Intelの 「今は更迭された 」パット・ゲルシンガーCEOが登場し、Intelファウンドリーの18A 「歩留まり率 」の主張を擁護し、チームは 「信じられないような仕事をしている 」と述べた。
※ 歩留まりとは1つのウェハーからとれる正常動作するダイの割合を指します。
Intelの前CEOパット・ゲルシンガー氏が18Aプロセスに対して楽観的な見方を示し、「信じられない 」と主張している。
ご存じない方も多いかもしれないが、Intelは現在、特に同社のビジネスに関して多くの論争に巻き込まれている。
当初、チーム・ブルーは相次ぐ財務問題に見舞われ、その後、同社の前CEOであるパット・ゲルシンガー氏は、取締役会からの圧力の中、退任を決意した。
最近では、同部門のブレークスルーとなるはずだったIntelの18Aプロセスの歩留まり率が10%以下と言われ、メディアはこれを 「ひどい 」と評した。
しかし、ゲルシンガー氏は、歩留まりの噂は誤りであると主張し、18Aを擁護するために立ち上がった。
thank you Pat for helping to set the record straight. I’m so very proud of the TD/18A team for the incredible work and progress they are making.
— Pat Gelsinger (@PGelsinger) December 7, 2024
ゲルシンガー氏は、著名なアナリストであるパトリック・ムーアヘッド氏の投稿に返信し、当初、Intelの18AはPDK1.0でテストされたものではなく、むしろ古い設計キットでテストされたものであり、そのため歩留まり率の数字が低く報告されていると主張した。
背景を少し説明しよう: ブロードコムはIntelの18Aプロセスをテストしたが、失望したと言われており、メディアは歩留まりに主な問題があったと主張している。
これは、大型ダイでは歩留まりが低下し、小型ダイのみがIFSで生産されるいう大規模な懸念であることが判明しただけでなく、歩留まり率がわずか10%ということは、チーム・ブルーがまだ大量生産に踏み切れないことを意味する。
興味深いことに、「更迭された 」元Intel CEOのパット・ゲルシンガー氏は、ムーアヘッド氏の主張を検証することで、この話題に割り込むことにした。
彼は、「18Aチーム 」と彼らの驚くべき進歩を誇りに思うと述べ、現場の現実が主流メディアで言われていることとは異なることをほのめかしている。
ゲルシンガー氏は、著名アナリストのダン・ナイステット氏への別の返信で、歩留まり率に基づいてプロセスを評価するのは正しくないと主張している。
speaking about yield as a % isn’t appropriate. large die will have lower yield, smaller die – high yield percentage. Anyone using % yield as a metric for semiconductor health without defining die size, doesn’t understand semiconductor yield. yields are represented as defect…
— Pat Gelsinger (@PGelsinger) December 7, 2024
ゲルシンガー氏は、低い「18A歩留まり」を擁護していたのか、あるいは、この発言自体については多くを語らないが、非常に興味深いことで半導体市場を誘導していたのかのどちらかだろう。
いずれにせよ、ゲルシンガー氏はIntelファウンドリーを2030年までに「世界最大」にすると主張し、大々的に擁護していたが、その前週に会社を追われることになった。
Intelは現在 「泥沼 」に陥っており、この状況を脱するには絶望的な対策が必要だが、それはすでに実行に移されている。
私たちは、Intelが将来に向けて積極的な戦略を採用し、IFSの売却の可能性もある「部門再編」方針を採用する可能性が高いと予想している。
解説:
Intel 18Aの歩留まりは・・・・
先日の記事でIntel 18Aの歩留まりがわずか10%以下であり、とても使い物にならないという話が出ました。
これに対してゲルシンガー氏は「その歩留まりは古いツールで出された数字であり、そんなに低くない」と反論したようです。
さて、この「古いツールを使って生産された歩留まり」が低いのは正常なのかどうか?ゲルシンガー氏の主張は正しいのでしょうか・・・・?
永らくFabを閉ざしてきたことの弊害
ゲルシンガー氏の主張をまとめると「古いツールを使って生産された歩留まりが低いのは正常」ということです。
これが正しいのかどうかについては判断する材料かあまりに少ないので判断ができません。
しかし、10%以下という歩留まりは常識的に考えるととても使い物にならない数字だと思います。
もし仮にこれがIntel Fabの平常運転で、このような綱渡りを長年繰り返してきたのであれば、その旨顧客やプレスに資料で説明すべきだったと思います。
顧客に納得のいく説明を行うのはビジネスの基本の一つであり、それができない時点ですでに失格だと私は思います。
これがIntel Fabの「常識」だとすると長年自社の製品のみを製造してきたことによる弊害なのでしょう。
自社製品のみを生産するのであれば他社を説得する必要などありませんから、歩留まりが低かろうがどうしようが予定している価格でペイできれば問題ないわけです。
しかし、他社製品を生産するのであればTSMCやGFといった他社が顧客に行っている説明をきちんと行う必要があるわけです。
IntelがFabを開放するにあたってこのような常識的なステップを踏まなかったとは思えず、やはりゲルシンガー氏の言い分は苦しいように思います。
元記事には
私たちは、Intelが将来に向けて積極的な戦略を採用し、IFSの売却の可能性もある「部門再編」方針を採用する可能性が高いと予想している。
このような表現で締められており、やはりIntelのFab事業は分社化するか売却しない限り存続は難しいのではないかとわたくしは思います。
これでIntel自体が倒産したり身売りしたりするかといえばそれはないと思います。
しかし、常識的に考えると自社Fabで生産した他社の競合製品を今までのように比較してdisれるのかと考えるとそれは難しいと思いますし、やはりFabに関しては最低でも分社化はする必要があります。
仮にゲルシンガー氏の主張が本当だったとして、Fabが軌道にのり将来的にAppleやNVIDIAの製品を生産したとすると、IntelのFabで作った競合他社製品を比較して今までのように「自社の製品の方が優れている」と言えるのでしょうか?
日本的な感覚で言えばかなりの強心臓と言わざるを得ません。
下手すると顧客からの信頼を失ってもおかしくはないです。
intelは長い間、互する企業がなかった巨大で優秀な企業であったが故、やはり空気が読めないところは存在するのかなと思います。
さて、Intel18Aが使い物になるのかそうでないのかは続報が出たらお知らせします。
繰り返しますが、私は今のところゲルシンガー氏の言い分は苦しいのかなと思います。