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ソニーPS5対Xbox Series Xテクニカル分析:PS5の10.3 TFLOPs表記が誤解を招く理由

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Microsoft Xbox Series X(以降XSXと表記)とSony Playstation 5の両方の暫定仕様が公開されました。

今度は、それらのグラフィックス機能の簡単な分析を行います。

始める前に、この記事は、両社が公開した情報にのみ基づいています。

全ての情報が確定しているわけではありません。

 

Sony PS5とXbox XSXの仕様比較とグラフィック分析

Microsoft XSXおよびSony PS5仕様は、うわさやリークが飛び交っており、疑いのない情報としては、両方のゲーム機は前世代からの演算性能の大幅な向上をもたらしました。

Sony PS4は1.84 TFLOPsのグラフィックス能力を備えており、Xbox OneはSモデルで1.40 TFLOPsを備えていました。

両社はそれぞれ5.54倍と8.58倍の高速化を実現しました。

これは大きな成果であり、間違いなく素晴らしいゲームの体験をもたらすでしょう。

ゲーム機の今回のアップグレードに見られたもう1つの興味深い傾向は、現在の世代のゲーム機は、PC GPUと比較して(グラフィックスの能力がリリースの時点で)すでに時代遅れでしたが、次世代ゲーム機は、市場のハイエンドグラフィックスカードと同等レベルまでギャップを縮めています。

筋金入りのPCユーザーがゲーム機を検討した場合でも、視覚的な忠実度を損なうことなく移行できるため、これは非常に歓迎すべき傾向です。

ゲーム機のTotal Available Market(TAM)が増加することを期待してください。

しかし、Microsoftの情報公開は非常に明確で簡潔であり、Digital Foundryのようなサードパーティのテスターがクローズアップを公開することを許可していましたが、Sony Playstation 5の情報公開はやや不明瞭で、ほとんどが意図的に曖昧にしていることがわかりました。

私の主な問題点は、ソニーのPS5が10.3 TFLOPで出荷されると宣伝されたとき、「可変クロックレート」という言葉が同じように使われたことでした。

多くの人が推測しているように、これは誤解を招くものです(その大きさは、以下で説明するいくつかの点で解消されます)。

それで、問題は何ですか?

さて、TFLOPとは、最大の演算スループットのために非常に一般的に使用されるものです。

理論的には、これを使用すると、GPU全体を使用した場合のGPUの最大の性能を確認できます。

TFLOPはおおよそ次の関数で求められます:[クロック速度* 2 *ストリームプロセッサ/ 1000]。

それ自体でCUもしくはコントロールユニットを使用するAMDのRDNAに基づく次世代ゲーム機の場合、式は[クロック速度* 2 * CU数* 64/1000]になります。

これで、クロック速度と実際のハードウェア仕様(GPUの制御ユニット数)の両方が、GPUのグラフィックスパワーに非常に大きな役割を果たしていることがわかります。

Microsoftでは、GPUに52 CU(合計3328ストリームプロセッサ)があることを知られています。

また、GPUの安定したクロック速度は1.825 GHzであり、TSMCの「7nm Enhanced」またはN7Pプロセスで製造されていることもわかっています(これにより、ある程度詳細に予想できます)。

これは、Microsoftの12.1472 TFLOP(1.825 * 2 * 52 * 64/1000)の計算が信頼できることも示しています。

一方、Sony PS5には可変クロックレートと呼ばれるものがあります。

つまり、ゲーム機は常に2.23 GHzでGPUを動作できるわけではありません。

Microsoftのクロックは静的な数値であるため、PS5のクロックレートが可変であるという理由だけで、10.28 TFLOPの数値はXbox Series Xと比較できず、誤解を招く可能性があります。

