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$250でPS5超え? BC-250の眠っていた16CUを叩き起こす

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■事実

BC-250はもともと2022年末頃に登場した暗号資産マイニング向けボードで、PS5に採用されたカスタムAPU(Zen 2 CPU+RDNA2 GPU)を転用したものです・

BC-250のAPUはダイ上に物理的に40基のRDNA2 CU(Compute Unit)を搭載しているが、工場出荷時のファームウェアにより24基のみが有効化されています。

本来のPS5本体では36基のCUが有効化されており、BC-250はそれよりさらに少ない24基に制限された状態で出荷されています。

開発者duggasco氏が、GPUドライバ初期化時に2つのハードウェアレジスタへ値を書き込むLinuxカーネルパッチを公開し、残り16基のCUを有効化する手法を示しました。

該当レジスタは、一方がドライバに認識させるCU数、もう一方が実際に演算処理を割り振るディスパッチ先を制御しており、両方を同時に書き換える必要があります。

このパッチはPCIデバイスIDがBC-250(0x13FE)の場合のみ動作するようガードされており、モジュールパラメータを外せば工場出荷時の24CU構成に戻る恒久性のない変更です。

無効化されていた16基のCUは電源供給・クロック設定も揃っており、シリコン欠陥ではなくファームウェアポリシーによる制限だったことが確認されています。

YouTuberのETA Prime氏やThe Phawx氏らが実機検証を行い、40CU化したBC-250でCyberpunk 2077、Spider-Man 2、GTA5、Hitman 3などをテストしています。

ETA Prime氏の検証では、1080p・GPU2GHz動作時に、Spider-Man 2で36→46FPS(28%向上)、GTA5で58→72FPS(24%向上)などの性能向上を確認しています。

40CU化するとGPU消費電力は約125〜181Wまで増加し、温度は最大96℃まで上昇するため、標準クーラーでは冷却不足になりやすくなっています。

コミュニティ推奨の運用設定は1500MHz・900mVとされ、専用の電圧・クロック制御ツール「cyan-skillfish-governor」も公開されています。

BC-250は16GBのGDDR6メモリをCPU・GPUで共有するユニファイドメモリ構成で、実測メモリ帯域幅は約400GB/s前後です。

The Phawx氏が構築した完成システムの総費用は約250ドル(基板・ケース・電源・ファン・128GB SSD込み)で、300ドルを超える投資は推奨しないとしています。

比較対象として名前が挙がるValveの新型「Steam Machine」は512GBモデルが1,049ドル、2TBモデルが1,349ドルで販売されています。

VideoCardzは、BC-250はSteam Machineの直接的な代替品ではなく、静音性・サポート体制・完成品としての利便性で劣ると指摘しています。

BC-250はもともと空冷を前提としないマイニングラック向け設計のため、ゲーミングPCとして組む場合はケース・電源・冷却・ストレージを別途用意する必要がありくます。

出力インターフェースはDisplayPortのみのため、テレビで使う場合はHDMI変換アダプタが必要で、可変リフレッシュレートなど一部機能が制限される場合があります。

ソース

  • https://videocardz.com/newz/amd-bc-250-ps5-apu-unlock-exposes-all-40-gpu-cus-for-budget-steam-machine-alternative(VideoCardz)

解説

24CU→40CUという66%増しの拡張が、レジスタ2箇所の書き換えだけで実現するというのは率直に言って面白い。

しかもこれは焼き切り型のeフューズではなく、ドライバ側の設定によるソフトウェア制限だったという点がミソ。ハードウェア的には最初から”フル装備”だったのが、営業上の都合でロックされていたに過ぎない。

昔のPhenom II X3コアアンロック(本当は4コアあるのに3コアとして売られていたCPU)を思い出した人も多いはず。要するに、あの手のロマンはいまだに健在ということだ。

ただし当然「シリコンロッタリー」の側面もあり、そもそも歩留まり選別で無効化されていたCUなので、個体によっては不安定・故障している可能性がある。全員が40CUフル稼働できるとは限らない。

消費電力が125〜181Wまで跳ね上がり、温度も96℃に達するという実測値を見ると、「マイニング用の空冷設計に、無理やりゲーミング性能を詰め込んでいる」構図がよくわかる。安定運用したいなら1500MHz/900mV前後への制限が現実的な落としどころだ。

250ドルという価格は確かに魅力的だが、Steam Machine(1,049ドル〜)と単純比較するのはフェアではない。あちらは静音性・サポート・箱から出してすぐ使える完成品というプレミアムを含んでいる。

個人的には、これは「Steam Machineの代替品」というより「ハードウェアハックを楽しむ人向けの遊び」という位置づけの方が実態に近いと見ている。

マイニングブームの残骸として売られていたチップが、まさか本家PS5(36CU)を数の上で上回る日が来るとは、当時誰が想像しただろうか。

とはいえ、DIY文化とLinuxコミュニティの底力を見せつけられる事例ではある。工場出荷時の制限を、たった2つのレジスタ書き換えで解除する執念には素直に脱帽だ。

結局のところ、この手の「隠されたポテンシャルを引き出す」系のハックは、コスパよりも“やってみたい欲”で成立っている。趣味として全力で楽しむにはうってつけの一台だ。