Oculus Questの製品レビュー二回目です。
私はOculus Questの購入にあたってはトラブルに遭いまくり、一回目のレビューはトラブル解決記なってしまいました。
今回はまともな製品レビューをしたいと思いま。
Oculus Questの概要
Oculus QuestはSnap Dragon835とバッテリーを内蔵する、ゲーミングPCなどを必要としない単体で動作するVRヘッドセットになります。
このVRヘッドセットをレビューするのはゲーミングPCのサイト(?)としては異例だと思います。
それではスペックを見てみましょう。
Oculus Quest(64GB) | Vive Pro | Vive | Oculus Rift S | Oculus Rift | Windows MR | Samsung Odyssey | |
ディスプレイ | 有機EL | 有機EL | 有機EL | 有機EL | 有機EL | LED | 有機EL |
解像度 | 1440×1600 ×2(枚) | 1440×1600 ×2(枚) | 1080×1200 ×2(枚) | 1280×1200 ×2(枚) | 1080×1200 ×2(枚) | 1440×1440 ×2(枚) | 1440×1600 ×2(枚) |
リフレッシュ レート | 72Hz | 90Hz | 90Hz | 80Hz | 90Hz | 90Hz, 60Hz | 90Hz |
視野角 | 不明 | 110度 | 110度 | 不明・Riftと同程度 | 110度 | 90度~105度 | 110度 |
位置トラッキング | 内臓 | 外付け | 外付け | 内臓 | 外付け | 内蔵 | 内蔵 |
価格 | 49,800 | 162,880 | 64,250 | 49,800 | 廃盤 | 4-6万円(機種による) | 日本未発売 |
その他 | 単体動作 | PC必要 | PC必要 | PC必要 | PC必要 | PC必要 | PC必要 |
Oculus QuestとPCで使うVRヘッドセットのスペック比較です。
Oculus Questは革命的なデバイスと言われていますが、何が革命的かといわれると、15-20万円ほどする高性能なゲーミングPCが無いと動作不可能なVRソフトを単体で動作させることが出来る点です。
また、液晶のスペックはセット価格16万円以上もするハイスペックVRヘッドセットのViveProと同レベルです。
価格は64GBのフラッシュメモリ内臓版で49800円です。
一般の感覚では高いという認識だと思いますが、ほぼ利益なしか若干赤ではないかといわれるほどの戦略的価格と言われています。
Oculus QuestはPCのVRヘッドセットと比較すると単体動作させるためにSoC(CPU、GPU)やメモリ、ゲームやOS保存用のFlashメモリ、無線LANアダプタ、バッテリーなどを内蔵する必要があります。
要はスマホのようなものが一式入っているということです。
スマホの価格に加えて、他にVRを実現するシステムの諸々コミであるにも関わらずPCのVRヘッドセットであるRift Sと同じ価格であることを考えるとOculus Questが如何に価格的に頑張っているかその一端がうかがえるのではないかと思います。
Questは先に発売された安価なOculus Goと比較するとVRで6DoFという体の位置のトラッキングが可能で、これもPCのVRヘッドセットと同じ機能です。
単体VRヘッドセットとしては世界初であり、ここもOculus Questが革命的なVRヘッドセットといわれる所以です。
また、Rift Sでは省かれたIPD(瞳間距離)調整用のスライダが本体底面に用意されています。
セット内容
では早速セット内容を見てみましょう。
実はトラブルで一度返品していますので、写真を撮っているのは最初に来た1台めのOculus Questです。
当然ですが、中身はどれも同じです。
※ 画像はクリックで別Windows・タブで拡大します。
本体X1
Oculus Touch コントローラー・右用・左用各1
Oculus Touch コントローラー用電池X2
メガネ用スペーサーX1
充電用アダプタX1
充電・PC接続用ケーブルX1
説明書一式
となります。
初期設定
