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中国でNVIDIA・AMD製GPU価格が急騰、GDDR6/GDDR7コスト高騰が続く中、販売店がGPUの備蓄を開始

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■事実

値上げ通知の経緯

BenchLife(台湾)が7/23付で報じたところによると、NVIDIAはGDDR7(Blackwellアーキテクチャ搭載RTX 50シリーズ)とGDDR6(旧世代GeForce製品)の両方についてGPU KIT(GPUダイ+VRAM)の卸価格引き上げ通知をAIB各社に送付しました。

これは5月に実施されたRTX 5090/RTX 5090D V2向けの値上げに続くもので、対象が旧世代製品にまで拡大した点が今回の特徴です。

通知はASUS、MSI、Colorful、Inno3Dなど中国国内の主要メーカー宛てに送付されたとされています。

VRAM容量別の値上げ幅は、8GBモデルで600元(約1万4,500円)、12GBモデルで900元(約2万1,800円)、16GBモデルで1,200元(約2万9,000円)の卸価格上昇と報じられています。

中国国内の実勢価格

RTX 5090D(32GB)は前日比22.5%上昇、中国向けMSRP(税込)の2倍超の水準に到達しています。

RTX 5090D V2(24GB)は12.8%上昇し、最低でも3,500ドル台での取引です。

RTX 5080シリーズは1,500ドルを突破、RTX 5070 Tiは21.8%、RTX 5070(無印)は16.2%それぞれ上昇しました。

RTX 5060シリーズ全般が約15%上昇、エントリー向けRTX 5050も13.2%上昇しました。

AMD Radeon RX 9000シリーズも14.3%〜28.8%の値上がり、Intel Arcも200ドル台前半から300ドル近くまで上昇しています。

AIB各社の卸値・実勢価格データ

Colorful(中国本土最大手のAIBパートナー)の7/25付卸値リストでは、RTX 50シリーズ全体でMSRP比40〜50%の上昇しています。例:RTX 5080 Vulcan W OC 16GBは1,948ドル(MSRP1,225ドル比+59.0%)、RTX 5070 Ti Vulcan W OC 16GBは1,476ドル(MSRP930ドル比+58.7%)です。

MSIの7/25付卸値リストでは前週比10〜20%の上昇。RTX 5090D V2 24GBは3,837ドル(+13.0%)、RTX 5080 16GB Gaming Trio OCは1,919ドル(+18.2%)です。

RTX 5060 Ti 16GBは1か月前の3,229元(約7万8,100円)から4,999元(約12万1,000円)へ上昇(WCCFtech記載の別データ)、記事内の別箇所では2,499元(約6万500円)から3,500元以上(約8万4,700円以上)への上昇例も紹介されています。(時期・店舗により幅がある点は明記が必要)

旧世代のRTX 3050も2,199元(約5万3,200円)〜平均2,500〜2,600元(約6万〜6万3,000円)まで上昇。廉価帯のGT 1030でさえ629元(約1万5,200円)に達しています。

個別事例・その他の動き

ASUS直営店では、RTX 5090搭載デスクトップPCの価格が55,500元(約134万3,000円)から59,000元(約142万7,000円)へ1日で引き上げられた事例が報告されている。販売員によるとNVIDIA側の値上げ分は5,000〜6,000元だが、ASUSがそれに独自の上乗せを行ったとされています。

記事内では、一部の小規模販売店が仕入れ元の値上げ発表を受けて即座に価格を2倍にしたり、店頭から商品を撤去したりする動きが報じられており、これに対する消費者の反発コメント(”待てば下がる”という常識が通用しない、便乗値上げではないか、という趣旨)も紹介されています。

流通・小売側でGPUを売り惜しみし、将来のさらなる値上がりを見込んで在庫を確保する動き(stockpiling)が確認されています。

記事は仮想通貨マイニングブーム時との比較にも言及しており、当時は小売価格への反映に1か月程度かかったのに対し、今回は通知から一晩で価格が変動している点を強調です。

