■事実
AMDは既にZen6アーキテクチャの製品展開を開始しており、7月末の社内イベントでZen7・Zen8アーキテクチャのロードマップも正式に発表しました。
公式発表されているのはEPYC(サーバー向け)のロードマップ部分であり、Zen7世代のEPYCはコードネーム「Florence」(または「Snowmass」)と呼ばれています。
Zen7は既存のAM5デスクトッププラットフォームとの互換性を維持する方針で、PCIe 5.0・DDR5のサポートも継続する見込みです。
リーカーのMoore’s Law Is Dead(MLID)氏が公開したリーク情報によれば、Zen7のCPUコア自体の開発コードネームは「Prometheus」、CCD(コアチップレット)は「Grimlock」と呼ばれています。
リーク情報ではIPCがZen6比で15〜25%向上すると説明されているが、これはアーキテクチャ全体の目標値・クロックあたり性能の話であり、あらゆる負荷で常に25%高速になるという意味ではない点に注意が必要です。
コア構成についてリークでは、1コアあたりL2キャッシュ2MB・L3キャッシュ4MBを搭載し、FP512命令やCCD内蔵のAIアクセラレーション機能を備えるとされています。
サーバー向けEPYC「Florence」は最大8基のCCD(開発コードネーム「Steamboat」)を組み合わせることで最大288コアに達するとの情報があり、さらにその後継として384コアのモデルが2028年半ばに投入されるとの噂もあります。
製造プロセスはTSMCの次々世代ノード「A14」(1.4nm世代)が中心となる見込みで、CPUコア用チップレットにA14、I/Oダイには3nm世代のN3C、L3キャッシュ用ダイには4nm世代のN4Pを使う3種類の製造プロセスを組み合わせる設計が噂されています。
TSMCは2025年4月にA14プロセスを正式発表しており、2027年にリスク生産、2028年に量産開始という計画を公式に維持しています。(2026年7月の決算説明会でも計画通りと説明)
TSMCによれば、A14は前世代のN2(2nm世代)と比較して同一消費電力で最大15%の性能向上、または同一速度で最大30%の消費電力削減、加えてロジック密度20%以上向上を実現するとされています。
AMDはZen7・Zen8のロードマップ自体は公式発表しているが、384コアという具体的な数値やGrimlock・Prometheusといったコードネーム、A14採用の詳細についてはAMD自身は公式に確認していません。
ソース
https://pbxscience.com/amds-zen-7-cpus-reportedly-aim-for-384-cores-on-a-1-4nm-process-with-up-to-25-ipc-gains/
表(プロセス構成・ロードマップ整理)
| 項目 | 内容 | 位置づけ |
|---|---|---|
| アーキテクチャ | Zen7(コアコードネーム「Prometheus」) | AMD公式発表(存在のみ)/詳細はリーク |
| サーバー製品 | EPYC「Florence」(別名Snowmass) | リーク |
| CCDコードネーム | Grimlock | リーク |
| コア構成(噂) | 最大288コア(8×Steamboat CCD)、さらに384コアモデルの噂も | リーク(未確定) |
| CPUコア用プロセス | TSMC A14(1.4nm世代) | リーク |
| I/Oダイ用プロセス | TSMC N3C(3nm世代) | リーク |
| L3キャッシュ用プロセス | TSMC N4P(4nm世代) | リーク |
| IPC向上目標 | Zen6比15〜25% | リーク |
| デスクトップ互換性 | AM5継続、PCIe 5.0・DDR5維持 | AMD公式方針の延長(詳細はリーク) |
| 投入時期 | 2028年半ば見込み | リーク(TSMC A14量産開始は2028年で公式ロードマップと整合) |
■解説
384コアという数字は現行EPYC(最大192コア/384スレッド)のちょうど倍に相当し、インパクトの大きい数字だが、この部分はAMD公式発表ではなくリーク情報に基づく点は強調しておきたい。
情報源であるMoore’s Law Is Dead(MLID)は、PS5 Proの仕様など「当てた」実績がある一方で、Blackwell供給量の予測を外すなど的中率にはムラがあるとされる人物。今回の384コア・A14採用という具体的すぎる数字は、現時点では「野心的な噂」程度に受け止めるのが妥当ではないか。
一方でAMD自身がZen7・Zen8のロードマップ存在を7月末に公式発表している点は重要で、「Zen7が存在すること」自体は確定情報、「384コア・A14」という具体的スペックは噂、という情報の切り分けが必要だ。
TSMCのA14ノードは2028年量産開始が公式ロードマップ通りに進んでいる(2026年7月の決算でも計画通りと説明)ため、AMDがZen7でA14を使うこと自体のタイミング的な整合性は取れている。
IPC「15〜25%」という数字は、TSMCがA14についてN2比で公表している性能向上幅(同電力で15%高速、または同速度で30%省電力)とほぼ整合的であり、プロセス微細化による素直な伸びとして解釈できる数字。逆に言えば「AMDの設計努力による上積み」がどこまであるかは未知数だ。
AM5プラットフォームの互換性がZen7でも維持されるという情報は、AMDが一貫してソケット延命を重視する姿勢の延長線上にある。過去記事で触れたAM5サポート期間の段階的延長(2025年→2027年→2029年)とも整合する話だ。
384コアのEPYCが実際に投入されるとしても、それはあくまでハイエンドサーバー向けの話であり、コンシューマー向けRyzenには直接関係しない。この手のニュースを見て「次のRyzenも384コア化する」と誤解しないよう釘を刺しておきたい。
2028年発表予定の製品を今から「IPC25%」と言われても、正直2年後にはまた新しい噂に上書きされているのがこの業界の常。半導体ロードマップのリークは「答え合わせは2年後」の気持ちで眺めるくらいがちょうどいい。
384コアのサーバーCPUが誕生する頃には、こちらのPCのメモリ価格がどうなっているかの方が正直気になるところだ。