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Appleは2027年までにM7チップにIntel 18A-P、2028年までにiPhoneチップにIntel 14Aを採用するとの噂が流れている。

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■事実

契約の概要

GFHKの月次コール(2026年5月13日)によると、AppleとIntelは2025年12月に予備的なチップ製造契約を締結済みです。

Intelのファウンドリー部門が、Appleのチップ2種類を受託製造する予定です。

WSJは、トランプ大統領がホワイトハウスでの会談でCook CEOに「I like Intel(私はIntelが好きだ)」と述べ、直接働きかけたと報じています。

本合意は「予備的な合意」であり、テープアウトは双方の技術的条件が揃った段階で正式化されます。

製造予定チップ①:Apple M7(MacBook向け)

  • 製造プロセス:Intel 18A-P
  • 量産開始時期:2027年末予定
  • 搭載製品:MacBook(エントリー向けMac SoC。MacBook Air / iPad Pro相当クラス)
  • 年間出荷規模の推定:1,500〜2,000万台(Ming-Chi Kuo)

最上位のM4 Pro / Maxシリーズ等はTSMCでの製造を継続しいます。

製造予定チップ②:スマートフォン向けチップ(iPhone向け・仮称A21)

  • 製造プロセス:Intel 14A
  • 量産開始時期:2028年末予定

MacBook Neoの成功を受け、コンシューマーPC市場でも「Aシリーズ」チップへの需要が拡大している背景あり

Intel 18A-Pプロセスの技術概要

  • RibbonFET(ゲートオールアラウンド:GAA型トランジスタ)とPowerVia(バックサイド電源供給、業界初)を組み合わせたノード
  • Intel 3比:性能/ワット最大15〜20%向上、トランジスタ密度1.3倍

PowerViaによりダイ上のフロントサイド配線の輻輳が低減し、信号品質とシグナルインテグリティが改善しています。

  • 製造拠点:アリゾナ州チャンドラーのFab 52。「北米で唯一のsub-2nmクラス先端ノード」と位置づけられる

Intel CEO・リップブー・タン(2025年3月就任)の下、2026年初頭時点で月次歩留まりが7〜8%改善中と報告されています。

Intel 14Aプロセスの技術概要

High-NA EUV(高開口数EUV露光装置)を採用する業界初の量産ノードです。(2027年リスク生産開始予定)

RibbonFET 2世代目+PowerDirect(各トランジスタへの直接電源供給)を採用しています。

TSMC競合ノード(A14:1.4nmクラス)は2028年予定だが、High-NA EUVは不採用です。

すでに複数の潜在顧客にPDK(プロセスデザインキット)の早期アクセスを提供済みです。

TSMCボトルネックが背景

MacBook Neo(A18 Proチップ、TSMC N3E製)が予想を大きく超えるヒット。Appleは2026年の生産目標を当初の5〜600万台から1,000万台に倍増しています。

TSMC 3nmキャパシティがNVIDIAを含むAI向けチップ需要で逼迫し、A18 Pro用の枠確保が困難になっています。

Appleはバックログを抱えたA18 Proを追加発注せざるを得ず、単価上昇が発生。MacBook Neoの$599価格維持に圧力をうけています。

AppleはSamsung Foundryへの打診も並行して検討していたとされています。

Intelの事業環境

米政府がIntel株の9.9%(89億ドル相当)を取得し、最大株主になりました。

NVIDIAが50億ドルをIntelに投資しています。(AI インフラおよびPCチップの協業目的)

Appleとの契約交渉が報じられた後、Intelの株価は14%以上急騰しました。

IntelはGoogleと協力し、「Googlebook」ラップトップ(AndroidとChromeOSを統合するAIノートPC)を2026年秋に発売予定。MacBook Neo対抗として位置づけられています。

IntelのWildcat Lake(Core Series 3)もMacBook Neoを意識したプラットフォームとして準備中です。

項目 Intel 18A-P Intel 14A TSMC N3E(参考) TSMC N2(参考)
世代 sub-2nmクラス 1.4nmクラス 3nmクラス 2nmクラス
トランジスタ構造 RibbonFET(GAA) RibbonFET 2世代 FinFET GAA(GAAFET)
電源供給 PowerVia(バックサイド) PowerDirect(直接給電) 従来型 従来型
EUV Low-NA EUV High-NA EUV(業界初) Low-NA EUV Low-NA EUV
量産予定 2026年〜 2027〜2028年 2023年〜(現行) 2025年〜
Apple採用予定 M7(2027年末〜) A21(2028年末〜) MacBook Neo現行 M4 Pro/Max等

解説

TSMCのキャパシティ問題は「一時的な逼迫」ではなく、AI向けHBM・先端ロジック需要の構造的な拡大が背景。AIブームが続く限り、AppleがTSMC一社に頼ることのリスクは長期的に拡大し続ける。

Appleが2020年にIntelのCPUを切り捨ててApple Siliconに移行してからわずか5年。今度はIntelに「チップを作ってもらう側」として舞い戻る展開で、立場の逆転が完全に起きた。

ただし今回IntelがAppleから受注するのはエントリーレベルのMac SoCのみ。上位のM4 Pro・Maxは引き続きTSMC製。「Intelへの全乗り換え」ではなく「デュアルソーシング」の始まりと見るべきだ。

地政学的リスク分散という視点も重要。台湾有事リスクへの備えとして、米国内製造(Intel アリゾナFab 52)を確保することはAppleにとって保険として機能する。トランプ政権の「Made in USA」圧力もこの方向を後押ししている。

Intel 18A-Pの技術的ポイントはPowerVia(バックサイド電源供給)。チップの表面で電源線と信号線が混在していた従来構造を分離し、密度・効率・ノイズ耐性を改善する。スマートフォン向けSoCに求められる「薄く・冷たく・長持ち」という要件と相性がいい。

14AのHigh-NA EUV採用は、TSMCが同世代のA14で不採用を選択していることと対照的。「追いつく」ではなく「先行する」技術戦略を明確に打ち出している点は評価できる。ただし新技術を採用するほど量産立ち上げのリスクも上がる。

IntelにとってApple受注の最大の意義は「技術力の証明書」。Microsoftや小規模顧客との口約束だったファウンドリー事業が、Apple案件によって「本物」の外部顧客ビジネスになる。他の大手企業もIntel Foundryへの発注を検討しやすくなる構図だ。

「IntelのFab 52で作られたAppleチップが、IntelがGoogleと組んで競合を狙うGooglebookに対抗するMacBookに搭載される」という、仁義なき協力関係。Intel的には「顧客に勝ってもらっては困るが、顧客でなくなられても困る」という複雑な立場だ。

いずれにせよ、この動きによってIntelは「既存チップメーカー」から「先端ファウンドリー」への転換の正念場を迎えた。Appleという金看板が、Intel Foundryにとってこれほど効くとは——かつての「Intel Inside」の時代を知る人間には少し感慨深い話かもしれない、

 

いずれにしても、倒産しそうになったら2.1兆円も米政府とNVIDIAから出資を受けたIntelは他のテック企業大手とは全く別の次元で競争しているといってもいい。

やはりIntelは特別な企業なのだろう。