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ReactOS、FEX経由でARM64上でx64版Windowsソフトを実行可能に

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■事実

ReactOS開発者のAhmed Arif氏(通称SidiHmeed)が、実験的なARM64版ReactOS上でx64版WindowsソフトをFEX経由で実行するデモを公開しました。

具体的にはx64 Windows版のNintendo64エミュレータ「Mupen64Plus」(Rice OpenGLプラグイン使用)を起動し、その中で「スーパーマリオ64」を動作させました。

つまり「N64ゲーム→x64版Windowsエミュレータ→FEXによる変換→ARM64版ReactOS」という複数の変換層を経て動いていることになりまする

FEXは本来、ARM64版Linux上でx86・x64アプリケーションを実行するためのユーザーモードエミュレータです。

FEXのコアは「取り外し可能」な設計であり、Wine内でもWoW64・ARM64ECのバックエンドとして機能しており、この汎用性がReactOSへの組み込みを可能にしました。

ReactOSプロジェクト公式もこの成果を「重要な節目(massive milestone)」としてX(旧Twitter)で発表しています。

最新版のFEX(バージョン2609)には変換済みコードを保持するJITディスクキャッシュが搭載され、ゲーム初回起動時のもたつきが緩和されています。

Ahmed Arif氏はReactOSのARM64移植を主導しており、2026年前半にRaspberry Pi 5での初起動を達成、その後より旧型のRaspberry Pi 3にも独自のEthernet・Wi-Fiドライバーで対応してきました。

ReactOS自体は1996年発足、2026年で30周年を迎えたオープンソースのWindows NT互換OSプロジェクトで、2026年に最新版0.4.16をリリースです。(開発期間1年半)

ReactOSは現在も「アルファ版」の位置づけで、ARM64ビルドはその中でもさらに実験的な段階です。

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解説

そもそもReactOSとは何かというと、Windows NT系OSをゼロから再実装しようとしているオープンソースプロジェクトで、今年でちょうど発足30周年だ。

30年経ってもいまだにアルファ版というのが、このプロジェクトの本気度と難易度の両方を物語っている気がする。

 

今回の成果はいきなり出てきたわけではなく、今年5月にRaspberry Pi 5でARM64版ReactOSが初めて起動し、そこからドライバー対応やマルチコア(SMP)対応を地道に積み重ねてきた延長線上にある話だ。

今回の「x64ゲームが動いた」というのも、実際には「N64ゲーム→x64版エミュレータ→FEX変換→ARM64 ReactOS」という何重にも変換を重ねた力技で、正直かなり回りくどい。

 

MicrosoftのWindows on Armも「x64アプリをARM上でどう動かすか」という同じ課題に長年苦しんできた経緯があり、ReactOSが同じ壁にぶつかってFEXという別プロジェクトの力を借りて突破しようとしているのは、非公式ながら似た解決策に収束していて興味深い。

 

FEXはもともとARM64版LinuxやmacOS向けのx86/x64エミュレータとして開発されてきたプロジェクトで、Wineのバックエンドとしても使われている。今回ReactOSに組み込まれたことで、「Windows互換レイヤーを支える縁の下の力持ち」としての存在感がさらに増した。

 

ただし勘違いしてはいけないのは、これで「ARM版ReactOSで最新のWindowsゲームがサクサク動く」わけでは全くないということ。あくまで実験的なデモであり、ReactOS自体がまだアルファ版、ARM64ビルドはさらにその中でも実験段階という二重の意味で「とりあえず動いた」レベルの話だ。

 

N64エミュレータを動かすためにx64→ARM64変換エミュレータを積み重ねるという、エミュレータ・オン・エミュレータ状態になっているのがちょっとシュールで笑ってしまう。

「動くには動いた」を積み重ねて30年、というReactOSの歩み方を見ていると、地味だけど着実に前進しているのが伝わってくる。