まず最初にお断りしておきます。
この製品は全くお勧めしません。(笑
Ryen 9 3950XのPCはMini-ITXで組みましたが、できるだけ大容量のストレージを2.5″HDDのスペースに入れる必要があったため使いましたが、性能的にも価格的もほとんどメリットがありません。
USBの変換アダプタを使い、外付けの2.5″HDDとしてみた場合はバスパワーでは動かないという話もあり、15mmという厚さも考え合わせると本当に使いどころが難しいHDDです。
スペース的な制限が大きいMini-ITXケース以外にはあえて使う必要性を感じない製品です。
私は他人には決してMini-ITXを勧めていませんが、それでも小型PCが好きな方はこの製品の性能と価格を見て、覚悟を決めてください。(笑
Seagate BarraCuda 2.5″HDD 15mm版
型番 | ST5000LM000 | ST4000LM024 | ST3000LM024 |
容量 | 5TB | 4TB | 3TB |
回転数 | 5400rpm | 5400rpm | 5400rpm |
キャッシュ (MB) |
128MB | 128MB | 128MB |
最大転送速度 (MB/s) |
140 | 140 | 140 |
インター フェイス |
SATA3 6Gb/s | SATA3 6Gb/s | SATA3 6Gb/s |
平均消費 電力(W) |
2.1 | 2.1 | 2.1 |
MTBF | 記載無し | 記載無し | 記載無し |
保証年数 | 2 | 2 | 2 |
5TB
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4TB
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3TB
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スペックは上の通りになっています。2TB版、1TB版もありますが、厚さが7mmとなっており、基本的に用途が異なると思いますので、15mm版のみの記載としています。
スペックは3.5インチHDDとは比べるべくもなく低いです。
基本的に中に入っているディスクの径が小さく、外周のスピードが遅いことなどが原因です。
2.5″HDDは3.5″HDDと比較するとこのディスクの直径が小さいことによって回転を安定させるのが難しいことなどから、寿命も短いと言われています。
私が購入したST4000LM024はあまり評判の良くないSMR方式を採用していると言われており、大量のファイルをコピー、移動させると遅くなると言われています。
これはSMRという方式の読み書きが遅いため、外周に通常方式のキャッシュを持っており、大量のファイルの読み書きに弱いためと言われています。
この技術をSeaqgateはMTC(Multi-Tier Caching Technology)と呼んでおり、ホワイトペーパーにSMRの一つ上にPMRがあってキャッシュに使われていることが示されています。
メーカーもこのSMR方式をあまり公開したがらないので、本当にSMRかどうかは直接確認したわけではありませんのでお断りさせていただきます。
私はこの速度が遅いという欠点を補うためにStoreMIでNVMeのSSDをキャッシュにしています。
こちらも、私のような使い方をしない限りはこのような構成にする必要はあまりないです。(笑
耐久性のスペック値に関してはHDDではMTBFを用いた表記を使わなくなってきており、このHDDの場合はロード/アンロードサイクルという値を用いて表記しています。
ロード・アンロード(head load/unload mechanism)とはハードディスクドライブ(HDD)内部でディスク表面と磁気ヘッドが接触しないようにする機構の一つで、こちらの回数が60万回となっています。
ちなみに3.5″HDDではAFR(Annualized Failure Rate)=年間故障率を用いるようになってきています。
写真:
※ クリックすると別Window・タブで開きます
バルクだったので静電気防止袋のみでしたが、開けたらわかる封がしてありました。
この辺はずっとPCパーツを作ってきたSeagateだけあってよくわかっているという感じです。
こんな風にきちんと封をしてもらえると購入する側も疑心暗鬼にならずに安心して購入できますので、ぜひともすべてのメーカーさんにお願いしたいところです。
15mm厚の2.5″hDDというと、見た感じ異様です。
正面から見ると普通の2.5″HDDですが、横から見るとかなりボリューム感があります。
普通の2.5″hDDのほぼ2台分の厚さがあり、ケースによってはスペースの都合で取り付けられない可能性があります。
そういう意味でも要注意なHDDです。
私が使っているケースのSM580の2.5″HDDマウンタは重ねる形で2台の9mm厚HDD・SSDが取り付けられますので、15mm厚のHDDも難なく取付られました。
テスト環境
CPU | AMD Ryzen 9 3950X |
メモリ | DDR4 32GB 16GBX2 |
SSD | CFD販売 CSSD-M2B1TPG3VNF , AGI256G16AI198 |
HDD | Seagate ST4000LM024 |
マザーボード | ROG STRIX X570-I Gaming |
電源 | SFX電源750W Corsair SF750 |
CPUクーラー(水冷) | 280mm簡易水冷 Thermaltake Floe Riing 280 |
ケース | Sliger SM580 |
Crystal Disk Mark 7.0.0fの結果
——————————————————————————
CrystalDiskMark 7.0.0 x64 (C) 2007-2019 hiyohiyo
Crystal Dew World: https://crystalmark.info/
——————————————————————————
* MB/s = 1,000,000 bytes/s [SATA/600 = 600,000,000 bytes/s]
* KB = 1000 bytes, KiB = 1024 bytes
[Read]