初期設定にはスマホが必要になります。
AndroidかiPhoneです。
Androidは6.0以上、iPhoneはios10.0以上が必要になります。
このスマホアプリが動作しなかった場合、Oculus Questには単体での設定機能が全くありませんので、本当に何もできないということになります。
私はここでトラブルになり、起動と終了しかできませんでした。(笑
装着感
重量は571gとされていますが、メガネスペーサー装着時の重量は594gでした。
私はVRヘッドセット初体験で他のVRデバイスと比較はできませんが、重たいです。
装着すると前にかかるような重みを感じます。
年を取った方や女性の方などは長時間ゲームや動画などを楽しむのは難しいのではないかと思います。
この点は、現行のVRデバイスすべてに共通することですが、つけていることが意識できる時点でまだまだ未完成で、普及に時間がかかるのかなと思います。
また、Oculus Touchコントローラーは非常に質感や触り心地にまで気を使われており、満足度が高いです。
このコントローラーが使えるというだけでOculusを選ぶ意味はあると思います。
ケーブルフリーの快適さ
Oculus Questは単体で動作します。
インターネット接続が必要なので、固定回線のWiFiが必要になります。
4Gのスマホテザリングでも動作するのかもしれませんが、私がサポートを受けた際には「設定アプリの動作にはWiFiとBluetoothが必要」と言われましたので、4Gのテザリングでは無理だと思います。
このあたりのことはハッキリ公式のHPにも書いておらず、トラブルになりそうな予感がします。
何か面倒のように感じますが、一旦動作さえしてしまえば、非常に快適に動作します。
余計なケーブルがついてないのは非常に快適です。
私のようにごくごくまれにトラブルに当たる方もいるかもしれませんが、そうでなければ躓くところはほぼありません。
表示の品質
表示の品質は体験するコンテンツに左右されますが、小さな文字などを見るとぼやけていて、この辺が現在のVRの限界なのかなあと思います。
また、VRのコンテンツを見ると激しくVR酔いすることが多発しました。
私の個人的な体質の問題もあると思いますが、リフレッシュレートが72Hzに下げられているのも問題なのかなあという気もします。
ソフトを試した感想
FirstSteps
無料でついてくるチュートリアル
- VR上の様々な動作の練習
- 射撃
- ロボットとのダンス
この三つを体験することが出来ます。
最初の練習はブロックを投げたり、紙飛行機を飛ばしたり、リモコンの飛行船を操作したり、パンチングボールを殴ったりなど、VRにおける様々な動作を体験することが可能です。
特に射撃はスコアが出ますので、ちょっとしたゲームのように遊べます。
VR世界でどのような動作・体験が可能かを学ぶことが出来、エンターテイメントとしても優秀だと思います。
BeatSaber
PSVRにも即移植されたリズムゲームのBeatSaver
リズムゲームとVRの相性が良いこともあってリズムゲームは非常に多く、中でもBeatSaverは評判が高いため、あちこちで良い、良いといわれていて食傷気味だったのですが、前評判通り、やはり非常に良いです。
こちらは無料でチュートリアルと1ステージだけ遊べると体験版があり、嫌いな方でもぜひ一度体験してみることをお勧めしておきます。
定評があるというのは優秀でもあるということです。
OculusTV
OculusTVの中にはヘリで撮影した空中動画やスカイダイビングの動画がありますが、360度で撮影された動画は非常に没入感が高く、お勧め。
Oculus Questのブラウザで見るYoutubeのVR動画は普通の動画なのですが、それとは段違いの没入感です。
ただし、ロードバイクの動画やスカイダイビングの動画はカメラのブレがそのまま伝わるため激しくVR酔いしました。
こちらを試される方はいつでも動画が止められるように準備しておいた方が良いでしょう。
他にわたくしが可能性を感じたのはカントリーミュージックか何かをやっているバンドのライブ映像でした。
さびれたライブハウスの最前列のさらに前、女性ボーカルの目前でライブを体験するという動画でしたが、これには非常に可能性を感じました。
