ヴァン・ゴッホは非常にユニークなAMDチップだ。
YouTuberのHigh Yieldと写真家のFritzchens Fritzが、オリジナルのSteam Deckに搭載されていた7nmのVan Gogh APUの詳細な分析結果を発表した。
この研究は、Van Gogh APUのレイアウトと各コンポーネントの重要性を明らかにし、一見Steam Deckには何の役にも立たないように見えるいくつかのハードウェアについて誤解を解いた。
ValveによってコードネームAerithと名付けられたVan Goghは、AMDによって設計され、TSMCの7nmプロセスで製造されたAPUだ。
Zen 2コアを4基、RDNA 2コンピュートユニット(CU)を8基搭載しており、ノートPC向けのメインストリームRyzen APUと比べると比較的パワー不足だ。Van Goghはセミカスタム設計としてどの企業にも提供されていないため、Steam Deckではほぼ独占的に使用されている。
ダイショット分析により、これらの基本スペックが確認され、APU内部の各コンポーネントがいかに重要であるかが明らかになった。
Van Goghのサイズは162mm²で、LPDDR5メモリバスが約9%、CPUコアが12%、GPUコアが11%を消費している。
注目すべきは、GPUコア自体がグラフィックプロセッサ全体の約半分しか占めていないことだ。
その他のGPU機能とコンポーネントを合わせると、8つのRDNA 2 CUとほぼ同じサイズになる。
メモリコントローラーやその他のGPU関連部品と合わせると、これらの部品はVan Goghの総サイズの半分しかない。
USBポートやディスプレイ機能用のI/O部品は残りの半分に収められているが、ダイショットでは多くの未集計部分が残っている。
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High Yieldによると、Van Gogh APUのスペースの13%は、当初は特定できなかったが、Magic Leap 2 ARヘッドセットの内部で使用されるコンピューター・ビジョン・プロセッシング・エンジン(CVPE)だと思われるコンポーネントに充てられているという。
Magic Leap 2はAMDのMero APUを使用することが確認されており、このAPUはVan Goghと同様に4つのZen 2コアと8つのRDNA 2 CUを搭載している。
当初はVan Goghの亜種とされていたが、High YieldはVan GoghとMeroがSteam DeckとMagic Leap 2の両方に使われている同じチップだと主張している。
この主張の重要な証拠の1つは、Steam DeckのOLEDに使われている6nmのSephiroth APUは、7nmのAerithチップよりもはるかに小さいということだ。
TSMCの6nmは7nmより18%高密度のロジックトランジスタを持つが、Sephirothの20%小さいサイズは、新しいAPUをスリム化するために何かが取り除かれたことを示唆している。
High Yieldはさらに、オリジナルのSteam Decksは、現在使われていないCVPEハードウェアを利用できるかもしれないと推測している。
しかし、それはAMDがレーザーを使って手動でCVPEを無効にするのか、それとも単にファームウェアでオフにするのかによる。
また、CVPEはMagic Leapのハードウェアとソフトウェアにのみ使用されているため、改造者がCVPEをどの程度活用できるかは不明だ。
解説:
まず最初に説明しておきます。
Magic Leap 2とは法人向けのARデバイスで日本では価格は明示されていませんが、アメリカでは3299ドルです。
1ドル150円換算で50万円弱の超高額デバイスになります。
Van GoghはSteam Deckのほか、このMagic Leap2にも使われてるのではないかとのこと。
今回明らかになったダイショットからSteam Deckには使われていない領域があってこのMagic Leap2向けの機能が実装されており、Magic Leap2に搭載されているAPUのMeroとSteam Deckに搭載されているVan Goghは同じダイを使っているのではないかという話です。
Steam Deckのほうは携帯ゲーミングPCでRyzen Z1としてASUSやLenovoが搭載機種を発売してしまい、インパクトはかなり薄れてしまいました。
しかし、ValveはSteam DeckをPCというよりはゲーム機として扱いたいようで、ゲーム機と同じようにプロダクトライフサイクルを長くとるようですね。
数年~5年程度はVan Goghを搭載し続けるようです。
実際のところはすでにご承知の通り、マイナーチェンジは行っており、ライフサイクル期間中は小改良や価格改定で競合製品に対応していくようです。
Steam Deckの発売日は2022年2月なので来年の2月で丸2年、ライフサイクル5年なら2027年改訂ということになります。
Zen5が2024年でZen6は何もなければ2025年になると思います。
次(Steam Deck2?)はZen6かその次のAPUが搭載される可能性が高いということになります。
Steam Deckに搭載されているVan Goghが発売時にすでにZen2+RDNA2という型落ちのAPUだったことを考えるとこのくらいが自然かなと思います。
ただし、すでに他社が最新のAPUを使っていることを考えると最新版になる可能性もありますね。
いずれにしても2027年更新ならとんでもない性能になっていることでしょう。