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任天堂、売上高9.5%減も利益は150%増 ─ 高利益率ソフトと関税還付が四半期を左右

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■事実

任天堂は8月6日、2026年4~6月期(2027年3月期第1四半期)連結決算を発表しました。

純利益は前年同期比53.5%増の1474億2300万円でした。

売上高は前年同期比9.5%減の5178億円でした。

営業利益は前年同期の2.5倍にあたる1425億9600万円でした。

Nintendo Switch 2の販売台数は382万台、前年同期比34.4%減でした。

初代Nintendo Switchの販売台数も66万台、前年同期比32%減でした。

Nintendo Switch 2の世界累計販売台数は2026年6月末時点で2368万台(ソフトは5817万本)です。

Switch 2は2025年6月5日発売。発売4日間で350万台を売り上げ、任天堂ハード史上最速のセルスルーを記録しました。

発売7週間で世界累計600万台を突破しています。

2026年3月期(25年4月~26年3月)の四半期別販売実績:Q1(発売直後の約1カ月)582万台/Q2(25年7~9月)454万台/Q3(25年10~12月、「カービィのエアライダー」発売効果)701万台/Q4(26年1~3月)249万台です。

上記の結果、2026年3月期の年間累計は1986万台。これは初代Nintendo Switch発売初年度の通期実績を上回るペースです。

2026年3月期第3四半期時点(25年12月)で累計1737万台に到達し、同社ハードとして史上最速で1500万台の大台を突破しています。

2027年3月期第1四半期(26年4~6月)は382万台を追加し、累計2368万台に到達(本欄冒頭の数値)しました。

通期(27年3月期)の販売計画1650万台は据え置き。計画通りなら年度末の累計は3636万台に達する見通しです。

比較すると、ソニーのPS5は2026年6月末時点で累計出荷9530万台です。(2020年11月発売、発売から約5年半)

比較すると、初代Nintendo Switchは同時点で世界累計1億5659万台。発売から9年以上が経過してもなお四半期ベースで66万台を販売しており、現役ハードとして推移中です。

初代Nintendo Switchの世界累計販売台数は1億5659万台です。

Switch 2向けソフトウェアの売上は前年同期比9.2%増、3月発売の「ぽこ あ ポケモン」やロングセラータイトルが牽引しました。

4月に公開した新作映画「ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー」が好調で、映像関連収入が増加しました。

営業利益の押し上げ要因①は半導体メモリー価格高騰で本体の利益率は低下したが、利益率の高いソフトウェアの販売本数増加がこれを補ったことです。

営業利益の押し上げ要因②は米国のトランプ関税還付、約3億ドル(約470億円)を売上原価から減額し計上したことです。

営業利益の押し上げ要因③は円安基調による為替差益です。

関税還付の背景は2026年2月20日、米連邦最高裁がIEEPA(国際緊急経済権限法)を根拠とする「相互関税」等を6対3で違憲・無効と判断したことです。

最高裁判決を受け、米国際貿易裁判所(CIT)が3月に米税関・国境警備局(CBP)へ還付を命令、CBPは4月20日から段階的に還付手続きを開始しています。

通商法122条に基づく代替関税(上限15%、150日間限定)は判決後も引き続き有効であり、関税自体が消滅したわけではありません。

トランプ政権は6月、全輸入者への還付を命じたCITの判断を不服として控訴しており、還付制度の最終決着は係争中です。

2027年3月期の通期業績予想は据え置き、Switch 2の年間販売計画1650万台も維持しています。

日本国内では2026年5月にNintendo Switch 2「日本語・国内専用版」を49,980円から59,980円へ値上げしました。

表(数値比較・複数記事統合)

項目 2026年4-6月期 前年同期比
売上高 5,178億円 9.5%減
営業利益 1,425億9,600万円 2.5倍
純利益 1,474億2,300万円 53.5%増
Switch 2販売台数 382万台 34.4%減
Switch販売台数 66万台 32%減
Switch 2累計販売台数(6月末) 2,368万台
Switch累計販売台数(6月末) 1億5,659万台

 

 

ソース

解説

売上高が1割近く落ちているのに利益が1.5倍というのは、一見矛盾しているが「ハード事業の構造的な弱さ」と「ソフト事業の強さ」が両方数字に出ているだけだ。

Switch 2本体はメモリー価格高騰の直撃を受けて利益を出しにくい商品になっている一方、ソフトは原価率が低く売れれば売れるほど利益に直結する。

「ぽこ あ ポケモン」やロングセラー化しているタイトル群がこの決算の実質的な主役だ。

関税還付という要因を抜きにして営業利益の伸びを見ると、実態はもう少し地味な数字だった可能性が高い。

そもそもIEEPA関税は最高裁で「大統領の権限逸脱」と断じられた政策であり、その後始末(還付)が結果的に企業決算を押し上げているというのはなかなか皮肉な構図だ。

しかも還付制度自体はまだ控訴中で法的に確定していない。「もらえたラッキー」であって、来期も同じボーナスがある保証はない。

通商法122条の代替関税は生きているので、関税リスクがゼロになったわけではない点は見落とされがち。

Switch 2の販売台数が前年同期比34%減という数字は、通期計画1650万台を据え置いているとはいえ「発売2年目の踊り場」に入ったサインとして注視すべき。

四半期ごとの推移を並べると、Switch 2の販売曲線は「看板タイトル駆動型」であることがよく分かる。「カービィのエアライダー」が投入されたQ3だけ突出して701万台と伸びており、逆に言えば強力な新作がない四半期は勢いが鈍る。

直近(27年3月期Q1)の382万台は、通期計画1650万台を単純に4等分した場合の目安(1四半期あたり約412万台)にわずかに届いていない。年末商戦のタイトルラインナップ次第で巻き返せるかが今後の焦点だ。

5月に実施した国内版の値上げ(49,980円→59,980円)は、直近四半期の減速に一定の影響を与えている可能性がある。値上げ直前に駆け込み需要があった反動という側面も含めて、次四半期の数字を見てから評価すべきだ。

PS5との比較はよく話題になるが、PS5は発売から5年半かけて9530万台、Switch2は発売1年強で2368万台という単純な年換算ペースだけを見ればSwitch2の方が速い。ただしPS5側はすでにコンソールサイクル後半に入って新規販売が自然減速している段階の数字なので、両者を同じ土俵で比較するのはややフェアではない。

発売初日、抽選販売に外れて涙をのんだ人もいたはずだが、今やそんな空気はどこへやら。品薄が「懐かしい思い出」になるくらい状況は変わった。

初代Switchがいまだに66万台も売れているのは地味にすごい。息の長いプラットフォーム戦略という任天堂らしさがここにも表れている。

関税を払って、違憲判決で返してもらって決算が良くなるという流れ、任天堂の経理部はもしかして最高裁判例集を熟読しているのかもしれない。

今回の好決算は「本業の実力の伸び」というより「外的要因によるブースト」と捉えるのが正直なところで、次の四半期以降、素の実力がどう出るかが本当の見どころだ。

 

任天堂本社(京都)の外観と、業績を示す控えめなグラフのオーバーレイ。ビジネス系エディトリアル写真風(参照用)