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Apple M1 Ultraチップ面積はAMDのRyzen CPUの約3倍、ベンチマークではデスクトップIntelとAMDのCPUがまだ性能が高いことが判明

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AppleのMac Studioに対する禁輸措置が解除されて以来、新しいM1 Ultra SOCを搭載したデバイスのベンチマークやティアダウンが続々と発表されています。

その高いGPU性能の主張と同様に、チップメーカーはIntelとAMDのデスクトップオプションに対して、その最新チップの大きな数字を主張しましたが、独立したテストでは、Appleが再びそれらの主張に匹敵することができないことが示されています。

AMD Ryzen CPUの約3倍のパッケージサイズを持つ巨大なチップ、Apple M1 Ultra SOCの写真が公開されました。

Mac Studioを分解し、新チップの巨大なパッケージを初めて見ることができたApple M1 Ultra SOCの最初のティアダウンビデオがテックチャンネル、Max Techによって公開されました。

また、このチップはAMD Ryzen CPUと比較されましたが、M1 Ultraと比較すると小さく見えます。

サイズと寸法からすると、M1 UltraはAMD Ryzenチップのほぼ3倍の大きさです。

M1 Ultraは、2つのM1 Maxダイを融合したMCMチップであるだけでなく、巨大な64コアGPU、すべてのIOとメモリまでもが同じパッケージ上に搭載されています。

Ultra SOCは依然として5nmプロセスノードを利用していますが、プロセスノードの倍増により、同じパッケージ上に最大1,140億個のトランジスタを搭載しています。

新しいUltraFusionアーキテクチャは、最大2.5TB/秒の低レイテンシープロセッサー間バンド幅と800GB/秒の高速メモリバンド幅を提供します。

インターコネクトアーキテクチャは、2つのチップ間で10,000以上の信号が接続されているのが特徴です。

Apple M1 Ultra SOCのローレベルビューでは、16個の高性能コアと4個の高効率コアからなる20コアのCPUを搭載していることがわかります。

従来のM1チップと同様に、高性能コアは192KB命令キャッシュ、128KBデータキャッシュ、48MBのL2キャッシュを備えたウルトラワイド実行アーキテクチャに基づいており、高効率コアは128KB命令キャッシュ、64KBデータキャッシュ、8MBのL2キャッシュを備えたワイド実行アーキテクチャに基づくものである。

また、M1ニューラルエンジンには32個のコアがあり、最大で毎秒22兆回の演算が可能です。

M1 Ultra SOC、IntelとAMDのデスクトップCPUに対するベンチマークで印象的な結果を残せず

今回リークされた性能ベンチマークでは、AppleのM1 Ultra SOCが、極小の20コアプロセッサでAMD Ryzen Threadripper 3990X 64コアCPUを打ち負かす様子が示されています。

M1 UltraはIntel Core i9-12900KやAMD Ryzen 9 5950Xとほとんど競合しておらず、電力数値も含まれていない。性能の数字と同様に、消費電力の数字も捏造されている可能性が高い。

Appleは、この新しいチップは、同じ電力で90%の性能向上を実現し、12900Kよりも100ワット低い電力を吸いながら高い性能を発揮すると主張しているが、以下のベンチマークでは、そうした性能の主張が見られない。

Apple M1 Ultra SOC Benchmarks (ソース: Dave2D):

Apple M1 Ultra SOC Benchmarks (ソース Matthew Moniz):

Apple M1 Ultra SOC ベンチマーク(ソース:NanoReview):

このことは、AppleのSOCに関する独自の数字をどの程度信頼すべきかを物語っているはずです。

公式ベンチマークは、M1 Ultra CPUに有利な選択ワークロードで行われ、実世界のアプリケーションでは行われなかったようです。

ソース:wccftech – Apple M1 Ultra Chip Is Nearly 3 Times Bigger Than AMD’s Ryzen CPUs, Benchmarks Show Desktop Intel & AMD CPUs Still Ahead

 

 

 

解説:

Apple M1 UltraのApple大本営発表の詐欺的表現を暴くベンチマークテスト結果がまた公開される。

まず、CPUの写真が公開され、Ryzen 9 5950Xの約3倍、ちょっと、と言うかかなり驚きのサイズです。

ヒートスプレッダのサイズがかなり圧迫感のある大きさになっています。

肝心のベンチマークを見ると、テストによって勝ったり負けたりと言う感じです。

圧倒的と言うほどの性能ではありません。

純粋に演算性能が物を言いそうなCinebench R23では5950XにもCore i9-12900Kにも負けています。

逆にGeekbench5では勝っています。

その他Adobeのソフトを使ったテストで結構強いのはApple製品らしいと言えばらしいです。

 

SoCの宿命

総合的にみると、GPU内蔵型のSoCの特性がモロに出てしまったかなと言う感じです。

GPU性能は先日の記事でRTX3090には遠く及ばないことが暴かれてしまいました。

参考:Apple M1 Ultraの64コアGPUがNVIDIA GeForce RTX 3090にコンピュート&ゲーミングベンチマークで打ち負かされる

近年、成長を続けるGPU市場での性能競争は激しさの一途を辿り、RTX3090はTDP350W、次世代のRTX4090Tiは800W以上などと言われています。

CPUとGPUが同じチップに搭載されるSoCはCPUとGPUでTDP(発熱)をシェアし合うことになります。

当然ですが、一つのチップに対してどれほど強力な冷却システムを搭載しても、冷却性能には限りがあります。

この点において、CPUとGPUを分けて冷却できるゲーミングPCのような構成はかなり有利です。

単純なことですが、熱と言う物理現象の問題を解決するには物理的に2つに分けて別々に冷却したほうが効果的と言うことです。

事実、総てのメモリをGDDR6にしたAMD製のAPUを搭載したPS5やXboxSXのSoCに搭載されているGPUはRX6600XT程度の性能にとどまっています。

RDNA2の最高性能は言わずもがなRX6900XTですが、こちらも300W前後のTDPとなっています。

SoCのGPUに350Wに迫るようなTDPを持つGPUは搭載出来ないということです。

自作をされる方はこれは常識として覚えておいてください。

 

それでもARMが高性能になることには意義がある

ARMはライセンスガチガチのx86に比べると自由な世界です。

Appleの他Qualcomm、Mediatek、UNISOCなど様々なCPUメーカーがしのぎを削っています。

こうしたメーカーがデスクトップCPUに迫るくらいのSoCを出して、Windowsの世界への圧力になることには、様々な面で意義があると私は思います。

残念ながら、TSMC5nm世代のSoCではx86に追いつく程度の性能しかありませんでしたが、次世代のTSMC3nmでは、もっと高性能のSoCが出てくるかもしれません。

QualcommもSnapdragon 8cxシリーズと言うWindows向けのSoCを出すようになり、今は3世代目でApple M1の後塵を拝していますが、急速に性能を上げています。

こうした新しい風がx86の世界も刺激して、さらなる革新的な製品が出てくることを期待したいです。

 

 

 

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