小さなライブハウスであってもOculus QuestやOculus Goがあれば配信できるというのは大きな経済効果を見込めるコンテンツに成長する可能性があります。
落語や歌舞伎、ミュージカル、クラッシックバレエなどにも応用できるでしょう。
Youtube VR
このYoutubeはメニューにあるブラウザではなく、アプリ版です。
ブラウザではなく、360度VR動画対応のアプリで見るとOculusTVと同様の没入感が体験できます。
無料でかなりの体験ができるため、非常にお勧め。
こちらもローラーコースター(ジェットコースター)の動画を体験したのですが、かなりのVR酔いに襲われました。
こうしたスピードやスリルを体験するタイプの動画は再生直後に一旦停止して、いつでも止められるように準備しておいた方が良いと思います。
Youtube内の360度VR動画に関しては、初代Oculus Riftが発売された3年前の動画が多く、最近のものはかなり減っています。
Youtube内の動画は作る方も無料、使う方も無料で利用できますので、よくも悪くも流行をそのまま反映しています。
Oculus Questの発売も根本的な解決にはなっていないようで、やはり何らかのテコ入れが必要なのだと思います。
VR動画には有料のものも多いですが、数分で1000円以上することもあり、有料の動画を購入する前に、アプリ版のYoutubeVRをインストールして体験してみることをお勧めしておきます。
大抵のものはそろっています。
MMDのVR動画(PV)をいくつか見てみましたが、本当に目の前に存在しているかのようでした。
※2019年7月6日追記
Creed: Rise to Glory
ボクシングゲーム。無料のデモ版がプレイできます。
メッチャ楽しいです。
ボクシングの動作を実際に体を動かして操作します。
COM戦は単調と言われていますが、一戦だけのデモ版でも夢中になるくらいハマります。
無料のデモ版は絶対に一度はプレイしてみるべき。
ケーブルが無いのがすごくいいです。
Journey of the Gods
無料のデモ版でプレイ
アクションRPG。普通のアクションRPGと違うのは操作を全部自分でやること。
剣を振り、盾を構え、クロスボウを引いて敵を倒します。
魔法を使えるようですが、よくわかりませんでした。
このゲームに関してはVR酔いがひどく、途中で断念。
ただ、中ボスなどが見上げるほど巨大で、普通に面白そうでした。
日本語には対応してませんので、注意。
英語がわからないとストーリーなどが全く分かりません。
Space Pirate Trainer
無料のデモ版でプレイ
固定視点のガンシューター。
敵の攻撃を体躱すのと一定の動作で出てくる盾で防ぐことが出来ます。
盾は出し入れにタイムラグが発生するのと、片方の銃が使えなくなりますので、攻撃力が1/2になります。
こちらも面白いです。
こちらも見上げるほど巨大なボスが出てきますが、そこでデモは終了、あとは製品版を買ってねという構成でした。
Sports Scramble
ルームスケールが無いとメニューの操作すらも困難です。
そのため、あまり満足にプレイできませんでしたが、部屋が広ければテニスなど様々なスポーツが体験できます。
※ 追記ここまで
ALVR
ALVRはOculus QuestでSteamVRを利用できる野良アプリです。
※ 野良アプリというのはOculusに正式に認められていないアプリのこと。
当然ですが、利用にあたっては高性能なゲーミングPCが必要で、可能ならばGTX1080Ti/RTX2080/RTX2080Tiのいずれかを用意した方が良いでしょう。
CPUはCore i9-9900Kが良いと思います。
VR再生+VRの描画データをストリーミングサーバーとしてOculus Questに配信する必要がありますので、通常のVRより高性能なPCが必要です。
また、PCで再生したVRのデータをWiFi経由でQuestに送信する必要がある都合上最低IEEE802.11aの866Mbps以上に対応した無線LANのルーターが必要になります。
具体的な方法は下記のページにて解説されています。
JoyToKeyにはあまり関係のない話 – 【VR】Oculus Quest と ALVR で完全ワイヤレス PC VR 環境ができた!
