そして、それはいつもと同じキャッチだ…。
アップルのM3シリーズ・チップは、PassMarkのCPUベンチマーク・データベースに登録され始め、シングル・スレッド・ワークロードにおいてすべてのライバルを凌駕するという、先代の伝統を受け継いでいる。
アップルにとって残念なことに、そのM3 Maxプロセッサーは、マルチスレッドワークロードでは、もちろんよりパワーを必要とするインテルやAMDのフラッグシップ製品に勝ち目はない。
今のところ、アップルの11コアM3 Proは、PassMarkのシングルスレッドCPUベンチマークで4,910ポイントを獲得し、インテルのCore i9-14900KFの4,852ポイントより約1.2%高速でリードしている。
アップルのM3 Proは、8ワイド実行、150GB/秒のメモリサブシステム、4.05GHzの周波数を備えているが、インテルのCore i9-14900KFは、6ワイド実行、89.6GB/秒のメモリサブシステム(ただし、ほとんどのi9ベースのシステムは、エンスージアストグレードのメモリを使用しているため、より高い帯域幅を備えている)、6.0GHzのブーストクロックを誇っている。アップルの勝利は、M3 Proが適度な消費電力を持つラップトップのシステム・オン・チップ(SoC)であることを考えると、さらに印象的に思える。
アップルの12コアM3 Proプロセッサーと16コアM3 Maxプロセッサーは、弟分にはわずかに及ばないものの、インテルの第13世代と第14世代のコアプロセッサーを上回っている。
興味深いことに、アップルのスマートフォン向けA17 Pro SoCでさえ、シングルスレッドPassMark CPUベンチマークでインテルのCore i9-13900FとCore i7-14700Kを上回っている。
PassMarkのマルチスレッドCPUベンチマークにおけるアップルの16コアM3 Max SoCのパフォーマンスに関しては、39,921ポイントを獲得しており、これはインテルのCore i7-13700F(39,825ポイント)を上回り、20コアのM2 Ultra(40,893ポイント)とほぼ同等である。
しかし、AMDとインテルのフラッグシップデスクトップ製品であるRyzen 9 7950X(63,230ポイント)とCore i9-14900K(60,823ポイント)は、M3 Maxをそれぞれ58%と52%上回っている。
もちろん、これらの製品はアップルのM3 Maxよりも多くの電力を消費するが、最高のパフォーマンスを必要とする人にとっては、これはあまり重要ではない。
アップルにとって明るいニュースがあるかもしれない。
2基のM2 Maxを搭載した同社の24コアM2 Ultraシステム・イン・パッケージは、1基のM2 Maxと比較して+85%の優れたスケーラビリティを示している。
もしアップルの32コアM3 Ultraが同様のスケーラビリティを示すなら、PassMarkのCPUベンチマークにおけるマルチスレッドワークロードで約73,000ポイントを獲得し、AMDの32コアRyzen Threadripper Pro 5975WX(75,777ポイント)やインテルの36コアXeon W9-3475X(67,227ポイント)に僅かな電力で匹敵することができるだろう。
とはいえ、AMDの96コアRyzen Threadripper Pro 7995WX(15万3301ポイント)とインテルの56コアXeon W9-3495X(9万8285ポイント)は、アップルのフラッグシップモデルをはるかに上回るだろう。
アップルが2020年にデスクトップおよびラップトップコンピューター向けに独自のMシリーズプロセッサーをリリースして以来、これらのSoCは8ワイド実行と高度なキャッシュおよびメモリーサブシステムにより、シングルスレッド性能ベンチマークを支配してきた。
アップルのM3は、シングルスレッドのワークロードでは今でもすべてを凌ぐことができるが、あらゆるコアとパワーを使うマルチスレッドのワークロードのパフォーマンスに関しては、アップルのプロセッサはライバルに大きく遅れをとっている。
ソース:Tom’s Hardware – Apple M3 Leads in PassMark’s Single-Thread CPU Benchmark, But There is a Catch
解説:
Apple M3のベンチマーク
PassmarkのM3のスコアがアップロードされ始めたようですね。
それによるとシングルスレッドではCore i9-14900Kを抜いて首位に立っています。
ここはお見事というか、最新の製造プロセスであるTSMC3nmの威力を十分に発揮しています。
しかし、マルチスレッドではやはりあまり奮いません。
シングルスレッド性能は高性能コアの出来次第ですが、マルチスレッド性能はコア数/スレッド数とチップ全体の排熱性能に左右されますので、ある意味当然と言えば当然だと思います。
シングルスレッド性能で首位に立ってるだけでも奇跡的だと思います。
仮にSnapdragonが省電力性ではなく性能に寄せても同じ結果は出せないでしょう。
あとはGPUですが、残念ながら結果は出ていないようです。
しかし、単体で450Wもの消費電力を誇るRTX4090には遠く及ばないでしょう。
これがM3シリーズの実力です。
もちろんですが、性能/消費電力を出せば恐らくトップに立つと思います。
今まではそう言う比較を公式でしていましたが、それがわかりにくかったので「詐欺だ」と言う評価を受けてしまいました。
ARMのCPUとはそう言うものですし、そうしたプロセッサを性能に寄せてもトップには立てません。
これでも十分に価値があると思いますし、総ての分野でトップに立ちたければGPUを外付けにしてダイサイズが500mm2を超える巨大なチップを作る必要があるでしょう。
Intelが単体GPUで苦戦しているように、単体GPUを製造・販売するとなると相当苦労すると思います。
1世代目では到底nVIDIAやAMDと同じ完成度にはならないと思います。
SoCの性能と単体CPU・GPUの性能を比較するのは現実的ではないというのはそう言うことです。
2基のM2 Maxを搭載した同社の24コアM2 Ultraシステム・イン・パッケージは、1基のM2 Maxと比較して+85%の優れたスケーラビリティを示している。
もしアップルの32コアM3 Ultraが同様のスケーラビリティを示すなら、PassMarkのCPUベンチマークにおけるマルチスレッドワークロードで約73,000ポイントを獲得し、AMDの32コアRyzen Threadripper Pro 5975WX(75,777ポイント)やインテルの36コアXeon W9-3475X(67,227ポイント)に僅かな電力で匹敵することができるだろう。
例えばM3 MAXをニコイチにしたM3 Ultraと比較したとしても純粋に性能は2倍にはなっていません。
2つのCPUをくっつけたことによってオーバーヘッドが発生して効率は逆に落ちています。
効率で勝っていたとしても、純粋にスケールを大きくしたりクロックを高くして熱を許容したとしてもどこかで効率が落ちていきますので単純計算の通りにはならないということになります。
この記事ではM3 Ultraの結果は出ていませんのですべて仮定の話になっていることはお断りさせていただきます。
ただ、この結果を受けてIntelはArrowLake/Refleshでかなり気合を入れるのではないかと思います。
クロスプラットフォームのベンチマークが出て、もはやAMDだけに勝てばよいという時代はとっくに終わっています。
Intel4がそれ以降の製造プロセスに進んだ製品では打倒M3を掲げて性能を強化してくると思います。
当然AMDも意識してくると思います。
ただし、最近のAMDはサーバー分野に力を入れ、コンシュマーでの性能競争には一歩引いた位置にいるので、M3シリーズに匹敵する製品を出せるのかどうかは微妙だと思います。