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第13世代Raptor Lake CPU向けIntel Raptor Cove Coresは、Alder LakeのGolden Cove Coresと同じアーキテクチャを採用している

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Intelの第13世代Raptor Lake CPUは、第12世代Alder Lakeファミリーと同じコアアーキテクチャを共有し、いくつかの最適化があちこちに施される予定です。

この確認は、@InstLatX64が発見したIntel TMA (Top-down Microarchitecture Analysis)のドキュメントから得られている。

Intel第13世代Raptor Coveと第12世代Alder LakeのCPUはコアアーキテクチャは同じだが、いくつかの最適化が施されている

Intelの第13世代Raptor Lake CPUは、第12世代Alder Lake CPUに採用されたバージョンと比較して、ほとんど変更のない10nm ESF「Intel 7」ベースのRaptor CoveとGracemontコアを利用することは分かっていたが、マイクロアーキテクチャのレベルで、Raptor CoveとGolden Cove、両方のコア設計が同一であることが、Intelドキュメント自体によって確認されている。

https://twitter.com/InstLatX64/status/1550183805625008128?ref_src=twsrc%5Etfw

Intelの第13世代Raptor LakeデスクトップCPUは、シングルコアの性能向上とマルチコアの性能向上が期待されていますが、基本的なアーキテクチャは同じなので、IPCの向上は期待していません。

しかし、クロック、キャッシュサイズ、コア構成が変更されており、これら3つが第12世代Alder Lake CPUに対する性能向上をもたらしている。

つまり、Raptor Coveは、Golden Coveを最適化したもので、アーキテクチャは同じだが、レイアウトが若干異なるという見方ができる。以前リークされたCore i9-12900KとCore i9-13900Kを同クロックで比較したベンチマークで、全く差が出なかった理由もこの点にあると思われる。

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一方、AMDはZen 4コアでIPCの数値を8~10%向上させる見込みだ。15%以上のシングルスレッド性能には、8~10%のIPCの向上&クロックの向上に加えて、より新しいメモリ規格であるDDR5-5600の利用が含まれる。

Raptor Lakeは、前世代よりもはるかに高いクロックとDDR5-5600も利用することになる。

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IntelのRaptor Coveコアと同じGracemontコア(第13世代で倍増し、キャッシュも増えている)では、IPCの向上は見られないが、Zen 4コアはZen 3に比べて最大10%のIPC向上をもたらし、Alder LakeはAMDの製品よりも10~12%程度優れたIPCとなることが分かっている。

つまり、IPCが向上しなくても、Raptor LakeはシングルスレッドセグメントでRyzen 7000 Desktop CPUに対して競争力のあるソリューションに仕上がるということだ。

また、同じドキュメントから、第14世代Meteor Lake CPUは、Redwood Cove P-CoreとCrestmont E-Coreで構成されていることも確認できた。

インテル・メインストリーム・デスクトップCPUの世代間比較:

Intel CPU
ファミリ
製造
プロセス
プロセッサ
コア数/
スレッド数 (最大)
TDP チップセット ソケット サポート
メモリ
PCIe
サポート
発売時期
Sandy Bridge
(第2世代)
32nm 4/8 35-95W 6シリーズ LGA 1155 DDR3 PCIe Gen 2.0 2011
Ivy Bridge
(第3世代)
22nm 4/8 35-77W 7シリーズ LGA 1155 DDR3 PCIe Gen 3.0 2012
Haswell
(第4世代)
22nm 4/8 35-84W 8シリーズ LGA 1150 DDR3 PCIe Gen 3.0 2013-2014
Broadwell
(第5世代)
14nm 4/8 65-65W 9シリーズ LGA 1150 DDR3 PCIe Gen 3.0 2015
Skylake
(第6世代)
14nm 4/8 35-91W 100シリーズ LGA 1151 DDR4 PCIe Gen 3.0 2015
Kaby Lake
(第7世代)
14nm 4/8 35-91W 200シリーズ LGA 1151 DDR4 PCIe Gen 3.0 2017
Coffee Lake
(第8世代)
14nm 6/12 35-95W 300シリーズ LGA 1151 DDR4 PCIe Gen 3.0 2017
Coffee Lake
(第9世代)
14nm 8/16 35-95W 300シリーズ LGA 1151 DDR4 PCIe Gen 3.0 2018
Comet Lake
(第10世代)
14nm 10/20 35-125W 400シリーズ LGA 1200 DDR4 PCIe Gen 3.0 2020
Rocket Lake
(第11世代)
14nm 8/16 35-125W 500シリーズ LGA 1200 DDR4 PCIe Gen 4.0 2021
Alder Lake
(第12世代)
Intel 7 16/24 35-125W 600シリーズ LGA
1700/1800
DDR5 /
DDR4
PCIe Gen 5.0 2021
Raptor Lake
(第13世代)
Intel 7 24/32 35-125W 700シリーズ LGA
1700/1800
DDR5 /
DDR4
PCIe Gen 5.0 2022
Meteor Lake
(第14世代)
Intel 4 未確認 35-125W 800シリーズ? LGA 1851 DDR5 PCIe Gen 5.0 2023
Arrow Lake
(第15世代)
Intel 20A 40/48 未確認 900シリーズ? LGA 1851 DDR5 PCIe Gen 5.0 2024
Lunar Lake
(第16世代)
Intel 18A 未確認 未確認 1000シリーズ? 未確認 DDR5 PCIe Gen 5.0? 2025
Nova Lake
(第17世代)
Intel 18A 未確認 未確認 2000シリーズ? 未確認 DDR5? PCIe Gen 6.0? 2026

