AMDは、Ryzen AI 300 “Strix Point “APUの発売を、Ryzen 9000 CPUに近づけて、静かに延期したようだ。
AMDのRyzen AI 300 “Strix Point” APUはまだ7月に向かっており、最初のラップトップはデスクトップZen 5発売の数日前に消費者の手に渡る。
AMDとそのOEMパートナーは当初、最新のRyzen AI 300 “Strix Point” APUを搭載したノートPCを7月15日に発売することを決定していたが、現在では数日後の7月28日に発売されるようだ。
Golden Pig Upgradeは、当初の7月15日発売が7月28日に変更されたと述べているが、Hoang氏は、販売とレビューの両方の禁輸措置が7月28日に解除されると述べている。
つまり、レビューを読んで次世代Ryzen AI 300 “Strix Point “ノートPCの購入を計画していたユーザーは、あと2週間ほど待つ必要があるということだ。
発売はまだ7月に行われ、それはAMDが約束したことであり、ほんの数日の問題であることを忘れてはならない。
Confirmed👍
Sales & Review NDA = 28/7— Hoang Anh Phu (@AnhPhuH) June 28, 2024
- Ryzen AI 300(当初)発売日:2024年7月15日
- Ryzen AI 300(新)発売日:2024年7月28日
- Ryzen 9000(当初のとおり)発売日:2024年7月31日
さらに興味深いのは、7月28日が日曜日であることだ。これは、同じく週末に発売されたPhoenix APUと同様に、週末に発売されることを意味する。
これらのAPUを搭載したノートPCは、次世代AMD Ryzen 9000デスクトップCPUの店頭発売が予定されている数日前にも発売されるため、特にレビュアーや技術関係者にとっては、2つの大きな発売のテストを完了するために懸命に働かなければならない、非常に混雑した週になるだろう。
Ryzen 9000 CPUのレビュー解禁が早まる可能性もあるが、そうなるかどうかはもう少し様子を見ることにしよう。
全体として、AMD Ryzen AI 300のラインナップに期待する理由はたくさんある。CPUにZen 5、GPUにRDNA 3.5、NPUにXDNA 2を搭載し、全面的にアーキテクチャを見直した初のAPUです。
最大12コア、24スレッド、16コンピュート・ユニットを搭載し、「AI PC」チップの中で最速のAI TOPSを特徴とするStrix Pointは、ノートPCユーザーにとって待望の製品だ。
AMD Ryzen AI “HX” APU:
CPU 名 | アーキテクチャー | コア数/ スレッド数 |
クロック (最大) | キャッシュ (合計) |
AI性能 | iGPU | TDP |
Ryzen AI 9 HX 370 |
Zen 5 / Zen 5C | 12/24 | 2.0 / 5.1 GHz | 36 MB / 24 MB L3 |
80 AI TOPs (50 TOPS NPU) |
Radeon 890M (16 CU @ 2.9 GHz) |
28W (cTDP 15-54W) |
Ryzen 9 PRO AI |
Zen 5 / Zen 5C | 12/24 | 2.0 / 5.1 GHz | 36 MB / 24 MB L3 |
80 AI TOPs (50 TOPS NPU) |
Radeon 890M (16 CU @ 2.9 GHz) |
28W (cTDP 15-54W) |
Ryzen 7 PRO AI |
Zen 5 / Zen 5C | 12/24? | 2.0 / 5.0 GHz | 36 MB / 24 MB L3 |
80 AI TOPs (50 TOPS NPU) |
未定 | 28W (cTDP 15-54W) |
Ryzen AI 7 365 |
Zen 5 / Zen 5C | 10/20 | 2.0 / 5.0 GHz | 30 MB / 20 MB L3 |
80 AI TOPs (50 TOPS NPU) |
Radeon 880M (12 CU @ 2.9 GHz) |
28W (cTDP 15-54W) |
Ryzen AI 7 HX 350? |
Zen 5 / Zen 5C | 8/16 | 未定 | 24 MB / 16 MB L3 |
80 AI TOPs (50 TOPS NPU) |
