Nintendo Switchは大ヒットした任天堂のゲーム機だ。
スペック厨のゲームオタク達の期待を派手に裏切って大ヒットし、2020年9月末日現在で全世界6,830万台、日本国内1,617万台を売り上げている。
このあたりの考察は以下の参考記事に書いてあるので一読をお願いします。
参考記事:Nintendo Switchの割り切り
2017年3月3日に発売され、2019年に一度マイナーモデルチェンジが入った。
マイナーモデルはNew Switchと呼ばれ、基本的には省電力になった他にはあまり大きな変更はなかったと言える。(内部のSoCはTegra X1からTegra X1+ベースに変更になったといわれている。)
2019年あたりからの噂では新型Switch Proは4Kに対応する大幅な性能向上がなされると期待されている。
参考(外部リンク):Opinion:2021年のProモデルはSwitchの第二幕を開くのか?
今回はこのSwitch Proの発売可能性とスペックについて考察していきたい。
任天堂Switchに関するおさらい
発売日 | 製造プロセス | SoC | CPU | GPU | |
Switch | 2017/03/03 | 20nm | Tegra X1 | Coretex A57(4C) Coretex A55(4C) |
Maxwell 256 CUDA Core |
New Switch | 2019/08/30 | 16nm | Tegra X1+ | Coretex A57(4C) Coretex A55(4C) |
Maxwell 256 CUDA Core |
Switch Lite | 2019/08/30 | 16nm | Tehra X1+ | Coretex A57(4C) Coretex A55(4C) |
Maxwell 256 CUDA Core |
任天堂Switchはあくまでも携帯可能なタブレット型のゲーム機のため、PS5やXbox Series Xのような超高性能は期待できない。
事実、初代のSwitchに搭載されているTegra X1は既に次世代であるTegra X2が発売されていたにも関わらず、採用されている。
これによって任天堂は性能よりも価格や消費電力を重視していることが伺える。
製造プロセスは当時としても短命で型落ちの20nmが採用されている。
現世代のPC用CPUと比較すると以下のようになる。
TDP | コア数/ スレッド数 |
Geekbench5(CPU) | GPU | ||
CPU Single | CPU Multi | FP32演算性能 | |||
Tegra X1 | 15W | 8C8T | 282 | 947 | 0.5 TFLOPS |
Core i7-1160G7 | 4C8T | 1494 | 4436 | 1.687 TFLOPS | |
Ryzen 7 4700U | 8C16T | 999 | 4831 | 1.433 TFLOPS |
※Tegra X1の性能はnVidia Shield Android TVと言う海外のみで販売されたゲーム機のものです。
TDPは何れも15Wで揃えてあるが、基本的にPC用のCPUは製造プロセスが最新であるので、遠く及ばない結果になっている。
また、ソニーやマイクロソフトは今年フルモデルチェンジを行っている。
だからこそ、スペックアップする必要があるともいえる。
では過去の任天堂のゲーム機のモデルチェンジの変遷から、Switch Proの可能性を探っていこう
任天堂DS
Switchはタブレット型ゲーム機でそれまでの据え置き、携帯、どちらともいえないカテゴリーのゲーム機だ。
しかし、マイナーとは言え、モデルチェンジが比較的はやかったので、モデルチェンジが頻繁だった携帯ゲーム機を例に考えてみる。
発売日 | CPU | GPU | |
DS | 2004/11/21 | ARM946E-S 67MHz ARM7TDMI 33MHz |
不明 (RIVA128クラス) |
DS Lite | 2006/03/02 | ARM946E-S 67MHz ARM7TDMI 33MHz |
不明 (RIVA128クラス) |
DSi/LL | 2008/11/01 | カスタムCPU (ARM9+不明) |
不明 (RIVA128クラス) |
3DS/LL | 2011/02/26 | Nintendo 1048 0H (ARM11/2C/266MHz?) |
DMP PICA200 GPU |
New 3DS/LL | 2014/11/14 | Nintendo 1446 17 (ARM CPU/4C/800MHz) |
DMP製型番不明 |
DSは大ヒット、ロングランした任天堂の携帯ゲーム機で初代DSからSwitchが出る2017年までモデルチェンジを繰り返して13年間販売され続けた。
GB GBポケット GBライト スーパーGB |
GBC | GBA GBASP GBプレーヤー |
GBM | DS/ Lite |
DSi/LL | 3DS/LL 2DS |
New3DS/LL New2DS LL |
|
GB用・GBC共通 ソフト |
○ | ○ | ○ | × | × | × | ▲ | |
GBC専用ソフト | × | |||||||
GBA用ソフト | × | ○ | △ | |||||
DS用ソフト | × | ○ | △ | |||||
DS用・DSi共通 ソフト |
○ | ○ | ○ | |||||
DSi用ソフト | △ | |||||||
DSiウェア | × | |||||||
3DS用ソフト | × | |||||||
3DS・New3DS 共通ソフト |
||||||||
New3DS用 ソフト |
× |
(○:対応 △:限定的に対応 ▲:バーチャルコンソール対応 ×:非対応)
また、任天堂の携帯ゲーム機は、とても子供向けとは思えない複雑怪奇なソフト互換性を持っており、それをまとめると上のようになる(出典:wiki)
転機になったのは初代発売から4年後のDSi/LLからで、ここからGBAのソフト互換性が削除され、互換性維持に使われていたCPU、ARM7DTMIがより高性能なものに交換になったと思われる。
任天堂のゲーム機に使われているSoCは国内メーカーと協力して独自にカスタムしたチップが多く、はっきりとした概要は掴めない。
使われているチップがはっきりしたのはnVidiaが協力したSwitchからだ。
この表を見ると、任天堂はDSに細かく手を入れながら、互換性を維持し続け、互換性を発売時の売り上げのブーストとして利用していることが伺える。
つまり、Switchの前世代のゲーム機であるDSの例に倣うと、発売から4年後の2021年は互換性を維持しつつ、内部アーキテクチャーに大きめに手が入る年になる。
ただし、Switch Proの噂は2020年発売とされており、コロナウィルスの影響で延期されたとされているので、綺麗にDSと同様のスケジュールになっているわけではないだろう。
しかし、PS5やXbox Series Xを見ると、これ以上性能で離されるとマルチタイトルが移植されなくななる可能性が大きく、ここでそれなりに性能向上をした方が良いことは確かだろう。
※ 現在でもマルチタイトルはほとんど発売されていません。マルチタイトルで発売されたのは初代がかなり昔に発売されたSkyrimくらいです。
Switch Proに搭載されるSoCは何か?
