DigiTimesの業界筋によると、TSMCは2020年3月に5 nmノードの量産を開始し、5nm PDKを使用する企業は設計をテープアウトして将来の製品に統合できるようになります。
※ テープアウトは、マイクロプロセッサなどの半導体製造工程における、設計の最終段階の区切りを指します。過去には回路のレイアウトとその他の詳細(マスクパターンなど)を記録した最終データを磁気テープに記録して製造工程に送付したことから、この名前が付いた。
7nmノードの2年後の量産に入ると、5nmはムーアの法則を再び軌道に乗せようとしています。
Extreme Ultra-Violetリソグラフィー(EUVとも呼ばれる)を使用して構築された5 nmノードは、既存のFinFETトランジスタを利用し、既存の7 nmノードと比較して速度、電力、密度を大幅に改善します。
速度は約15%増加すると想定されていますが、密度は80%も向上するため、誰にとっても素晴らしいニュースです。
顕著な電力の削減もあり、現在では、新しいノードがもたらす追加の速度と密度の改善を享受しながら、消費電力を約30%削減することが可能になりました。
ソース:techpowreup – TSMC to Begin Mass Production of 5nm Chips in 2020
解説:
TSMCの5nmが来年から量産開始
intelが10nm(TSMCの7nmに相当)の立ち上げに苦しむ中、TSMCが順調に製造プロセスを進めています。
5nmが予定通り、2020年から量産開始となります。
現在、ゲーミングPC向けなどのデスクトップCPUの最新プロセスはTSMCの7nmですが、スマホのSoC(CPU+GPU+チップセットなど)は7nmEUVを使っています。
このEUVというのは製造方法の一種で5nmと同様の製造方法になります。
現在では世界中でPC向けCPUの数倍の需要があるスマホ向けのSoCに最新プロセスが使われ、その1年後にPCが使うというパターンになっています。
昔は半導体業界の主役はPC向けのパーツだったのですが、今では完全にスマホ向けになっています。
それを象徴するかのようにスマホ向けのSoCを生産するTSMCに資金が集まり、最先端のプロセスを開発・製造し、10nmの構築に苦しむIntelを尻目に独走態勢に入っています。
Intelが10nmの生産に入れば、今度は5nmと差は全く縮まらないと言ったところです。
Intelの10nmは現在はモバイル向けのみとなっておりますので、完全に立ち上がってるとは言い難い状況です。
さらにTSMCは台湾の新竹市にて5nmの次世代のプロセスである3nmの研究に入っています。
順調に行けば2-3年後には量産にこぎつけるものと思います。
1年ひと昔と言われるこの世界で、Intelの足踏みが許される時間というのは限られていると思います。
IntelがTSMCに食らいついていけるのかどうか。
2020年、2021年とIntelにとって苦しい時期はまだまだ続きそうです。