これは、PS5が「ピークTFLOPs」示しているのに対して、XSXが「持続TFLOPs」を示してためです。

業界でTFLOPsという用語を使用する場合、通常、常用可能なTFLOPsの数値を指します。

Xbox Series XSony PS5
CPUAMD Zen2 based
8-Core
AMD Zen2 based
8-Core
CPU クロック最高3.8 GHz
(3.66 with SMT)
最高3.5 GHz
(SMT?)
GPU52 CUs
RDNA 2 GPU
36 CUs
RDNA 2 GPU
最高 GPU クロック1.825 GHz2.23 GHz
最高FP32演算性能12.1 TFLOPs10.3 TFLOPs
通常GPU クロック1.825 GHz2.0 GHz [推定]
通常 FP32演算性能12.1 TFLOPs9.2 TFLOPs [推定]
SoC ダイサイズ360.5mm²不明
製造プロセス7nm Enhanced7nm 不明
メモリ種類・容量16 GB GDDR6 320-bit bus16 GB GDDR6 256-bit bus
メモリ帯域幅10GB 560 GB/s / 6GB 336 GB/s448 GB/s
内蔵ストレージ1 TB Custom NVME SSD825 GB カスタム SSD
I/Oスループット2.4 GB/s (Raw) / 4.8GB/s (Compressed)5.5 GB/s (Raw)
拡張ストレージ1 TB Expansion CardNVME SSD
外付けストレージUSB 3.2 外付HDD
サポート
USB 外付HDD
サポート
光学ドライブ4K UHD
ブルーレイドライブ
4K UHD
ブルーレイドライブ
映像出力HDMI 2.1
(可変リフレッシュレート)
HDMI 2.1
(可変リフレッシュレート)
オーディオ不明“テンペスト” 3D
オーディオテクノロジー

さて、それで他に何があるでしょうか?

まあ、PS5が非常に限定された条件(非常に低いレベルのCPUパワーを消費するゲームを考えてください)を除いて、2.23 GHzクロックを維持できる可能性は極めて低いです。

ただし、これを検討する前に、まずいくつかの基礎、つまりプロセスアーキテクチャを検討する必要があります。

TSMCは現在、7nmノード向けに3つのプロセスを提供しています。

これらの1つだけが2.23 GHzを確実に維持できます。

これらは、TSMC 7nmプロセス(N7と呼ばれる)、TSMC 7nm Enhancedプロセス(N7Pと呼ばれる)、TSMC 7nm+プロセス(N7+と呼ばれる)です。

これらは後に行くほど高性能です。

N7およびN7PプロセスはDUVに基づいていますが、N7+ノードはEUVで製造されており、DUVベースの兄弟プロセスよりもはるかに高いクロック速度を維持できます。

初心者には、EUVは魔法の成分と考えてください。

繰り返しになりますが、MicrosoftのXSXの機能(7nm Enhanced)は確実にわかりますので、PS5についてのみ推測します。

 

N7 +プロセス上にあるPS5に対する疑問は次のとおりです。

  • ゲーム機が優れたEUVベースのN7+プロセスを使う場合、CPU側も明らかにN7+で製造されます。CPUクロックレートが実際にはXSX(非EUV N7Pプロセスで製造)よりも低いという事実は、コンソールがN7Pまたは元のN7のいずれかにあると予測できます。
  • 現在、N7+は高価であり、歩留まりは低く、大量生産を開始したばかりです。これ不確定な推測です。これに対する対論は、ゲーム機は2020年のクリスマス商戦まで出荷されず、同社は理論的には(その時期になればプロセスが成熟し)それを達成できるということです。
  • もしPS5がN7+で製造されていたならばソニーはおそらくそれについて自慢していたか、少なくともそれについて話さない理由はないでしょう。これは、ゲーム機がN7+プロセス上にないことが予測できます。

N7+プロセス上にあるPS5のいくつかの要素を次に示します。

  • 5700 XTなどのAMDのRDNAベースのGPUは、最大1950 MHz程度までしかブーストできません。2230 MHzはそれからの大きな向上であり、ブースト値が完全に信頼できない場合を除き、PS5はN7 +プロセスで製造されていることを意味します。これは、ゲーム機がN7+で製造されているという推測ができます。
  • CPU側はクロックが落とされ(PS5とXSX間のクロックが同一でないことを説明します)、SOCに適切な性能と発熱のバランスを提供します。これは、ゲーム機がN7+上にあるという不確定な推測の根拠になります。

ただし、ゲーム機がN7+プロセスに基づいている場合、CPUのクロックが落とされいたとしても全体の熱と電力を圧迫しているという事実に変わりはありません。(N7+プロセスがもたらすメリットを圧迫します。) 。

つまり、それは不格好なものとなり、開発者はXbox Series XのようなすべてのCPUとGPUのパワーを生かすことはできないでしょう。これはトレードオフになります。

N7PまたはN7を使用している場合、このトレードオフはさらに厳しくなります。

それでは、Microsft Xbox Series XのグラフィックスパフォーマンスをSony Playstation 5のパフォーマンスと比較するにはどうすればよいのでしょうか?

