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VRヘッドセットの状況について-2022年6月(2022年5月Steamハードウェア調査)

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前回(2021年12月-2021年11月調査分)について、VRヘッドセットの状況の記事を書きました。

今回は前回の報告から半年経ってどのように変化したのかを見てみましょう。

 

※ Steamハードウェア調査に関する注意

Steamハードウェア調査の対象は調査に同意したユーザーになります。

決してSteamの全ユーザーが対象であるわけではありません。

またその性質上、Steamのみのユーザーしか対象になっておらず、必ずしも実態を反映しているわけではありません。

調査は月ごとに行われていますが、標本数が月ごとに増加すると言った保証はありませんし、調査の総数も公開されていないようです。

以上のことから、一種の指標であり、絶対に正確というわけではないことに注意してください。

 

2022/5使用率前回(2021/11)使用率増減
Oculus Quest 2 47.99%36.32%11.67%
Valve Index HMD 15.79%16.92%-1.13%
Oculus Rift S 10.94%16.00%-5.06%
HTC Vive 6.86%9.18%-2.32%
Windows Mixed Reality 4.58%5.59%-1.01%
Oculus Quest 3.77%4.78%-1.01%
Oculus Rift 3.67%4.86%-1.19%
その他6.40%6.35%0.05%
Steamユーザー
ヘッドセット
使用率
3.24%1.84%1.40%

寡占が進むPC用VRヘッドセット

前回に引き続き、PC用VRヘッドセットは単体でも専用のアプリが動作して、PC用VRとしても動作するQuest2が圧倒しています。

2021年の10月にQuest2用のキラータイトル「バイオハザード4VR」が発売されたためかクリスマスシーズンに爆発的にQuest2が売れ、21年11月の調査時から、12%弱も接続率を伸ばし47.99%とPC用VRの世界でも約半数を占めるまでシェアを伸ばしています。

それとは対照的に、他社製も含めたすべてのVRヘッドセットがマイナスになっているのが印象的です。

Steam公式VRと言う立ち位置であるIndexですらも使用率を落としています。

全体の数を象徴するSteamユーザー全体のVRヘッドセット使用率は今回も21年5月と同様に異常値を示しており、5月はちょっと参考にならないので、毎回5月、11月にしていましたが、次回から6月、12月にした方が良いのかなと思いました。

例外的な数値が出る月の調査結果を取り上げるというのはあまり良くないと感じました。

今回の調査はバイオハザード4VRの発売によってQuest2のPC用VRヘッドセットのデファクトスタンダード化が決定づけられたと言ってもよいと思います。

近年のVR発の大型ソフトは全てQuest2専用に出されてからPCVRに移植されており、もはや、他社の追随を許さないレベルになっています。

Quest2はソフトが弱いと言われてきましたが、バイオハザード4VRを得てそれが解消されたと言ってもよいでしょう。

 

メーカーごとの内訳

2022/05使用率前回(2021/11)使用率増減
Meta(Oculus)合計66.39%61.99%4.40%
Oculus Quest 2 47.99%36.32%11.67%
Oculus Rift S 10.94%16.00%-5.06%
Oculus Quest 3.77%4.78%-1.01%
Oculus Rift 3.67%4.86%-1.19%
Oculus Rift DK2 0.02%0.03%-0.01%
Valve合計15.79%16.92%-1.13%
Valve Index HMD 15.79%16.92%-1.13%
HTC合計10.62%13.22%-2.60%
HTC Vive 6.86%9.18%-2.32%
HTC Vive Pro 1.62%1.93%-0.31%
HTC Vive Cosmos 1.54%1.69%-0.15%
HTC Vive Pro20.60%0.41%0.19%
HTC Vive Elite N/A0.01%N/A
WindowsMR合計4.58%5.59%-1.01%
Windows Mixed Reality 4.58%5.59%-1.01%
その他2.62%2.28%0.34%
総計100.00%100.00%

Meta社無双

Meta社合計で66.39%となりました。

Quest2の使用率が前回の調査から12%弱プラスになったにも関わらず、Meta社全体でみると+4.4%とそれほど大きく数字が動いているわけではありません。

これは、Meta社の他のヘッドセットであるRift2や初代Rift、初代Questからの買い替えが進んでいることも要因の一つでしょう。

同時にSteam VRはPCVRであり、VRの使用に耐えるようなミドルクラスのゲーミングPCが必要になりますが、あくまでこの調査ではそうしたPCに接続されているVRヘッドセットのみが対象となっています。

Quest2は他社のVRヘッドセットからもじわじわとシェアを奪っていることが使用率の減少からうかがえる結果となっています。

ここでもQuest2以外のヘッドセットはほとんどすべてがマイナスになっているのか印象的です。

唯一プラスなのは比較的新しい製品であるVive Pro 2のみであるのは驚きです。

ここまで圧倒的な数字を叩き出しながらも、PCに繋がれているQuest2は全体から見るとわずかで恐らく大半は単体で使用されているものと思われます。

最新のGeforceであるAmpereの最下位モデルRTX3050はVR Ready PCの最低基準だったGTX1060を超えており、今後、VRが普通に動作するPCはどんどん増えていくものと思われます。

 

