待望のSnapdragon X Elite CPUプラットフォームは、ゲーミングGPU性能のデモンストレーションとして、Baldur’s Gate 3を30FPSで動作させるデモを行いました。
Snapdragon X EliteのAdreno GPU、1080pのBaldur’s Gate 3で約30 FPSを実現。
先日、クアルコムが次期Snapdragon X Elite CPU搭載ノートPCを使用するPCゲーマーが素晴らしいゲーム体験を得られるように取り組んでいることを紹介しました。
クアルコムは、次期Windows PCでほとんどのゲームを実行できると述べています。
同社は、Armベースのプラットフォームでゲームを実行するための3つのオプションを開発者に提供しています(The Vergeより):
- ARM64でのネイティブ実行(最高のパフォーマンス/最高の効率性)
- ハイブリッドARM64ECの実行 – プログラムはエミュレート、ドライバ/ライブラリはネイティブ(同等のパフォーマンス)
- x64エミュレーションの実行 – 開発作業は不要(ネイティブに比べてパフォーマンスが低下する)
Snapdragon X Eliteプラットフォームでこれらのエクスペリエンスを実現する主要コンポーネントは、最大4.6 TFLOPsの定格を持つAdreno GPUで、ドライバを介してDX12、DX11、Vulkan、OpenCLをサポートする一方で、DX9とOpenGL 4.6のレガシーサポートも維持します。
少し前に発表された公式スライドで、クアルコムは、RDNA 2コア・アーキテクチャをベースとするRadeon 780M iGPUに対して、同じ消費電力で80%の性能向上を示しています。
https://twitter.com/Lexcyn/status/1772295505524973783?ref_src=twsrc%5Etfw
リファレンスSnapdragon X Eliteラップトップが実際のゲームを実行しているデモが公開された。
Devin Arthur氏(@Lexcyn)が撮影したビデオでは、このノートパソコンが1080pでBaldur’s Gate 3を実行している様子が紹介されている(画質設定は不明)。
このノートPCの正確な設定や電源構成が分からないため、この数字に意味はないかもしれないが、Radeon 780M iGPUを搭載したAMD Ryzen 9 7940HSは、TDP 30Wに設定した場合、約25~40 FPSを実現している。
つまり、今言えることは、初期段階では、クアルコムのSnapdragon X Elite CPU上のAdreno GPUの性能は、まだまだこれからだということです。
発売後、さまざまなゲームやアプリケーションでGPU性能を最適化するための本格的なドライバ作業が開始されるため、性能は大幅に向上するでしょう。
X EliteおよびX Plus CPUは、2024年半ばまでに出荷され、2024年後半に発売される予定です。
2024 AI PCプラットフォーム
ブランド名 | Apple | Qualcomm | AMD | Intel |
CPU 名 | M3 | Snapdragon X Elite |
Ryzen 8040 “Hawk Point” |
Meteor Lake “Core Ultra” |
CPU アーキテクチャー |
ARM | ARM | x86 | x86 |
製造プロセス | 3nm | 4nm | 4nm | 7nm (Intel 4) |
最大CPU コア数 |
16 Cores (MAX) | 12 Cores | 8 Cores | 16 Cores |
NPU アーキテクチャー |
In-House | Hexagon NPU | XDNA 1 NPU | Movidius NPU |
合計 AI TOPS | 18 TOPS | 75 TOPS (Peak) | 38 TOPS (16 TOPS NPU) | 34 TOPS (11 TOPS NPU) |
GPU アーキテクチャー |
In-House | Adreno GPU | RDNA 3 | Alchemist Arc Xe-LPG |
最大 GPU コア数 |
40 コア | 不明 | 12 コンピュート ユニット |
8 Xeコア |
GPU TFLOPs | 不明 | 4.6 TFLOPS | 8.9 TFLOPS | ~4.5 TFLOPS |
サポートメモリ 速度 (最大) |
LPDDR5-6400 | LPDDR5X-8533 | LPDDR5X-7500 | LPDDR5X-7467 |
発売時期 | 2024Q4 | 2024中盤 | 2024Q1 | 2023Q4 |
解説:
Snapdragon X Eliteの性能が話題になっています。
2023年のGotYを取ったゲーム、バルダーズゲート3を30FPSで実行できるそうです。
ちなみにRadeon 780Mは25-40FPSです。
Qualcommの話では、同じTDPだとRadeon 780Mより+80%性能が上だそうです。
本当かいなと思う話です。
グラフィック設定がわかりませんので、同じレベルの性能かどうか迄ははっきりしません。
ちなみにArdenoが4.6TFLOPSで、Radeon 780Mが8.9TFLOLPSでArdenoのほうが演算性能が低いのにゲーム性能が同じくらいだから優れていると思われる方もいると思いますが、近年のGPUは1/2はゲームは使われない演算器を搭載するというのが流れです。
nVIDIAはAmpereから、AMDはRDNA3からそのようになっていますので、ArdenoはRDNA2やTuring以前の考え方で作られているGPUといえるかもしれません。
理由は商業メディアのテック系の記事でもはっきり書かれていないので断言はできませんが、近年GPUはグラフィック処理以外にも使われるようになりましたので、DirectStorageのようなGPGPUの用途で使われたときに性能の下降幅を小さくするためだと思います。
この演算器を倍増させて、半分はゲーム処理には使わないGPUの設計だとAI/MLやプリレンダなどのクリエイター用途で圧倒的な性能差がついてしまいます。
例えば一世代前同士のAmpereとRDNA2だとレンダリングで死ぬほど差がついてしまい、RX6900XTとRTX3060が同じくらいの性能となっていました。
今のトレンドからするとArdenoの設計は周回遅れということになります。
ただし、ArdeonはノートPCのGPUはクリエイター用途でも重い処理は前提とせず、流行りのAI/MLはNPUを使うという考え方なのかもしれません。
単体GPUだとそれだと困りますが、消費電力最優先のモバイル向け内蔵GPUならギリギリ許される考え方かもしれません。
これだと例えばDirectStorage処理を使うゲームだとガクンと性能が落ちる可能性がありますね。
いずれにしてもSnapdragon X EliteはX86キラーになる可能性があるということになります。
NVIDIAが現状のJetson Orinから2025年にはJetson Thorを発売するといわれていますが、Thor世代はWindows版ARMが動作するSoCとして日の目を見る可能性もあるのかなと思います。
そうなると今飛ぶ鳥を落とす勢いのNIVIDIAがPCのプラットフォーマーとして復活するということであり、なかなか面白い状況になるのではないかと思います。