まあ、それは「常用可能」なクロック速度を計算しなおすことによって比較できます。

繰り返しますが、Sonyからの明確な情報はありませんが、過去のリークに基づくと、2 GHzがそのクロックです。

このクロックレートがN7ノードには高すぎることに注意してください(AMDの7nmベースのRX 5700 XTは通常2GHzにでは動作しません)。

N7Pプロセスで可能性があり、N7+でより可能性があります。

2GHzのGPUクロックで、PS5は9.2TFLOPを維持します。

もちろんこれは非常に立派な性能ですが、Xbox Series Xには及びません。

XSXのCU数が44%多いという事実は、PS5では簡単には克服できないものです。

マイクロソフトは、過去に見たような「高級ワイン」の哲学に道を開くために、実際に自社のゲーム機のクロックを落とした可能性があります。

実際、PS5と同じように計算した場合、驚異的な14.6 TFLOPsに達する可能性があります。これはゲーム機としては常識外れの数字です。
そうは言っても、あなたはそれを望んでいないでしょう。

ゲームの最適化は難しく、性能の変動のない一定のクロックを持つことは、クロックが変化するよりも常に作業しやすくなります。

※ クリックすると別Window・タブで開きます。

これらの次世代ゲーム機は革新的だと言ったことを覚えていますか?

さて、これらをPC GPU(持続TFLOPのみ)と比較したかったので、異なるアーキテクチャ間の比較は正確にはできないのですが、簡単に比較するには十分です。

NVIDIAは、RTX 2080 Tiで16.1 TFLOPsでパフォーマンスの王座を(いつものように)維持しましたが、ほんのわずかです。

12.1 TFLOPを搭載したXbox Series Xは、実際にはRTX 2080 SUPERの低クロック製品を打ち負かしています!

コンソールがPCのハイエンド市場で使用できるようになったのは今回が初めてであり、称賛に値すると思います。

この理由の一部は、もちろん、次世代のゲーム機がミニチュアPCのように構築され、x86デバイスとして設計されているという事実です。

AMDのRX 5700 XTも比較対象としました。

これは、可変クロックレートを考慮すると、Sony PS5とXbox Series Xはほぼ同等です。

最後に「楽しい」グラフを表示したかったのです。

私たちが見たいのは、グラフィックスのパフォーマンスだけではありません。 価格も重要です。 TFLOP / $を提示価格で割ると、ゲームデバイスの「価値」が得られます。

ゲーム機の価格は不明ですが、この比較のために価格を見積もってグラフを作成しました(BloombergによるとPS5:470ドル・低く見積もって399ドル、XboxシリーズXの見積もり:499ドル)。

次世代のゲーム機がPCのパフォーマンスを1ドルあたりのパフォーマンスで完全に吹き飛ばしている様子を見ることができます(まあ、とにかくNVIDIAは酷い)。

これはまた、小売り価格を設定する際に、企業が実際に多くの選択肢を持っていることを意味します[不吉な警告]。

Xbox Series Xが1100ドル以上のRTX 2080 Tiと同程度の性能ならば、Microsoftが499ドルの価格ではなく、もっと高く設定したとしても、私は驚かないでしょう。

(ただし、標準モデル、逆ザヤモデル、下位モデルは違っていることを祈ります)。

とにかく、これが今のところわ判っているすべてです。

今後のアップデートにご期待ください。

ソース:wccftech - Sony PS5 Vs. Xbox Series X Technical Analysis: Why The PS5’s 10.3 TFLOPs Figure Is Misleading

 

解説:

PS5とXbox Sries Xの比較まとめ

まだまだ続く、PS5とXbox Sries Xの話題です。

すでにあちこちで出ていますので食傷気味という方もいると思いますが、RDNA2のNaviを搭載したゲーム機ということなので、自作パーツにも深く関係がありますから、今少しお付き合いください。