まとめ

前回に引き続き、Meta Quest2が他社製品を圧倒するという結果に終わりました。

今回はバイオハザード4VRがQuest2専用ソフトとして販売された効果が数字として表れたということになります。

Meta社はメタバースと言う未来に向かって長いスパンでの投資を行う方向に舵を切っています。

我々ゲーマーから見ると、何か余計なところに投資を行って、ゲームにはあまり力を入れていないような印象を受けますので、その点が唯一の懸念点と言えると思います。

未だ姿を現さないPSVR2が発売されれば何らかの刺激となってまた大型タイトルが販売される可能性も0ではありません。

今年の年末にはQuest2の上位機種であるQuest Pro(仮称)が発売されるとも言われていますので、それがどのように作用するのか注目です。

もはやPCVRの市場はMeta社が制したと言っても過言ではないでしょう。

 

 

Quest3の発売はいつか?

22年末に発売されると言われているQuest Proは上位機種と言う位置づけですが、では普及機であるQuest3はいつ発売されるのでしょうか。

PCパーツの情報サイトらしく、性能面でどうなのか見てみましょう。

AntutuベンチマークV9による性能比較表

SnapDragon 835SnapDragon 865SnapDragon 888SnapDragon 888+SnapDragon 8 Gen 1SnapDragon 8+ Gen 1
発表2016/112019/122020/122021/62021/122022/5
CPU83,653179,581212,479218,237249,768266,524
GPU105,099217,033304,840323,190448,381468,846
MEM50,470117,282137,606128,726172,528194,987
UX75,535135,531147,850170,014166,045187,804
Total314,965653,839810,760845,0611,043,4941,118,161

上の表は初代Questに使われたSnapdragon835とQuest2に使われた865、その後に発表されたSnapdragonの性能をまとめたものです。

PC用のベンチマークばかり見ている人にとってはあまりなじみがないものだと思いますので解説します。

Antutuベンチマークはスマホ用のベンチマークソフトで、日本では性能の指標として特に人気があります。

少し前に問題があるとしてPlayStoreから排除されてしまったため、影響力が落ちましたが、日本ではまだまだ影響力を持っています。

各項目を簡単に解説します。

CPU・・・シングルスレッド・マルチスレッドを含む性能

GPU・・・3Dを含むGPUの性能を表します。

MEM・・・メモリ速度です。CPUやGPUの性能に影響を与えます。

UX・・・・ユーザーエクスぺリンスの略で、レスポンスなどの全体的な使い勝手を表す指標のようです。

Snapdragonは大きなアップグレードは1年ごとですが、半年ごとにマイナーアップグレードがあります。

この辺は巨大な市場を誇るスマホのSoCならではと言ってもよいです。

最新のSnapdragon 8 Gen 1は発熱の問題を抱えていると言われており、8+ Gen 1でも解決に至っていないと言われています。

Qeust2は865をデチューンして発熱を抑えており、この8 Gen 1や8+ Gen 1の発熱問題は大きなマイナスです。

 

 

では概略を理解できたところで、初代Questに搭載された835とQuest2に搭載された865の性能を比較してみましょう

SnapDragon 835SnapDragon 865性能比(865/835)
発表2016/112019/123年
CPU83,653179,581215%
GPU105,099217,033207%
MEM50,470117,282232%
UX75,535135,531179%
Total314,965653,839208%

865は835の発表から3年後に発表されています。

初代QuestはSnapdragon835がそのまま使われていますが、Qeust2はSnapdragon865がベースのVR特化型SoC Snapdragon XR2が使われています。

数字を見るとわかると思いますが、ほぼすべての性能が倍以上になっているのは印象的です。

ただし、VR用途における835との性能差は20倍ともいわれています。

Snapdragon865は1000万個以上出荷されたとQualcommから発表されましたが、これを根拠にQuest2が1000万台以上売れていると推測されています。

SnapDragon 865SnapDragon 8+ gen 1性能比(8+Gen1/865)
発表2019/122022/52.5年
CPU179,581266,524148%
GPU217,033468,846216%
MEM117,282194,987166%
UX135,531187,804139%
Total653,8391,118,161171%

では865を最新の8+ Gen 1と比較してみましょう。

VR機器のキモとなるGPU性能は既に200%以上の性能になっていますが、その他はまだ200%になっていません。

来年に発表されるとされている、Snapdragon 8 Gen 2で丁度3年目になりますが、Quest3に採用されるとすればGen2かその次のGen3になるのではないかと思っています。

8 Gen2が採用されるとすれば、865は発表の1年後にQuest2が出ていますので、Quest2発売から4年目、Gen3が採用されるとすれば5年目となります。

Quest2は未だライバルが存在しない状態ですから、あわてて次世代機を出す必要はあまりなく、5年前後は販売を続けるのではないかと思います。

Quest3はQuest2の倍以上の性能になることはほぼ確実です。

内蔵GPUの性能もPCのVR Readyの基準となったGTX1060に近い性能にはなると思われますので、単体ヘッドセットとして性能的にも満足のいくレベルになるかもしれませんね。

参考までに現在最新のSnapdragon8+Gen1の内蔵GPUはFP32演算性能が2236GFLOPS、GTX1060が4375GFLOPSとなっており、半分程度の性能にはなっている計算です。

 

 

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