中国のGPU税込価格には13%の付加価値税(VAT)が上乗せされるため、メモリコスト由来の値上げ額(1枚あたり75ドル程度と試算)が最終的な実勢価格では約100ドル相当まで膨らむとされています。

別途、証券アナリスト(Jefferies)による予測として、DRAM価格は2026年第3四半期に50%、第4四半期にさらに40%上昇するとの見通しが引用されており、価格の落ち着きは2028年まで見込めないとの指摘があります。

表(比較用)

NVIDIAが8/12/16GB容量帯ごとに通知したとされるGPU KIT卸価格引き上げ幅:

VRAM容量 値上げ幅(元) 値上げ幅(ドル換算) 値上げ幅(円換算、参考レート1元=24.19円)
8GB 600元 約90ドル 約14,500円
12GB 900元 約130ドル 約21,800円
16GB 1,200元 約175ドル 約29,000円

中国国内の実勢価格変動幅(単位:MSRP比・直近1日または1週間の上昇率):

GPUモデル 上昇率 備考
RTX 5090D(32GB) +22.5% MSRP比2倍超の水準
RTX 5090D V2(24GB) +12.8%〜+13.0% 3,500ドル台〜
RTX 5080 +18.2%〜+59.0%(販売元により幅) 1,500ドル超
RTX 5070 Ti +21.8%〜+58.7% 販売元により幅
RTX 5070 +16.2%
RTX 5060シリーズ 約+15% 容量帯問わず
RTX 5050 +13.2%
Radeon RX 9000シリーズ +14.3%〜+28.8%
Intel Arc 200ドル台前半→300ドル近く

 

ソース

  • BenchLife: https://benchlife.info/nvidia-raise-gddr6-gddr7-kit-price-again/

■解説

NVIDIAが公式に発表しているのはAIB向けのGPU KIT卸価格の引き上げ幅(8/12/16GBで600〜1,200元)にとどまり、店頭MSRP自体は据え置かれたまま実勢価格だけが乖離していく構図になっている。「建前の価格」と「実際に払う価格」がどんどん離れていくという点は今回の値上げの本質的な特徴として指摘できる。

ColorfulやMSIの卸値データを見る限り、値上げ幅(40〜50%)はNVIDIAが公表しているメモリコスト増(600〜1,200元=十数〜二十数ドル相当)から逆算される水準を大きく超えている。単純なコスト転嫁というより、供給不安に乗じたマージン確保の側面が強いと見るのが妥当ではないか、という論点を立てられる。

ASUSの事例(NVIDIA分の値上げに独自の上乗せを行ったとされる件)は、AIB各社が「値上げの責任をNVIDIAに転嫁しつつ実際は自社マージンも積み増している」構造を象徴しており、価格の透明性という観点から批判的に扱える材料だ。

マイニングブーム時との比較(1か月かけて反映→一晩で反映)は、今回の値上げが投機的な思惑を含んでいることを示す分かりやすい材料。当時と違って情報がSNS等で即座に拡散する時代背景も影響していると考えられる。

小売店の「売り惜しみ」「在庫隠し」の動きは、消費者の目にはメーカーの値上げ以上に生々しく映る問題であり、末端の販売現場での不信感が広がっている点も触れられる。

Jefferies予測(Q3+50%、Q4+40%)が現実になれば、年末商戦にかけてさらに厳しい状況が続くことになり、「待てば安くなる」という従来の消費者心理は当面通用しない状況が続く可能性が高い。

VATを含めた実質値上げ額(メモリ由来の値上げ分が最終的に約1.3倍に膨らむ)は、中国市場特有の税制要因が価格急騰をさらに増幅させている点として解説できる

値上げ通知が出た翌日には「品切れ中」の張り紙が量産される、という現象は、シャッターが下りる速度が下落相場の狼狽売りと真逆であるあたりに皮肉が効いている。

GPUの値札が一晩で変わる時代に、消費者にできる防衛策は「買うか、諦めるか」の二択しかなくなりつつある、という着地も考えられる。