ソース:wccftech – Intel Raptor Cove Cores For 13th Gen Raptor Lake CPUs Feature The Same Architecture As Alder Lake’s Golden Cove Cores

 

 

 

 

解説:

AlderLakeとRaptorLakeは同一のアーキテクチャーであることが、判明したようです。

ソースはIntelの公式ドキュメントなので間違いないでしょう。

幾つかの最適化が施されているとのことなので、この最適化とやらがどのようなものなのか今までのリーク情報から少し考えてみましょう。

 

IntelのRaptorlakeは6.0GHzに迫るクロックになる可能性が指摘されています。

参考:Intel Raptor Lake CPUは、6GHzのクロック周波数を提供する最初のx86チップとなる可能性があり、新しいオーバークロック機能はXTUアップデートで詳述されています。

同じIntel7と言う製造プロセスでコア数とキャッシュが増量されているにもかかわらず、クロックもAlderLake Core i9-12900KSの5.5GHzから500MHzも増やされているのは少し不自然です。

もし、同じ製造プロセスでそれが可能ならば、もっとAlderlakeのクロックを上げることが可能だったのではないでしょうか。

参考:Intel Raptor LakeのDLVR(Digital Linear Voltage Regulator)は、CPUの消費電力を最大25%削減する可能性がある。

RaptorLakeはAlderLakeと比較すると消費電力が上がっていることは確かですが、トップSKUで500MHzものクロックアップに成功しているのは製造プロセスがこのように改良を受けているからという可能性が非常に高いと思われます。

つまりRaptorlakeは同じプロセスでも省電力になる改良を受けており、AlderLakeと同クロックならもっと省電力に出来たが、省電力になった分は全て性能の向上(クロックの向上)につぎ込み、相応の性能になったということです。

 

今回、IPCは全く改善されていないと書かれていますが、私はそうは思いません。

RaptorlakeのキャッシュはAlderLakeと比較すると増量されています。

  • Pコアの一つ当たりのL2キャッシュ AlderLake 1.25MBに対して、RaptorLake 2MB
  • Eコア一つ当りのL2キャッシュ AlderLake2MBに対してRaptorLake4MB

キャッシュに関してはAMDの3D V-Cacheの例を見るまでもなく、きわめて相性の良い特定のベンチマークテストなら、結果が大きく変わる可能性は0ではありません。

一番わかりやすい例でいえば、ゲーム用途ですね。

3D V-CacheがゲームのFPSの結果を大きく向上させたのは記憶に新しいでしょう。

Zen3があらゆるベンチマークテストでAlderLakeになすすべもなくボロ負けする中、クロックが100MHz落ちたにも関わらず、唯一Ryzen 7 5800X3Dのみはゲーミングベンチマークで気を吐いていました。

つまりキャッシュの増量はゲームのFPSを大きく向上させる可能性が高いです。

もちろん、AMDの3D V-CacheはRaptorlakeで増量されたキャッシュよりかなり容量が大きいですから、あそこまでの効果はないかもしれません。

しかし、IntelがRaptorLakeの増量されたキャッシュをゲームキャッシュと銘打っている以上、恐らく、ゲームのFPS向上にそれなりの効果があるのではないかと思います。

L3ではなく、L2を増量しているのはRaptorlakeのアーキテクチャーにおいてその方がトランジスタ当たりの効率が良いからなのかもしれません。

L2の方が明らかに回転が良いですから、L3を大量に増やすより、より演算器側に近いL2を増やした方が効果が高い可能性はありますね。

 

私が考えるRaptorlakeの改善点は以上です。

要するにAlderLakeと比較してクロックの増分以上に、よりゲーム性能が高くなっている可能性が高いということです。

もちろんですが、これらはリーク情報からの推察に過ぎませんので、必ずあっているという種類のものではありません。その点は注意してください。

Raptorlakeはよりゲーム用途に向いたCPUとなるかもしれません。

発売が楽しみですね。

 

 

 

  • B!