4/19にRyzen 2000 Seriesプロセッサが登場した。
取り急ぎスペック情報はCPUの仕様ページに下の表と全く同じものが纏めてある
コア数/ スレッド数 | 動作 クロック (GHz) ベース | 動作 クロック (GHz) ターボ 全コア | 動作 クロック (GHz) ターボ シングル | GPU | TDP(W) | L2キャッシュ | L3キャッシュ | 発売日 | ||
Ryzen7 | 2700X | 8/16 | 3.7 | 3.85 | 4.3 | 無し | 105 | 512KBX8 | 16MB | 2018/4/19 |
2700 | 8/16 | 3.2 | 3.6 | 4.1 | 無し | 65 | 512KBX8 | 16MB | 2018/4/19 | |
Ryzen5 | 2600X | 6/12 | 3.6 | 4.0 | 4.2 | 無し | 95 | 512KBX6 | 16MB | 2018/4/19 |
2600 | 6/12 | 3.4 | 3.7 | 3.9 | 無し | 65 | 512KBX6 | 16MB | 2018/4/19 | |
1600AF | 6/12 | 3.2 | 3.3 | 3.6 | 無し | 65 | 512KBX6 | 16MB | 2020/5/16 |
今回、どのように性能が向上したのか、旧モデルであるRyzen1000Seriesとライバルであるintel Core i7-8700K/Core i5-8600Kと比較していきたい。
概要
Ryzen7 2700X | Ryzen5 2600X | Ryzen7 1800X | Ryen5 1600X | Core i7-8700K | Core i5-8600K | |
コア名 | Zen+ | Zen+ | Zen | Zen | Coffee Lake | Coffee Lake |
製造プロセス | 12nm | 12nm | 14nm | 14nm | 14nm++ | 14nm++ |
コア数/スレッド | 8/16 | 6/12 | 8/16 | 6/12 | 6/12 | 6/6 |
ベースクロック | 3.7GHz | 3.6GHz | 3.6GHz | 3.6GHz | 3.7Ghz | 3.6GHz |
ターボクロック | 4.3GHz | 4.2GHz | 4.0GHz | 4.0GHz | 4.7GHz | 4.3GHz |
L3キャッシュ | 16 | 16 | 16 | 16 | 12 | 9 |
メモリ | DDR4-2933 | DDR4-2933 | DDR4-2666 | DDR4-2666 | DDR4-2666 | DDR4-2666 |
PCIExレーン数 | 16 | 16 | 16 | 16 | 16 | 16 |
TDP | 105 | 95 | 95 | 95 | 95 | 95 |
価格 | $329 | $229 | $320 | $200 | $349 | $259 |
※ キャッシュはAMD公式はL1からL3キャッシュの合計、intel公式はL3キャッシュのみとなっていますので、表ではL3キャッシュの容量に統一しています。
Ryzen7 2700X,Ryzen5 2600XはRyzen7 1800X,Ryzen5 1600Xのそれぞれ後継と思われるが、製造プロセスが14nmから12nmに変更になり、ベースクロック、ターボクロックともに順当にアップしている。
ただ、そのためか最高性能モデルであるRyzen7 2700XはRyzen7 1800Xと比較するとTDPが95Wから105Wにアップしており、いかに製造プロセスが進化してもそれなりの代償を払わねばならなかったようだ。
このRyzen7 2700XはTDPがアップしているため、同時期に発表されたAMD X470チップセットと組み合わせる必要があるとのことだ。
しかし、ASUSのHPで「ROG STRIX X370-F GAMING」のサポートCPUを見てみたところ、BIOSをアップデートすればTDP105WのRyzen7 2700Xをはじめ今回発売されたRyzen2000シリーズのCPUは全て使えるようだ。
ここはAMDプラットフォームの優位性だ。各製品によって異なると思うが、おそらく多くのモデルでBIOSをアップデートすればX370/B350といった旧モデルでもマザーボードを変更することなく、Ryzen2000シリーズのCPUを使えるだろう。
既にRyzenが動くシステムをお持ちの方はマザーボードの買い替えを検討する前に自分のマザーボードでRyzen2000シリーズが動くBIOSがアップデートされているか確認してみることをお勧めする。
新規に購入される場合は新しいX470チップセット搭載マザーボードと組み合わせるのが無難だ。