私も一つ一つ手順を書いて解説しようかなと思ったのですが、上の手順を見てわからないレベルの人がOculusの開発者モードをオンにして野良アプリをインストールするにはいかがなものかとも思いますのでとりあえず解説は無しにしておきます。
もし要望があるようであれば、コメント欄に書いていただければ検討します。
SteamVRのホームなどの表示とVRカノジョの体験版をインストールして実行してみましたが、正常に動作しました。
ただし、うちの環境では周囲に10以上の無線LANアクセスポイントが見える百鬼夜行のような状態ですので、結構な頻度で動画が乱れることがありました。
表示の品質などは特に気になりません。
おそらくこのシステムが、現在日本でケーブルレスでPCVRを体験できる数少ない方法の一つだと思います。
これが出来ることを知っていたのでわざわざOculus Questを購入したのですが、ばっちりはまってかなり得した気分になりました。
ある程度の知識をお持ちの方は是非試してみることをお勧めします。
※2019年7月6日追記
ソフトの感想
最初のころはVR酔いがひどくて、あまりプレイしていなかったのですが、CreedやSpace Pirate Trainerなどはゲームとして普通に面白いです。
こうしたVRの特性を生かしたゲームというのは作るのもなかなか難しいと思います。
Creedなどのスポーツ系のエアロビックな内容を含んだゲームはかなり面白いですので、運動が長続きしなかった方にもおすすめです。
かなり動きますし、面白いので、プレイしようという気になります。
QuestにはRiftにあって特に評価の高いゲームが移植されていると思うのですが、まだまだ選ぶほどあるという感じではありません。
「このゲームが欲しいからQuestを買う」というようなVRならではの独占タイトルが欲しいところです。
いくつかのゲームをプレイすると、見上げるほどの巨大ボスが出てきますが、こうした巨大なボスを多人数で協力して攻略するようなゲームがあれば面白いんじゃないかと思います。
VR、それもケーブルレスのVRには大きな可能性を感じました。
ただ、Riftが発売されてから三年。VRの世界は停滞というか膠着状態に陥ってる感がありますので、メーカーさんにはぜひ頑張ってVRの世界を盛り上げていってほしいです。
※ 追記ここまで
その他
Oculus Questのヘッドフォン端子はなぜか右と左、両方別々に端子が二つに分かれているのですが、以下のイヤホンを二つ購入して済ませました。
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公式アイテムで「Oculus Questインイヤー型ヘッドホン」が売っているのですが、現在品切れで、価格も\6200と高いです。
また、その他の注意点として、VRシステム全般に言えることですが、斜視になる可能性が指摘されていますので、中学生未満のお子様には絶対にプレイさせないこと、さらに、大人の方でも未婚の男女の方や営業などの対人業務に着かれている方は定期的に鏡で斜視になっていないかどうかチェックした方が良いと思います。
総評
単体VRヘッドセットとしても使え、ALVRをインストールできればPCVR用の無線VRヘッドセットとしても使えるOculus Questは非常に有用なシステムだと思います。
他のVRヘッドセットと比較したことはありませんが、かなりのVR酔いに襲われましたので、それが唯一の欠点と言ってもよいと思います。
この辺は個人差があると思いますので、あまり動きの激しくないVRコンテンツを中心にされるなら、かなり有用なシステムだと思います。
CPUがARMのSoCとしてもかなり型落ちのSnapDragon835内臓CPUですので、性能的には大したことがありませんが、ソフトメーカーさんが工夫することによって、PC版とそう変わらないVR体験をすることが出来ます。
単体のVRシステムを中心に検討されている方は特にお勧めします。
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※トラブル解決記にも書きましたが、amazon本体と公式以外から購入するとサポートが受けられませんので注意してください。
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