12 RDNA 3+ CUs? | 28W (cTDP 15-54W) |
Ryzen A 5 HX 330? |
Zen 5 / Zen 5C | 6/12 | 未定 | 20 MB / 12 MB L3 |
80 AI TOPs (50 TOPS NPU) |
8 RDNA 3+ CUs? | 28W (cTDP 15-54W) |
解説:
Ryzen AIの発売日が後ろにずれ7/28に
Strix Pointの発売日が当初の7/15から後ろにずれて7/28になるようです。
Ryzen AI 300シリーズは言わずもがな、AMDの Copilot+PCに準拠したSoCですが、MSはCopilot+のSoCとしては自社ハードにも搭載されているSnapdragon Xシリーズを全面的にプッシュしており、一番最初にロンチされています。
そこから1か月おくれでAMDもRyzen AI 300シリーズ搭載機種を発売するとされていました。
発売前のリーク情報や発売直前のこのようなごたごたを見ていると、MSとAMD、Intelの意思の疎通があまりうまくいってなかったのではないかと勘繰ってしまいそうになります。
Copilot+PCは市場に認知され、評価が固まっているとはいいがたい状況ですが、少なくとも発売までの情報を見る限り、マイクロソフトはCopilot+を新世代のPCの中心に据えたいという意図が見えてきます。
AMDも今まで8コア16スレッドが最高だったAPUにハイブリッドの12コア24スレッドというスペックを与えます。
一方でのデスクトップ版のRyzen9000シリーズは前世代のRyzen7000シリーズの正統進化といった感じでNPUのような新しい機能を搭載しているわけではありません。
APUとCPUの差が小さくなっていることも併せて、今後の中心はAPUに移っていくのではないかと思わざるを得ない状況です。
MCMで12コア24スレッドの場合、CCDが2つになり、チップ間通信が入るため性能的なペナルティを受け、8コア16スレッド、16コア32スレッドと比較して評価が芳しくありませんでした。
しかし、モノリシックの12コア24スレッドの場合、そのようなペナルティは発生しないのではないかと思います。
また、内臓のNPUに関してはWindowsの側で対応する多数のソフトウェアスタックやアプリケーションが用意され、ソフトウェアのサポートの弱いAMD公式のものと比較してもかなり恵まれているのではないかとわたくしは考えています。
こういった背景を考えるとZen5世代はAPUとCPU、どちらが主役になるのか?わたくしはそう感じます。
もちろん、絶対性能でいえばデスクトップ版のCPUのほうが高いのは確実です。
ここ数年の激しい性能競争によって、CPU性能には不満を感じることが少なくなっています。
不要とも思える性能を追求するのか?マイクロソフトの提供するAIソフトウェアの恩恵を受けることを優先するのか?
どちらを重視するのかによってCPUとAPU、どちらが自分の用途に合うのか変わってくると思います。
Copilot+の評価が固まらない限り答えは出せない問題でしょう。
長々と書いてきましたが、何が言いたいのかというと、デスクトップ版のRyzen AIが発売されるならばZen5世代ではそれが一番の正解となるかもしれないということです。
このことは頭の隅に入れておいたほうが良いと思います。
特にRyzen AI 300シリーズはAMD初の高性能プロセッサでハイブリッドを搭載しています。
キャッシュの量が少なくとも効率が上がれば同一TDPの範囲内での性能はデスクトップ版にかなり近接するか高くなることが期待できると思います。
Ryzen Z1(Phoenix2)とRyzen Z1 Extreme(Phoenix)のiGPU性能はPhoenix2が4CU、Phoenixが12CUと3倍であるにもかかわらず、60%以上の性能を確保していました。
こういったことを考えると、同一TDP内での性能はハイブリッドのほうがやはり有利ということであり、Ryzen AI世代のAPUにも期待できるのではないでしょうか。
当サイトでは今までモバイルには力を入れて紹介してこなかったにもかかわらず、Copilot+に対応したSoCはかなりプッシュしていますが、それには不要なほど高性能化したCPUにさらなるCPU性能を追求するより、AI性能を追求したほうが満足度が高いのではないかと感じているからです。
答えはCopilot+PCの評価が出たときに出るのでしょう。