen人気を支えてきたのは圧倒的なCinebench系ベンチマークの結果ですから、まさに「自分の土俵で負けた」に等しい結果だと思います。
Intelが見据えているものは何か?
打倒Ryzenも悲願だったと思いますが、Intelが今一番問題視しているのはAppleが投入したM1プロセッサのMACノートでしょう。
こちらは大手のBCNランキングで2021年4月PCノートで全メーカー中1位に輝いています。
前年比78%とPCの出荷が低迷する中、Appleだけが181%の前年比を達成しており、まさに次元が違う人気となっています。
今はデスクトップよりノートPCのほうが圧倒的に出荷が多いですから、ここでbig.Littleフィロソフィを採用したCPUで追撃しないことには埋められないほどの差になってしまいます。
ただし、M1が評価されているのは省電力性もあると思います。
x86は省電力性でARMに一度も勝ったことが無い(少なくとも私の記憶には無い)ですので、この勝負がどうなるのかに関しては未知数です。
Ryzenに勝ったのはついでのようなものかもしれません。
ただし、ゲーム性能では・・・?
ただし、シングルスレッド性能が+25%になったからと言ってゲームのFPSが+25%になると決まったわけではありません。
一方で3D V-Cacheを搭載したZen3+はゲーム性能が+15%になると言われていますので、ベンチマークでは負けてもゲーム性能ではよい勝負になるかもしれません。
総合的に考えるとRyzenがメモリの速度に左右されることを考えれば、Zen3+の性能が我々の想像より上だったとしても、今年の対決はintel有利と言っても差し支えは無いかなと思います。
2021年末商戦はIntelの勝利
この結果が本当ならば、2021年の年末商戦は間違いなくAlder Lakeが制すると私は思います。
元からあるIntelのブランドと日本での人気を考えるとなおさらでしょう。
また、Rocket Lakeで供給能力の差を見せつけ、AMDからシェアを奪還しましたので、今一番問題になっている「物が来るか?」という問題についてもかなり見通しは明るいと思います。
元々、Ryzenを手掛けたジム・ケラー氏が設計に参加したもの(そのものか発展版)でしょうから、新旧ジム・ケラー氏の設計製品に関しては後から設計されたほうが勝ったと言ってもよいと思います。(当然なのかもしれませんが)
今年の勝敗がうっすらと見えてきた今の最大の問題は来年のZen4 VS Raptor Lakeがどうなるか?と言うところでしょう。
製造プロセスの進化でAMDがIntelを再度撃墜するのか?Raptor Lakeが逃げ切るのか?IntelがTSMCの製造プロセスに何らかの方法で追いつけない限りはこの危うい綱渡りのような状態はずっと続くと思います。
また、対Appleと言う点で考えると、Appleシリコンの更新速度はどうやら2年に一度のようなので、この点では毎年更新を予定しているIntelはとりあえず一息付けるかもしれません。
今年はM1の拡張版であるM1Xを搭載する上位製品が更新される予定と言われています。
こちらは最大20コアと言われていますので、いかにAlderlakeと言えど、マルチスレッド性能の結果が出たらコテンパンにやられるかもしれません。