中国のメモリメーカーであるLongsys社は、同社のDDR5メモリモジュールについて、8コアチップで構成されるIntel Alder Lakeデスクトッププラットフォームで評価したテスト結果を発表しました。
今回のテストでは、本日発売のLongsys社製DDR5 ES1モジュールを使用し、最大6.4Gbpsの速度を実現しました。
DDR5メモリモジュール(定格4800MHz)がIntel Alder Lake 8コアデスクトップCPUプラットフォームでテストされ、ESステートで最大53%の性能向上を実現
今回テストしたLongsys社のDDR5メモリモジュールには、UDIMMフォームファクターの2種類のバリエーションがあります。シングルランク(x8)とデュアルランク(x8)のモジュールがあり、1つ目は16GB容量(JDEC R/C A 0.50)、2つ目は32GB容量(JDEC R/C B 0.51)となっている。
両製品とも、ピンスピードは4800MHz、タイミングはCL40(40-40-40-77)、16GB(2x8b)モジュールを採用し、電圧は1.1/1.1/1.8V(VDD/VDDQ/VPP)となっています。また、LongsysのDDR5メモリモジュールは、8層PCBデザインを採用しており、サイズは133.35×31.25×1.27mmです。
Longsys社は、DDR5メモリーの評価に、Intel Alder Lake-S ADP-S CRB開発キットボードを使用しました。
このプラットフォームは、デュアルUDIMM DDR5スロットで構成されており、8コア、クロックスピード0.8GHzのIntel Alder Lake ES Desktop CPUを搭載しています。
これは、2021年のCESでインテルがデモを行ったIntel Alder Lakeテストキットと同じものです。
OSは64ビットのWindows 10を使用し、メモリはデュアルランクを採用した。
また、デュアルランクモジュールは、1つのモジュールから2つの独立したDRAMチャネルを提供します。
パフォーマンステストでは、まず中国のベンチマークで、Intel Alder Lake Desktop CPUプラットフォームで動作するDDR5-4800 MHzメモリが190,000ポイント以上のスコアを記録しました。
一方、Longsys社のDDR4メモリは91,757ポイントにとどまっており、現在のエンジニアリング状態でもDDR5メモリは53%もの性能向上を実現しています。次は、AIDA64のCache and memory benchmarkです。
AIDA64では、Intel Alder Lake Desktop CPUプラットフォームで動作するDDR5メモリは、DDR4と比較してReadで28%、Writeで27%、Copyで10%向上しました。しかし、レイテンシーはDDR4よりもはるかに悪く、これにはいくつかの理由があります。
まず、最も明白な理由として、テストプラットフォーム全体の初期開発とESの性質があり、次にDDR5キットのCASタイミングがDDR4に比べてはるかに高いことが挙げられます。
また、デュアルランクのDDR5メモリは、シングルランクのDIMMよりも性能が劣ることがあります。
Longsys社のDDR5メモリの追加機能としては、オンダイECC、16nプリフェッチモード、モジュールあたりのバンク数が2倍、デュアルランクメモリDIMM用にモジュールあたり2つの独立した32ビットチャネル、エンドツーエンド受信モードの強化、バンクの同期リフレッシュモードなどがあります。
Intel Alder LakeデスクトップCPUと新しいLGA 1700ソケットプラットフォームは、2021年の後半に登場する予定です。
また、複数のメモリーメーカーが、このプラットフォーム向けのDDR5メモリーキットを発表しており、その速度は圧倒的に速く、キットの容量は最大128GBとなっています。
また、インテルがAlder Lake CPUのIMCを最適化してからコンシューマー/リテール製品を発売することを考えると、このプラットフォームの発売時には、より優れたパフォーマンスが期待できます。
解説:
DDR5-4800メモリーのテスト結果がリークされるが・・・
中国メーカーのDDR5+AlderLakeのテスト結果がリークされました。
元記事中には書いてありませんが、比較対象になっているのはDDR4-3200であり、クロックの割には前評判ほどの速度はありません。
https://twitter.com/9550pro/status/1371647429779496962
上がその大本のソースです。
DDR5-4800とDDR4-3200の比較であり、クロック表記ほどの性能が出ているならば、1.5倍程度にはなっているはずです。
※ もっともCL値も上がっているのでその点多少の不利はあるかもしれません。
しかし、そうはなってないので、まだまだテスト段階の結果なのでしょう。そう信じたいですね。
DDR4-4800はかなり高価なメモリであり、気軽に購入できるような値段ではありませんが、DDR5-4800が正式に発売されれば、OCではなく、JEDECに承認された正規のメモリでクロック表記で一挙に1.5倍と言う異次元の速度に到達するということになります。
前評判通りの性能と言うことであるならば、DDR5-4800は同クロックのDDR4メモリの1.3倍はあるはずなので、50GB/s程度の性能にはなるはずです。
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1148609.html
Impressさんのこの記事にも書いてある通り、同速度で1.36倍、今回の比較対象であるDDR4-3200とDDR5-4800を比較するならば、1.87倍の性能になるはずです。
元の記事はこの点には触れられておらず、ちょっと残念な感じですので補足しておきます。
メモリ速度が上がったからと言ってシステム全体の速度が上がるとは限らない
残念ですが、メモリ速度が上がったからと言って、システム全体の速度が上がるとは限りません。
なぜならば、CPU、特に最近のCPUは大容量のキャッシュを備えていることが前提であり、比較的メモリ速度の差が出にくくなっているからです。
ですので、メモリの転送速度がシステム全体の速度を大きく左右するという場面は少なくなってきていることは覚えておいてください。
メモリの速度が物を言うのは大量のデータを演算するときくらいです。
こういった処理はCPUよりもGPUで処理する方向に行っており、最近ではRX6000シリーズに大容量のキャッシュを用意して、無しの時よりも3倍以上の実効帯域を実現しているのが印象的でした。
それでも大容量のキャッシュが搭載できないAPUのような安価な製品、内臓GPUの性能の底上げにはかなり有効であることは確かです。
かなり前の記事でも書きましたが、DDR5時代に入れば、恐らく、内臓GPUでFullHD、60FPSが実現できるようになると思います。
シングルチャンネルでDDR5-4800は50GB/s、デュアルチャンネルで100GB/s、GDDR5の128bitバスの帯域が112GB/sですので、ほぼ並びます。
DDR5の128Bitバスと言えば、Pascal世代のGTX1050/Ti当たりの性能と言うことになります。
そう言ったイメージを持ってもらえればわかりやすいのでしないでしょうか。
今はPCゲームのためには単体GPUを買うのが常識ですが、DDR5時代には「FullHDなら内蔵GPUで十分だよ」と当たり前のように言われることになるかもしれません。
そのために、単体GPUはレイトレーシングと言う非常に高い演算性能を必要とする新しい技術を積極的に取り入れているということです。