Circanaの新しいレポートが、ビデオゲーム市場の現状を明らかにしている。
Mat Piscatella氏がBlueSkyにレポートの結果を掲載した。
このレポートは2024年8月のものなので、2024年11月が間近に迫っているこの時点では若干古くなっている。
同レポートによると、2024年8月中のビデオゲームハードウェア、コンテンツ、アクセサリに対する米国の総支出は、昨年と比較して7%減少したと予測している。
現在のゲーム業界の状況を考えれば、これはそれほど悪いことではない。
今回の決算報告でポジティブな点は、2024年通年の支出額が前年比1%増の366億ドルに達したことだ。
現在のゲーム支出のほとんどはモバイルコンテンツで、5%の増加となっているが、これは他のカテゴリーの減少によって相殺されている。
ビデオゲームコンテンツへの支出は4%増加しており、そのうちの3%はモバイル支出が牽引している。
ゲーム用アクセサリーは8%増加し、ビデオゲームハードウェア支出の28%減少を相殺した。
現在、ゲーム業界は不安定な状況にあり、世界のほとんどの地域で何らかの財政危機に陥っているため、ゲームやアクセサリー、特にハードウェアへの出費はかなり厳しくなっている。
加えて、特にトリプルA級のゲームでは、ゲームの価格はますます高くなっている。
PCの場合、新しいゲームの購入や既存のリグのアップグレードは難しく、新しいゲームは最小設定でも動作するためにより強力なリグを必要とする。
8月、Steam、PlayStation、Xboxのトップゲームでは、「Madden NFL 25」、「EA Sports College Football 25」、「EA Sports MVP Bundle」など、多くのスポーツゲームが首位を獲得した。
意外なことに、8月に最も売れたプレミアムゲームの3位には「Star Wars Outlaws」が入った。
ユービーアイソフトが期待したほど売れなかったことを考慮すると、世界中のゲーマーがこのゲームを酷評したことになる。
Helldivers IIは依然としてトップチャートにランクインしており、Circanaが発表したレポートではMinecraftが引き続き主役となっている。
レポートによると、8月のゲームハード支出は前月比36%減。すべてのゲーム機が大幅に減少しているが、ニンテンドースイッチが最も苦戦しており、前年同月比41%減と急減している。
今回のレポートでは、PlayStation 5が販売台数、金額ともに当月のハードを牽引した。
今後のレポートでも、30周年記念コレクションやPlayStation 5 Proの発売が発表されているため、PlayStation 5が引き続きリードする可能性が高い。
8月には、PS5デュアルセンスワイヤレスコントローラー(ミッドナイト・ブラック)が金額ベースで最も売れたアクセサリーとなり、プレイステーション・ポータルは2024年も引き続き最も売れたアクセサリーとなった。
今後、PlayStation 5 Proと30周年記念コレクションがベストセラー・レポートに登場する日も近いかもしれない。
ソース:wccftech – 2024 Year-To-Date Spending Is 1% Higher Than A Year Ago, Says Circana Report
解説:
2024年のビデオゲーム市場年間支出は前年比1%増
2024年8月中のビデオゲームハードウェア、コンテンツ、アクセサリに対する米国の総支出は、昨年と比較して7%減少した
このうち、ハードウェアは28%減少していますから、ハードウェアの支出の減少をコンテンツやアクセサリで補っていることになります。
ビデオゲームコンテンツへの支出は4%増加しており、そのうちの3%はモバイル支出
とのことですから、ハードウェアでの支出減少に加えて、既存のモバイルハードウェアによるゲーム購入が増えているということです。
ハードは任天堂Switchが大幅に減少しているようです。
ハードの売り上げはPS5がけん引しているとのことですが、ハード全体で28%も減少していますから、減少している中でも一番売れているという表現が正しいかと思います。
日本からすると意外に感じると思いますが、米国では発売以来ずっとPS5は特に値上げも値下げもされていませんので拒否感が少ないのでしょう。
Switchの売り上げが急減しているのはやはり米国向け大型マルチタイトルはハードの性能が高くなければ移植できず、それが売り上げに影響を与えるているのでしょう。
それに加えて次世代機Switch2の噂もちらほら出ていますから、買い控えが起きているのかもしれません。
日本市場だけを見るとSwitchは堅調ですが、グローバルで見るとそろそろテコ入れをしないと本格的にまずい時期に来ています。
日本のニュースだけを見ると、とてもそんな風には思えませんので、アメリカのレポートを見ると売れているゲームが日本とは全く違ってなかなか新鮮です。
Switch2の性能はPS4にAI技術で性能を拡張したものになるのでしょう。
これが最新のAAA以上のタイトルの移植にどのくらい対応できるのか興味が尽きないところです。
全体的にみると、コンソールの利益の源泉であるゲームコンテンツの売り上げが大きく伸びているのはモバイルであり、ビデオゲーム市場のコモディティ化が進んでいるのが確認できますね。
ゲームはどこでも持ち歩ける携帯ゲーム機で隙間時間に楽しむという傾向が大きくなってきているということです。
グローバル市場では性能の高いゲーム機でリッチなコンテンツを楽しむ傾向が日本より大きいですから、携帯ゲーム機もできる限り性能を高くしてそうしたゲームの移植に耐えうるスペックが求められているということでしょう。
なかなか二律背反な要求でコスト的には厳しい要求なのかなと思います。
今の買い切り型のモバイルゲームの市場を開拓したSwitchが新型でどのくらい性能を上げてくるのかはやはり今後のゲーム市場を大きく左右する要素だと思います。