その他、目を引くのはメモリがDDR4-2666からDDR4-2933に高速化され、L1キャッシュが13%,L2キャッシュが34%,L3キャッシュが16%高速化された点だ。
製造プロセスの進化とこうした改良によってシングルコア当たりの性能が数%程改善されたと公式に発表されている。
具体的なベンチマーク
geekbench4 | 3D Mark TimeSpy(DX12) | |||
Single | Multi | CPU | All | |
Ryzen7 2700X | 4,883 | 25,411 | 8,843 | 9,391 |
Ryzen7 2600X | 4,789 | 22,178 | 8,153 | 9,127 |
Ryzen7 1800X | 4,582 | 23,058 | 6,513 | 8,940 |
Ryen5 1600X | 4,565 | 19,934 | 6,006 | 8,940 |
Core i7-8700K | 5,673 | 24,356 | 7,623 | 8,844 |
Core i5-8600K | 5,308 | 20,406 | 5,483 | 8,447 |
Ashes of the Singularity: Escalation,FullHD,Veryhigh | Grand theft Auto V,FullHD,VeryHigh | Assassin's Creed: Origins,FullHD,VeryHigh | For Honor,FullHD,Extreme | |
Ryzen7 2700X | 94.7 | 102.9 | 85 | 173.1 |
Ryzen7 2600X | 92.4 | 98.9 | 79 | 187.3 |
Ryzen7 1800X | 90.9 | 89.1 | 82 | 170.7 |
Ryen5 1600X | 87.2 | 84.2 | 74 | 183.8 |
Core i7-8700K | 103.7 | 116.3 | 93 | 169.4 |
Core i5-8600K | 90.4 | 105.1 | 78 | 166.9 |
※ 単位はFPSです。GPUはGTX1080Tiです。
まず、当サイトでも指標の一つとして使っているGeekbench4だが、旧モデルのRyzen7 1800X,Ryzen5 1600Xと比較するとシングルスレッド性能で6-7%ほどの向上が見られる。クロック数の変化と先ほどのキャッシュの改良によるクロック当たりの性能の3%向上と合わせると妥当な数字だ。
新旧モデルいずれでもシングルスレッド性能ではCore i7 8700Kにはかなわないものの、マルチスレッド性能ではRyzen7 2700XがCore i7 8700Kをわずかに上回っており、TDPを10W向上させようが意地でもCore i7 8700Kを抜き去るというAMDの強い意志が感じられる結果だ。
またゲーム系の3D Mark TimeSpy(DX12)ではAMDには有利な結果が出ている。
しかし、実ゲームではおおむねCore i7 8700Kの方が良い結果を出しており、やはりゲームの大部分はintel製のCPUに最適化が進んでいることが伺える結果となっている。
これらの性能差があってもCore i7 8700Kの$349とRyzen7 2700Xの$329という価格差を考えると、ゲームにおける実使用では非常にお買い得感の高いCPUと言えるのではないかと思う。
多くのゲームはintel製のCPUを公式に推奨しているので、初心者の方はやはり、最初はintel製のPCを購入したほうが良いと思うが、AMD製を選ぶ際のデメリットを理解してこうした価格的、性能的なアドバンテージが生かせる中級者・上級者の方はぜひRyzen2000シリーズを手にしてほしいと思う。
こうした動きを受けてか、Core i7も8コア化するのでは?という噂も流れている。
やはりこのような僅差の性能競争があると市場が活性化してユーザーの購買意欲も増すと思うので、ここに来てRyzenの新モデル投入は自作、ゲームPC全体にとって良いニュースなのではないだろうか。
ソース:The Ryzen 7 2700X and Ryzen 5 2600X Review: Zen Matures
その他,Ryzen2000シリーズ登場に関係する気になる話
Ryzen2000シリーズに合わせてX470チップセットが登場したが、Z490,B450が登場するという噂が流れている。
AMDのチップセットでZ系というのは初登場のシリーズでうわさが本当ならば、X470よりもさらに上位の製品が登場することになる。
ソース:Rumor Roundup: AMD Z490, ASUS AREZ, Intel 8-Core CoffeeLake