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VRヘッドセットの状況について-2022年12月Steamハードウェア調査

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tmeier1964 / Pixabay

前回(2022年6月-2022年5月調査分)について、VRヘッドセットの状況の記事を書きました。

今回は前回の報告から7か月経ってどのように変化したのかを見てみましょう。

今までは5月、11月の調査で数を分析していましたが、今回から6月、12月としました。

特に5月はSteamユーザーのVR HMD使用率に異常値が出ていました。

今回も前回の調査として載っていますのでその点は注意してください。

 

※ Steamハードウェア調査に関する注意

Steamハードウェア調査の対象は調査に同意したユーザーになります。

決してSteamの全ユーザーが対象であるわけではありません。

またその性質上、Steamのみのユーザーしか対象になっておらず、必ずしも実態を反映しているわけではありません。

調査は月ごとに行われていますが、標本数が月ごとに増加すると言った保証はありませんし、調査の総数も公開されていないようです。

以上のことから、一種の指標であり、絶対に正確というわけではないことに注意してください。

 

2022/12使用率2022/5使用率増減
Oculus Quest 2 41.35%47.99%-6.64%
Valve Index HMD 17.24%15.79%1.45%
Oculus Rift S 13.41%10.94%2.47%
HTC Vive 7.05%6.86%0.19%
Oculus Rift 6.03%3.67%2.36%
Windows Mixed Reality 5.57%4.58%0.99%
Oculus Quest 2.63%3.77%-1.14%
その他6.72%6.40%0.32%
Steamユーザー
ヘッドセット
使用率
2.05%3.24%-1.19%

※ 赤字は前後の月と比較するとかなり大きくずれている異常値

 

Quest2の値上げに伴うVR HMD戦線の大きな変化

前回の調査から今回の調査までQuest2の大きな値上げがありました。

米国時間8/1から299ドルから399ドルに値上げされ、日本では37,180円から59,400円に20,000円以上の値上げ幅となりました。

これを受けてか、Quest2の使用率がかなり下がっています。

前回の調査で約47.99%だった使用率が41.35%まで下がりました。

面白いことにその他も含めてすべてのVR HMDの使用率が大きく上がっています。

特にMeta社製のHMDは初代Questを除いて使用率が大きく伸びています。

ただし、依然としてQuest2の使用率が圧倒的に高いのは間違いありません。

前回はバイオハザード4VRと言うキラータイトルが発売され、絶好調だったQuest2ですが、値上げとMeta社の業績悪化と言う2つのマイナス材料を受け、かなり失速しています。

Meta Quest2の値上げ後、ほぼ同等のスペックでQuest2よりも安いVR HMDであるPICO4が発売されました。

価格は128GB版が49,800円、256GB版が59,400円です。

Quest2と比較すると128GB版の59400円に対して10000円近く安いというバーゲン価格です。

しかし、Steamの使用率を見ると0.74%と全く奮いませんでした。

単体のソフトウェアのみで使用されているケースの方が多いかと思いますので断言は出来ません。

Steamの使用率を見る限りではQuest2の代わりにはなってないと言っても差し支えないと思います。

 

メーカーごとの内訳

2022/12使用率2022/05使用率増減
Meta(Oculus)合計63.45%66.39%-2.94%
Oculus Quest 2 41.35%47.99%-6.64%
Oculus Rift S 13.41%10.94%2.47%
Oculus Quest 2.63%3.77%-1.14%
Oculus Rift 6.03%3.67%2.36%
Oculus Rift DK2 0.02%0.02%0.00%
Oculus Rift DK10.01%N/A0.01%
Valve合計17.24%15.79%1.45%
Valve Index HMD 17.24%15.79%1.45%
HTC合計10.27%10.62%-0.35%
HTC Vive 7.05%6.86%0.19%
HTC Vive Pro 1.51%1.62%-0.11%
HTC Vive Cosmos 1.15%1.54%-0.39%
HTC Vive Pro20.56%0.60%-0.04%
WindowsMR合計5.57%4.58%0.99%
Windows Mixed Reality 5.57%4.58%0.99%
その他3.47%2.62%0.85%
総計100.00%100.00%

いつも通り、メーカーごとの内訳を見てみましょう。

Meta社はQuest2の失速を受けて使用率を落としていますが、未だ63.94%もの使用率を維持しており、圧倒的と言ってもよいほどの強さを見せてています。

Steamの公式VRであるIndexも使用率を大きく伸ばしています。

反面、好材料がありながらあまり使用率が伸びていないのがHTCです。

主要4社の中で唯一のマイナスになりました。

鳴り物入りで登場したPICOシリーズは旧モデルを合わせても1.24%と全く存在感を示せていません。

Steamユーザーには全くアピールできなかったと結論づけてよいと思います。

 

VRの未来はどうなる?

Quest2の失速とメタバースに有意な未来をユーザーに発信できてないMeta社の迷走感からVRの未来に対するビジョンが大きく揺らいだ半年間だったと思います。

色々な批判も付きまとっていましたが、Meta社が圧倒的低価格のQuest2を発売したことには大きな意義があり、VRの世界をけん引する動力の役割を果たしてきたと言ってもよいのではないかと思います。

そのエンジンを失った今、エンタメとしてのVRの存在価値が大きく問われていると言ってもよいのではないでしょうか。

 

朗報もある。

暗いニュースが多かった半年間ですが、良いニュースもあります。

オノゴロ物語やルインズ・メイガス、ディスクロニアなどのジャパニメーション的なVRゲームが発売されたことです。

After the Fallのような洋ゲーFPSのVR版だけではなく、国産のアニメチックな本格VRゲームの出現は新たなユーザーの獲得に大きく貢献すると思います。

またPSVR2の発売も予定されており、PSVR2向けに開発されたゲームがPCVR向けに輸入されてくると面白いかなと思いますし、期待しています。

VRがニッチなキワモノに留まるのか、こうした新しい流れを受けて大きく躍進するのか、注目ですね。

Meta社からはQuest Proが発売されましたが、2023年には普及向けのQuest3が予定されていると言われており、価格や性能によってはまた新しい可能性を切り開くのではないかと思います。

 

自分としては、メタバースと言うよくわからないものに投資するよりはユーザーが簡単にVRコンテンツを作成できる仕組みを提供してほしいかなと思います。

また、AAAタイトルを出している企業と協力してゲームの名シーンをVRで再生できるような仕組みがあれば面白いのではないかと思います。

効果のよくわからないメタバースよりはユーザーにメリットを提示しやすいこうしたユーザービルドコンテンツ環境を整備したほうがわかりやすいメリットを提示できるのではないでしょうか。

 

 

 

 

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