PS5 Proの高価格(699ドル)は、依然として業界で熱い議論を呼んでいる。多くのファンが価格設定に失望している一方で、アナリストやゲーム開発者までもが、市場やハードウェアの中身を考慮すれば納得のいく価格設定だと公言している。
ソニー自身は最近、IGNとのインタビューで、価格設定の話題(およびディスクドライブを別売りとする決定)についてコメントした。
プレイステーション・シニア・プリンシパル・プロダクト・マネージャーの青木俊氏は次のように語っている:
技術的な違いだけでなく、SSDやWi-Fi 7、そしてゲームプレイを取り巻く新しい技術も含めて、ゲームプレイヤーに新しい体験を提供するために、今申し上げたような技術を投入しています。
つまり、我々がターゲットとしている最も熱心なプレーヤーに、特別な価値を提供するフルパッケージなのです。
PS5 Proでは、これらすべての新しい技術革新を提供し、2テラバイトのSSDとWi-Fi 7を追加しました。
私たちは、フルパッケージとして、最も多くのプレーヤーに提供できると考えています。ディスクドライブについては、プレーヤーのためのオプションです。
すべてのプレーヤーがディスクを持っているわけではありませんが、ほとんどのプレーヤーがディスクを持っているかもしれません。
ですから、私たちが提供する価値提案のバランスということだと思います」。
興味深いことに、青木氏は、ソニーがPS5 Proの開発を2020年11月の発売前から進めていたことも明らかにした。
PS5が実際に発売される前から議論を始めていました……PS5のスペックはすでに決まっていましたから。
なぜなら、PS5のスペックはすでに確定していたからです。もちろん、あなたがおっしゃったように、技術は毎年進化していくものです。
PlayStation 5 Proは11月7日に699ドル/699ポンド/799ユーロで発売され、ベースとなるPS5よりもコンピュートユニットが67%増加し、PlayStation Spectral Super Resolution(PSSR)と呼ばれる機械学習型DLSSのようなアンチエイリアシング再構築技術を搭載している。
さらに、ソニーの後押しを受け、未発売のAMD製グラフィックスカードから改良されたレイトレーシング技術を採用したことで、レイトレーシング機能も大幅に向上している。
ソース:wccftech – PS5 Pro Is a ‘Full Package’ with ‘Exceptional Value’ for Players, Says Sony
解説:
私はPS5Proに関してはあまり肯定的なイメージは持てないのでそういうのが嫌いな方は以降は読まないことをお勧めします。
ソニーはPS5Proを「フルパッケージ」と称しているようですが、フルパッケージの中には縦置きスタンドと光学ドライブは含まれていないようです。
PS5無印も9/2の値上げ以降、週の売り上げが約26,000台から10,000台以下に激減しており、ソニーの価格政策は成功しているとは言い難いです。
PS5Proは11月発売です。
海外ではすでに予約が始まっているようですが、人気ゲーム機の新ハードにしてはSoldoutになっておらず、アメリカ$700、日本119,980円という価格政策はあまり成功しているようには思えません。
日本でも9/30から予約開始ですが、119,980円という価格ではそれほど多くのユーザーが購入できるとは思えないです。
こういったスペック高めのゲーム機ビジネスはもう曲がり角に来ているのかなと思います。
4兆円以上売り上げているのでゲーム機としてみると失敗ではないと思います。
しかし、ソニーの半分以下の1.6兆円の売り上げの任天堂に利益で負けているのはビジネスとしては完全に旬を過ぎているのかなと思います。
ある典型的なゲーマーの購買行動を考えてみましょう。
ハードの価格を高くしても可処分所得が増えるわけではないのでゲーム関連に使うお金が一定だとすると、ゲーム機本体の価格が高ければゲームを買うために使うお金が減るわけです。
すると本体の価格を安くした方がソフトに使うお金が増えるということになります。=利益率が高くなるということです。
ゲーム機は本体をぎりぎりの価格で売って割安感で爆発的に普及させ、ゲームのロイヤリティで儲けるビジネスですが、本体価格の安いSwitchと本体価格の高いPS5/Proで利益率に残酷なまでの差がついていることを考えると、市場が成熟し、ゲーム機=コモディティという時期に入ったと考えるのが妥当だと思います。
ゲームは、性能よりも大量に生産でき、安価で、どこにでも持ち運べ、隙間時間をうまく利用でき、ゲーマーでない一般的な家庭でも家族につき一台よりも一人一台が欲しくなるハードを狙っていく方が利益が見込めるということになります。
今後、ゲーム機の普及台数を引っ張っていくのはハードの性能ではなく、独自の魅力的なIPなのでしょう。
ソニーは自社スタジオの作品をPCに公開してしまいましたので、この点でもビジネスとしての判断を誤っています。
目指すのは「プアマンズゲーミングPC」ではなく、どこにでも持ち運べて手軽にプレイできるデジタルガジェットなのでしょう。
一時期、スマホやタブレットとの差別化に苦しんでいましたが、やはり専用のコントローラーでプレイするゲーム機にはゲームのプレイアビリティや満足感に一日の長があると思います。
ソニーやマイクロソフトも慌てて携帯ゲーム機を準備していますが、任天堂や携帯ゲーミングPCとどのくらい差別化できるかですね。
スペック的には特に見るべきところがないだけに、独自のゲームタイトルをどのくらい用意できるかが成功のカギと言っても過言ではありません。
据え置き機との差別化をどのようにして、スマホやタブレットでプレイできないタイトルをどのくらい用意できるのか?
任天堂がスイッチで成功パターンを見せましたから、簡単に成功できるように見えますが、後を追うのは簡単ではないと思います。
一見、簡単にできるように書いていますが、独自の魅力的なIPを用意するのは長い時間と莫大な開発費がかかります。
例えば、「ソニー、マイクロソフト、任天堂」の中で老若男女問わず、だれでも知っていてプレイするのに抵抗のないIPを持っているのは任天堂だけです。
今までコツコツと誠実に努力を積み上げてこなかったプラットフォームには結果はついてこないでしょう。
ゲーミングPCとタイトルが変わらないのであれば、ゲーミングPCとライブラリを共有できるSteamdeckでよいわけですからね。
こうしたことを考えると、すでにPS6の生産にはゴーサインが出ているようですが、あまり明るい未来は待っていないようにわたくしに見えます。