現在はnVidiaのSoCであるTegra X1/+を搭載しており、システムも含めてすべてnVidiaが全面的に協力しているので、次もnVidiaのSoCが搭載される可能性は非常に高い。
では、現在までラインナップされているnVidiaのSoCからどのチップが搭載される可能性が高いのか見てみよう。
製造プロセス | アーキテクチャ | CPU | GPU | ダイサイズ | TDP | ||||||
コア数 | クロック | 演算性能 | L2 キャッシュ | コア数 | クロック | 演算性能 | |||||
Tegra X1 | 20 nm (TSMC 20 SoC) |
Cortex-A57 + Cortex-A53 |
4 + 4 | Cortex-A57 1.9 GHz |
単精度 73.6 GFLOPS 倍精度 18.4 GFLOPS |
2 MB + 0.5 MB |
CUDA Maxwell 256コア |
1024 MHz | 単精度 512 GFLOPS 半精度 1 TFLOPS |
118mm2 | 15W |
Tegra X1+ | 16 nm | 1267 MHz | 単精度 649 GFLOPS 半精度 1298 GFLOPS |
不明 | 15W | ||||||
Tegra X2 (Parker) | 16 nm | Denver 2 + Cortex-A57 |
2 + 4 | 2.0 GHz + 2.0 GHz | 単精度 40 GFLOPS 倍精度 20 GFLOPS |
2 MB + 2 MB |
CUDA Pascal 256コア |
1465 MHz | 単精度 750 GFLOPS 半精度 1.5 TFLOPS |
不明 | 15W |
Xavier | 12 nm | Nvidia Custom Carmel |
8 | 2.26 GHz | 8MB | CUDA Volta 512コア |
1377 MHz | 単精度 1410 GFLOPS 半精度 2.820 TFLOPS |
350mm2 | 30W | |
Orin | ? nm | ARM Hercules | 12 | 不明 | 8MB | CUDA Ampere ?コア |
? | 不明 | 5W-45W |
現後期に搭載されているTegraX1/+から最新のOrin迄のラインナップを一覧表にしてみた。
噂でも上がっているが、恐らく、搭載されるのは12nmのXavierのカスタムチップになると思われる。
5nmのSoCを搭載するのではないかといわれるが、現行のSwitchが29,800円で、Switch Proの値段が上がったとしても4万円(39,800円)が限度だろう。
5nmのチップを搭載してペイできるかと言われればはっきり不可能だろう。
よって枯れたXavierをカスタムして使うものと思われる。
ただし、XavierはTegraX1と比較するとダイサイズがかなり大きいので、この辺をどのようにするのかと言ったところだ。
元々、Xavierは機械学習向けのSoCであり、純粋なゲーム用途としては、同じTDPにならすとTegraX1+からあまり性能が上がっているとは言えない。
Switch Proは4Kに対応できるのか?
Xavierは30WのTDPを使ったとしてもFP32で1.4TFLOPS程度、これはRyzen4000GシリーズのVega8の以下の性能しかないことになる。
これで4Kゲーミングは不可能で、FP32演算性能だけで言えば、GTX1650の半分程度に過ぎない。
ただし、恐らく、15W以下にTDPを落として使用するものと思われるので、もっと性能は落ちるだろう。
現行のTegraX1+の1.2倍程度の性能になると思われる。
ではこの貧弱なSoCでどうやって4Kゲーミングを可能にするのか?
管理人の予測では、恐らく、Switch Proは現行Switchと同じくタブレット型になり、液晶はFullHD(1920X1080)、ゲーム機のHDMI出力はWQHD(2560X1440)になるのではないかと考えている。
それを内蔵のTensorコアでアップスキャンした画像を4KにAI補正して出力するのではないだろうか。
こうすればゲーム性能がイマイチのVoltaをわざわざ使う理由も立つ。
液晶パネルにはMini-LEDが使われるのではないかとと言う噂もある。
仮に解像度が上がったとしても、消費電力を抑えることができるだろう。
一番のネックはそのまま使えばダイサイズがTegraX1の4倍以上になるXavierの巨大さだろう。
nVidiaのSoCはTegraX2あたりから、タブレットやモバイルより車載向けにシフトしてしまっている。
何が違うのかと言うと、巨大な電力の塊である車のバッテリーから電力を供給できるので、あまり省電力性が重視されなくなったことと、ゲーム用途としてはイマイチ使い道のなさそうなAI機能にシリコンを割いてしまっているということだ。
AI機能は別に使わないわけでもないだろうが、そこに使うなら少しでもGPU性能を上げた方が良いだろう。
単なる予想に過ぎないが、今年の初めあたりにはある程度情報が流れていたにも関わらず、最近さっぱり話を聞かなくなったので、思い出す意味でも読んでおいてもらえれば幸いです。
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