AMD Van Gogh APUを搭載した初のポータブルゲーム機「Steam Deck」の仕様が正式に発表されました。
Steam DeckはSteam OS 3.0を搭載しており、Steamのゲーム体験を携帯型で楽しむことができます。
AMD Van Gogh APU搭載ポータブルゲーム機「Steam Deck」公式発表、CPUにZen 2、GPUにRDNA 2コアを採用し2TFLOPs以上の演算性能を実現
公式の仕様書によると、Valve社の新型コンソール「Steam Deck」に搭載されているAMD Van Gogh APUは、初代ソニーの「PlayStation 4」よりも高いパフォーマンスを備えたエントリーレベルのチップです。
AMD Van Gogh APUは、CPUにZen 2、GPUにRDNA 2を採用しています。解像度は1280×800(アスペクト比16:10)に制限されていますが、SteamOSに基づいた最適化により、さらに優れたグラフィック性能を発揮するため、すべてのAAAゲームを快適に動作させることができるとされています。
また、RDNA 2 GPUアーキテクチャを採用したAMD Van Gogh APUを搭載していることから、Steam DeckはAMD FideilityFX Super Resolution(FSR)を最大限に活用し、同機能を活用したタイトルではさらに高いパフォーマンスを発揮することになります。
詳細な技術仕様については、4コア8スレッドのAMD Van Gogh APUを採用しています。CPUのベースクロックは2.4GHzで、最大3.5GHzまでのターボ動作が可能です。
GPUについては、AMD RDNA 2アーキテクチャを採用しており、8つのCompute Unit、合計512のストリームプロセッサーを搭載し、最高クロックは1600MHzです。
CPUは448GFlops、GPUは1.6TFLOPsのFP32能力を持ち、合計で2TFLOPs以上の性能を発揮し、初代「Xbox One」や「PlayStation 4」よりも高速なゲームを実現します。
Steam Deckの公式仕様の概要は以下の通りです。
演算器
- Processor: AMD APU
- CPU: Zen2 4c/8t, 2.4-3.5GHz (最大 448 GFlops FP32)
- GPU: 8 RDNA 2 CUs, 1.0-1.6GHz (最大 1.6 TFlops FP32)
- APU消費電力: 4-15W
- RAM: 16 GB LPDDR5 RAM (5500 MT/s)
- ストレージ: 64 GB eMMC (PCIe Gen 2 x1)
- 256 GB NVMe SSD (PCIe Gen 3 x4)
- 512 GB high-speed NVMe SSD (PCIe Gen 3 x4)
- All models include a high-speed microSD card slot
AMD Van Gogh APU レンダリング画像 (Valveより):
Steam Deckコンソールのその他の技術的特徴としては、16GBのLPDDR5(5500 MT/s)メモリー、64GBのeMMC(PCIe Gen 2 x1)、256GBのNVMe SSD(PCIe Gen 3 x4)ストレージ、512GBの高速NVMe SSD(PCIe Gen 3 x4)ストレージ、さらに高速カードに対応したmicroSDを追加して、ストレージを拡張することができます。
ディスプレイは前述の通り、輝度400nits、リフレッシュレート60Hzの対角線7インチ液晶です。
I/Oは、Bluetooth 5.0、デュアルバンドWiFi、3.5mmコンボオーディオジャック、USB-C with DisplayPort 1.4、45WのUSB Type-C PD3.0電源入力を搭載。
このゲーム機は、HDハプティクスを利用しており、Steamコントローラよりも55%優れたレイテンシーを持つ2つの32.mmトラックパッドを搭載しています。
また、6軸ジャイロも搭載しており、ゲームパッドと同様の操作性を実現しています。
Steam Deckには3つのバリエーションが掲載されており、ベースモデル(64GB)の価格は399USドル、256GBモデルの価格は529USドル、512GBモデルの価格は649USドルとなっています。このゲーム機は2021年12月に出荷を開始し、予約は7月16日(米国太平洋夏時間午前10時)に開始します。このリンクからSteam Deckコンソールの予約ができます。
解説:
あれ?Van Goghはキャンセルではなかったでしたっけ?
そのようなリークが流されていたので、Steamのゲーム端末は中止になったと思っていたのですが、どうも違うようです。
実質的にRDNA世代のGPUを始めて内蔵するAPUが搭載された携帯ゲーム機と言うことになると思います。
PS5やXobxXには既に搭載されていますが、あちらは据え置きですからね。
総合的な性能はPS4以上ということですから、時代の流れを感じますね。
下にSwitchと仕様が比較できる表を作りましたので見てみてください。
Van Gogh (SteamDeck) |
TegraX1 (Switch) |
|
CPU アーキテクチャー |
Zen2 | Cortex-A57/A53 |
コア数/スレッド数 | 4C8T | 8C8T (A57×4+A53×4) |
クロック | 2.4-3.5GHz | A57 1.9GHz A53 不明 |
GPU アーキテクチャー |
RDNA2 | Maxwell |
GPUクロック | 1.6GHz | 1GHz |
CUDAコア数 またはSP数 |
128SP | 256CUDAコア |
GPU FP32演算性能 |
1.6TFLOPS | 0.5TFLOPS |
メモリ容量・種類 | LPDDR5 16GB |
LPDDR4 4GB |
メモリ帯域幅 | 42.97GiB/s | 25.6GiB/s |
SoC TDP | 4-15W | 10W |
※ SwitchはTegraX1をダウングレードして使っていると言われています。
見ていただければわかる通り、2017年発売の当時も決して最新と言うわけではなかったtegraX1を搭載するSwitchの低性能ぶりが目立ちます。
性能だけで言えば圧倒的にSteam Deckなのですが、Steam Deckが魅力的な独自のキラータイトルを持っているかと言えば答えはノーです。
価格も高めで低年齢層の子供がメインターゲットのSwitchと比較すると対照的です。
最後に私の所見を書いておきます。
Switchより売れるか売れないかで言えば売れないと思います。
Switchの登場によって携帯用のゲーム機と言うのは売れるという結果が出ました。
しかし、Switchは低年齢層の子供への販売力が全体の売り上げをけん引していると思います。
また、マリオ・ゼルダ・ポケモンと言った任天堂の強力な独自タイトルが専用ソフトとして並んでいます。
対してSteamDeckはソフトはやはりサード任せになるか、対象年齢がかなり上の世代を狙ったラインナップになると思います。