上の比較ではPS5が「可変クロック」で10.3TFLOPSなら、Xbox Sries Xも同様の方式で性能を表すと14.6TFLOPSになるとしています。

PS5とXbox Sries Xはかなりスペックに差があり、記事中ではその点鋭く指摘しています。

コストに関しても記事の後半で言及していますが、あまり公平でないものの見方をしていますので、その点を少し見ていきましょう。

まず前提の情報を整理しましょう。

1CCDのRyzen7 3700Xのダイサイズは125mm2となります。

そして2560SPのNavi10(RX5700Xt)が251mm2です。

RDNA2のNaviがSP数が同じであればRDNA1と同じダイサイズになるとは思えませんが、現在判明しているのはこれだけですから、これをベースに考えていきましょう。

この二つのダイサイズを合計すると371となり、先日リークしたXbox Series Xのダイサイズ360mm2よりも明らかに大きくなりますので、こちらも参考ということにしておきます。

Xbox Series XのSoCが3328SPで360mm2の場合、純粋に割合で計算するとPS5のSoCのダイ面積は279.93mm2となります。

CPU部分

Xbox、PS5・・・約100mm2

GPU部分

Xbox・・・約260mm2

PS5・・・約180mm2

※ただし、SP数による単純な割合で計算しただけです。実際にはSoC内にはCPU、GPUのほかにI/O、メモリコントローラーなどがあり、GPU部分もPS5とXboxの仕様の違いによって単純な割合では出せない可能性がありますが、ざっくり推測するために無理矢理出してみました。360mm2という数字自体が推測ですので、XboxもPS5も実際にはもっと大きいのではないかと思います。もし、XboxのSoCが360mm2で収まっているならば、それこそ7nm+で製造されているのかもしれません。

 

このwccftechの記事の矛盾点はダイサイズが大きくなれば、その分消費電力が上がるということを計算に入れていない点です。

また、ダイサイズの違いによって生産効率もかなり違ってくるでしょう。約28%大きなダイというのはかなりの価格上昇を招くでしょう。

7nmで360mm2というダイを持つ製品は今までのAMD製品の中では皆無であり、どの程度のコストがかかるのか不明です。

前の記事でも書きましだか、PS5は4-5万円だとすると、Xboxは5-6万円、もしくはそれ以上となるでしょう。

RX5700XTが251mm2のダイを持ち、8GBのGDDR6でTBP225Wであることを考えると、PS5もXboxもそれ以上の消費電力となります。

消費電力が大きくなれば、発生する熱を逃がす機構、巨大な電源が必要になります。

自ずと筐体も大きくならざるを得ません。

それでも廃熱が追いつかない場合は、ファンを高速回転させなくてはならないかもしれません。

アメリカは弱インフレ傾向、物価は1%台、賃金は3%上昇が続いており、PS4発売から7年、1万円の価格上昇程度なら、「高くなった」と思われないかもしれません。

ここ数年の日本とアメリカでは社会情勢や景気などの肌感覚がおそらくかなり違うと思います。

Xbox Series Xは日本人の意見が入っているかいないかでいえば入っていないように感じます。

日本の長期デフレとそれによる閉塞感は一種独特のものがあります。

そのため、Xboxは最も多く予想されている価格である約$500を上回るかもしれません。

というより、コスト的に厳しいと思います。

 

BigNaviについて

最後にBig Naviについて触れます。

Big Naviは5120SPといわれており、Xboxの演算性能とSP数から性能を予測すると19.23TFLOPSという、予想されているRTX3080Tiと同程度の演算性能(RTX2080Ti+40%)になります。

XboxとPS5は同じRDNA2世代でもシェーダーが違うといわれており、どちらの仕様を取るのかはわかりませんが、Big NaviはGeforceキラー(Turingキラーではない)になる可能性は十分にあると思います。

少なくともSP数が少ないXboxより高性能なことは確実でしょう。

 

※ コメントでよくわからないという指摘を受けたため、全文を意訳しました。そのため、原文とはかけなれた解釈をしてしまっている可能性がありますので、気になる方は原文を参照してください。原文は執筆者がかなりエキサイトしてるのか持って回った表現が多く、翻訳しにくいです。オタクが全力で書いた文章みたいな感じです。

 

 

 

 

 

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