AMDのCPU「Ryzen 7 5800X3D」の最初のゲームベンチマークが公開され、印象的な3D V-Cacheの性能が示されました。
AMD Ryzen 7 5800X3D 3D V-CacheのCPUは、CPUに縛られたシナリオでのゲーミングベンチマークで強さを発揮する。
ベンチマークは、XanxoGamingとCapFrameXによって投稿されました。
いつものように、新しい3D V-Cache CPUは、標準的なワークロードではあまり印象に残りませんが、そのゲーム性能は、非3Dチップに比べて平均15%向上していると言われています。
そのため、Ryzen 7 5800X3Dは現在、Shadow of The Tomb Raiderでテストされている。
性能は、RTX 3080 Tiグラフィックスカードを搭載したX570テストベッドでAMD Ryzen 7 5800X3Dを使用して720p lowでテストし、RTX 3090 Tiグラフィックスカードを搭載したDDR4プラットフォームで動作するIntel Core i9-12900Kと比較しました。Core i9-12900KSも同じ構成で動作させたが、ゲーム内のベンチマークではなく、カスタムシーンが使用されたようだ。
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ゲーム性能については、AMD Ryzen 7 5800X3Dは平均231FPSを記録し、Core i9-12900Kと比較して21.58%、Core i9-12900KS 5.5GHz CPUと比較して15.5%向上しています。
シャドウ オブ ザ トゥームレイダー(カスタム設定 – Low)
CPU名 | 平均FPS | 12900K/KF比 |
AMD Ryzen 7 5800X3D |
231 | 122% |
Intel Core i9- 12900KS |
~200 | 105% |
Intel Core i9- 12900K/KF |
~190 | 100% |
これは非常に印象的な数字だが、ここでのシーンは非常にCPUとメモリに縛られるシナリオであり、余分な3D V-Cacheが数字を押し上げるのに非常に有効であることを忘れてはならない。
標準的なゲーマーにとって、720pでのゲームは実際の使用例ではなく、CPU固有の性能を示すために使用されるだけです。
1080p以上では、その差はもっと小さくなるので、読者の皆さんには、数日後に行われるより適切なテストとレビューをお待ちいただくことになります。
https://twitter.com/CapFrameX/status/1512151405615849477?ref_src=twsrc%5Etfw
https://twitter.com/9550pro/status/1512366877648973826?ref_src=twsrc%5Etfw
AMD Ryzen 7 5800X3Dは、8コア、16スレッド、64MB 3D Stacked SRAMの追加設計により、100MBの複合キャッシュを提供する予定です。
クロックはベース3.4GHz、ブースト4.5GHzを維持し、TDPは105Wとなる。
正式希望小売価格は、発売時のRyzen 7 5800Xと同じ449USドルで、4月20日から発売される。
解説:
Ryzen 7 5800X3Dのゲーム性能は Core i9-12900KSの1.2倍か?
驚くべき結果が出ています。
特にAMD大本営発表と言うわけではありませんので、AMDに有利な結果が出ているとは思いません。
上は1080pにおける結果です。
1080pにおける結果は当然のことながら、差が縮まっています。
これは、1080pのほうがGPUパワーに依存する部分が大きくなるためです。
720pは実使用には適さないという話をAMDファンはCoffeeLakeRefleshの時に出していていましたが、一般的には720pはCPUのゲーム性能を測る上でわかりやすい指標であるとされていたと思います。
そこで、Intelが勝っているからゲーム用のCPUとしてIntelの方が優れているという結論を付けている方がいらっしゃったと思いますが、この結果を見ると、Ryzen 7 5800X3Dの方がゲーム用のCPUとしては優れているという結論になると思います。
当時、私はIntelの方がゲームでは優れていると思っていましたが、総合的にはZen2の方が優れていると思っていました。
※ ただし、これは書くのは初めてなので後付けと言われても反論は出来ないです。
ちょうど当時とは正反対な結論になりましたね。
なぜこういうことが起きるのか?
なぜこういうことが起きるのか?ですが、ゲームのプログラムは60FPSを出したい場合、1/60ですべての処理を終わらせなくてはなりません。
(描画、マップ上の敵のや地形、オブジェクト動作や当たり判定からキーの読み出しなど各種の処理)
この数字をどんどんあげていくには当然一回りする処理のスピードを上げていかなくてはなりません。
コンピューターの処理を決定する上で重要なのは、CPUのシングルスレッド性能もさることながら、メモリのレイテンシ(遅延)と帯域幅(メモリの速度)が重要です。
この点において3D V-Cacheは非常に大きな役割を果たしているのでしょう。
特にスタックされたSRAMがレイテンシの圧縮に非常に大きな効果を上げているのだと思います。
そのため、シングルスレッド性能や総合的な演算処理で負けていてもゲームのFPSでは勝っているという状況が生まれているものと思います。
Zen2の4コア1CCXからZen3の8コア1CCXになったとき、非常に大きなゲーム性能の改善が見られたことも、8コアまでならCCX間の通信が無くなりレイテンシが短縮されたことが大きく寄与しているものと思われます。
クラッシックに全体の処理(シングルスレッド性能)を上げるためにPコアにトランジスタをつぎ込んだAlderlake、特定の処理に非常に大きな効果を及ぼすオンダイの高速メモリを搭載したRyzen 7 5800X3Dと言うことが出来ると思います。
一般的な総合ベンチマークのワークロードではパッとしなくても、特定のユースケースでは圧倒的な結果を叩き出しているのはこれが理由だと思います。
トランジスタをどこにつぎ込むのかと言うのは設計するメーカーの考え方に依存します。
超高速なSRAMやオンダイのキャッシュと言うのは速度が速い分、普通のDRAMと比較するとトランジスタを消費します。
つまり実装するコストがかかるということになります。
それをどこに、どのようにつぎ込むかと言うのは設計の良しあしに依存するところです。
設計としてどちらが優れているかと言えば、Intelの方が優れていると思います。
しかし、キャッシュを増やすという力業はAMDのようにリソースが小さい企業にとってはありがたい方法なのではないかと思います。
「じゃあ、Intelもキャッシュを増やせばよいのでは?」と思われるかもしれませんが、恐らく、intelのCPUはパイが大きい分、特定の用途に特化するような設計にするよりは、バランス型に設計したほうが良いという結論なのでしょうね。
特定の用途に120点で後は80点と言うような設計よりも、総ての用途で90点から100点が取れるような製品でなければならないのでしょうね。
事実、昨日の記事では総合的なベンチマークのワークロードではRyzen 7 5800X3Dの性能は奮いませんでした。
全般的に速い優等生のAlderlake、癖があるが特定の用途にはものすごい威力を発揮するRyzen 7 5800X3Dと言うイメージがわかりやすいと思います。
総合的に速いCPUが欲しいAMDファンはZen4まで待った方が良いでしょう。