最大96コア192スレッドを搭載する次世代CPU「AMD Ryzen Threadripper 7000 “Storm Peak”」2機種がEinstein @ Homeデータベース内で発見されました。
AMDの次世代CPU Ryzen Threadripper 7000「Storm Peak」が登場、Zen 4コア96個、Threadripper 5000比でコア&スレッドが50%増に
AMDが次世代Threadripperファミリーに取り組んでいることは周知の通りだが、これはRyzen Threadripper 7000 CPUとしてブランド化される予定である。
このCPUは「Storm Peak」ファミリーの一部で、最大96コアと192スレッドを搭載する予定です。
9月には、同じデータベース内に64コア128スレッドのパーツがリークしているのを発見したが、今回はさらにハイエンドなチップの登場となる。
リークされたCPUは以下の通り。
- AMD Engサンプル: 100-000000884-21_N (96コア/192スレッド)
- AMD Engサンプル: 100-000000884-20_Y (96 コア / 192 スレッド)
- AMD Engサンプル: 100-000000454-20_Y (64 コア / 128 スレッド)
AMD Ryzen Threadripper 7000のCPUは、OPNコードが「100-000000884-21_N」と「100-000000884-20_Y」であることが特徴。
両チップとも、96コア、192スレッド、合計480MB(384MB L3 + 96MB L2)のキャッシュプールを含む同じコア構成となっている。
これらのチップは12CCDのZen 4ダイを利用し、128GB DDR5メモリとRadeon PRO W6400 GPUを搭載したマザーボードでテストされており、ワークステーションとしての性格を多少なりとも裏付けている。
※ 画像をクリックすると別Window・タブで拡大します。
AMD Ryzen Threadripper 7000 Desktop CPUは、Zen 4コア・アーキテクチャをベースに最大96コア、192スレッドを搭載し、TSMCの5nmノードで製造される予定です。
このCPUは、既存の「Chagall」ラインナップを置き換えるもので、純粋にハイエンドおよびエクストリームワークステーションユーザー向けに設計されたものになる。
コア数はEPYC Genoaのパーツと同じなので、同じダイを利用しつつ、一般消費者向けに特定のパーツを無効化したものになると思われる。
※ 画像をクリックすると別Window・タブで拡大します。
AMDは、デスクトップのロードマップにおいて、来年2023年にリリースが予定されている、次世代Zen 4コア搭載のRyzen Threadripper 7000シリーズに取り組んでいることを確認しました。
これらのチップをサポートするプラットフォームについては何も語られていませんが、チップが大きくなり、より大きなソケットを必要とするため、SP3や既存のTR40またはWRX80シリーズではないことは間違いないでしょう。
次世代チップのラインナップについては、詳細が分かり次第、随時更新していきます。
AMD Zen CPU / APU ロードマップ:
Zen アーキテクチャー |
Zen 1 | Zen+ | Zen 2 | Zen 3 | Zen 3+ | Zen 4 | Zen 5 | Zen 6 |
製造プロセス | 14nm | 12nm | 7nm | 7nm | 6nm? | 5nm/4nm | 4nm/3nm | 未確認 |
サーバー | EPYC Naples (1st Gen) |
N/A | EPYC Rome (2nd Gen) | EPYC Milan (3rd Gen) | N/A | EPYC Genoa (4th Gen) EPYC Genoa-X (4th Gen) EPYC Siena (4th Gen) EPYC Bergamo (5th Gen?) |
EPYC Turin (6th Gen) |
EPYC Venice (7th Gen) |
ハイエンド デスクトップ |
Ryzen Threadripper 1000 (White Haven) |
Ryzen Threadripper 2000 (Coflax) |
Ryzen Threadripper 3000 (Castle Peak) |
Ryzen Threadripper 5000 (Chagal) |
N/A | Ryzen Threadripper 7000 (Storm Peak) |
未確認 | 未確認 |
メインストリーム デスクトップ |
Ryzen 1000 (Summit Ridge) |
Ryzen 2000 (Pinnacle Ridge) |
Ryzen 3000 (Matisse) |
Ryzen 5000
(Vermeer) |
Ryzen 6000 (Warhol / キャンセル) |
Ryzen 7000 (Raphael) |
Ryzen 8000 (Granite Ridge) |
未確認 |
メインストリーム デスクトップ ノートPC APU |
Ryzen 2000 (Raven Ridge) |
Ryzen 3000 (Picasso) |
Ryzen 4000 (Renoir) Ryzen 5000 (Lucienne) |
Ryzen 5000 (Cezanne) Ryzen 6000 (Barcelo) |
Ryzen 6000 (Rembrandt) |
Ryzen 7000 (PhoenixPoint) |
Ryzen 8000 (Strix Point) |
未確認 |
省電力 モバイル |
N/A | N/A | Ryzen 5000 (Van Gogh) Ryzen 6000 (Dragon Crest) |
未確認 | 未確認 | 未確認 | 未確認 | 未確認 |
解説:
Zen4 Threadripper Storm Peakが姿を現す。
ついこの間Threadripper 5000WXシリーズが発売されたばかりのような気がしますが、もう7000シリーズの話が出てきました。
ThreadripperもEPYCと同じく96コア192スレッドになるようです。
HEDTはPCIeを含むI/Oが過剰なほど装備されているのが利点の一つですが、エンコードや機械学習、レンダリングと言った今までCPUを使ってきた重い処理をGPU側に移したことによって相対的にHEDTに重視されるのはI/O周りだと思います。
それもRTX4090に見られるような単体のGPUの消費電力を上げることによって二枚以上のGPUを使わなくなった(使えなくなった)ので、今後はよほどのこだわりがあるか予算が潤沢なユーザーしか使わなくなるのではないかと思います。
ドイツの小売業者MindFactoryによるとHEDTのシェアは個人ユーザー向けの販売の5%程度ですから、今でもそんなに大きな市場ではありません。
AMDもThreadripperを自作向けからOEM中心のワークステーション市場にターゲットを移しました。
メインストリームデスクトップのコア数がある程度増えたことによって、HEDTとデスクトップの境界線があいまいになったと言ってもよいのではないかと思います。
この方向性を決定づけたのは皮肉なことにメインストリームデスクトップ初の16コア32スレッドCPUであるAMDの Ryzen 9 3950Xではないかと思います。
※ 当然ですが、現在はIntelもAlderlake Core i9-12900KやRaptorLake Core i9-13900Kによって実現しています。Threadripper以降、Intel製品もHEDTモデルは姿を現していません。
元々、コンシュマーとサーバーの間に挟まれた微妙な市場でしたから、ワークステーション向けとして販売力のあるメーカーに販売してもらうというのはシェアと言う点で見ると有望だと思います。
自作向けThreadripperは不名誉な結果に終わってしまいましたが、ワークステーション向けのThreadripperの未来は輝いていると言ってもよいのではないでしょうか。
現在では64コア128スレッドのトップモデルThreadripper5995WXも普通に手に入るようになっていますので、自作出来ないということではありません。120万円以上しますけど。