Sequential 1MiB (Q= 8, T= 1): 142.822 MB/s [ 136.2 IOPS] < 58399.58 us>
Sequential 1MiB (Q= 1, T= 1): 141.356 MB/s [ 134.8 IOPS] < 7416.61 us>
Random 4KiB (Q= 32, T=16): 1.169 MB/s [ 285.4 IOPS] <375300.50 us>
Random 4KiB (Q= 1, T= 1): 0.431 MB/s [ 105.2 IOPS] < 9476.11 us>
[Write]
Sequential 1MiB (Q= 8, T= 1): 139.272 MB/s [ 132.8 IOPS] < 59801.36 us>
Sequential 1MiB (Q= 1, T= 1): 139.462 MB/s [ 133.0 IOPS] < 7510.79 us>
Random 4KiB (Q= 32, T=16): 7.059 MB/s [ 1723.4 IOPS] <132297.98 us>
Random 4KiB (Q= 1, T= 1): 5.399 MB/s [ 1318.1 IOPS] < 758.10 us>
Profile: Default
Test: 1 GiB (x5) [Interval: 5 sec] <DefaultAffinity=DISABLED>
Date: 2020/01/12 4:08:06
OS: Windows 10 Professional [10.0 Build 18363] (x64)
Crystal Disk Mark 6.0.1の結果
———————————————————————–
CrystalDiskMark 6.0.1 x64 (C) 2007-2018 hiyohiyo
Crystal Dew World : https://crystalmark.info/
———————————————————————–
* MB/s = 1,000,000 bytes/s [SATA/600 = 600,000,000 bytes/s]
* KB = 1000 bytes, KiB = 1024 bytes
Sequential Read (Q= 32,T= 1) : 141.481 MB/s
Sequential Write (Q= 32,T= 1) : 137.870 MB/s
Random Read 4KiB (Q= 8,T= 8) : 1.186 MB/s [ 289.6 IOPS]
Random Write 4KiB (Q= 8,T= 8) : 6.978 MB/s [ 1703.6 IOPS]
Random Read 4KiB (Q= 32,T= 1) : 1.181 MB/s [ 288.3 IOPS]
Random Write 4KiB (Q= 32,T= 1) : 7.180 MB/s [ 1752.9 IOPS]
Random Read 4KiB (Q= 1,T= 1) : 0.456 MB/s [ 111.3 IOPS]
Random Write 4KiB (Q= 1,T= 1) : 5.232 MB/s [ 1277.3 IOPS]
Test : 1024 MiB [D: 0.7% (26.7/3726.0 GiB)] (x5) [Interval=5 sec]
Date : 2020/01/12 9:36:36
OS : Windows 10 Professional [10.0 Build 18363] (x64)
参考:IronWolf 5900rpm 3.5″HDD 4TB(ST4000VN008)のデータ
上の通りとなります。
参考のST4000VN008と比較すると、全体的に遅いですが、特に4Kのランダムではライトが速く、リードが極度に遅いという結果になっています。
SMRは256MB単位での書き込みになるため、ライトはキャッシュで賄っているのでしょう。
試しに16GiBでテストしたところ0.9MB/s程度と4Kのライトも極度に速度が低下しました。キャッシュからあふれた分は普通の遅いSMRディスクの速度になってしまいます。
ネットの情報ではPMRのキャッシュは8GB程度とのことですが、おそらくはその通りなのだと思います。
シーケンシャルリード・ライトに関してはほぼカタログ値の性能が出ています。
この製品をあえて使おうとする人は限られていると思いますが、動画編集などをされている方は無理をしてでも3.5″HDDを使った方が良いでしょう。
ここまで否定的な意見を書いておいてなんですが、それでも2.5″HDD二台分というスペースに4TBもの大容量を詰め込める製品はこのST4000LM024やST5000LM000だけになります。
躍進著しいSSDでも4TBもの製品が安価になるのはしばらくかかるでしょう。
記事執筆時において実売15,000円前後とコモディティ化したHDD製品の中にあっても導入に二の足を踏むほど高価な製品ですが、オンリーワンの位置を占める製品というのはこういうものでしょう。
この製品のポイントはこの点に価値を感じるかどうかがすべてです。
2.5″HDD縦2台分のスペースに4TB以上の容量がどうしても必要ならばいくら払っても手に入れたいでしょうし、そうでない人には見向きもされない、そういう性質の製品です。
将来的には消えゆく運命のHDD製品
現在、9mm厚までの2.5″HDDは容量2TBまでとなっており、普通のPCに取り付ける用途としては2TBまでがコスト的にも取付スペース的にも実用上の上限と言って良いと思います。
2.5″HDDは秒進分歩で進化するSSDと競合する運命にありますが、2TBのSSDが一万円を切ったら9mm厚までの2.5″HDDは終了だと思います。
耐久性や衝撃への強さを考えるとHDDが勝っているところは一つもありません。
2.5″HDDという製品の寿命は刻々と近づいていると言ってもよいでしょう。
5TB
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4TB
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3TB
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